三食母の手作りご飯を食べ、31年間実家暮らしの年収600万円・女性管理職…結婚後に起きた異変。気がついた「衝撃の事実」【FPの解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月30日 10時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
人生には、結婚や独立、キャリアアップなど、大きな転機が訪れることがあります。そうした変化は、喜びや期待をもたらす一方で、これまで意識していなかったリスクに目を向けるきっかけともなります。特に健康状態の変化や家族構成の変化は、将来への備えを考えるうえで重要な要素です。本記事では、山口茜さん(仮名)の事例とともに結婚と保険について、FPdream代表FPの藤原洋子氏が解説します。
母親の献身的なサポートのもとで暮らしていた独身時代
首都圏にお住まいの山口茜さん(仮名/32歳)は、メーカーにお勤めです。20代で大学時代からお付き合いのあった同い年の健太さん(仮名/32歳)と1年前に結婚し、健太さんの会社の社宅で暮らしています。茜さんは昨年、異例のスピードで課長に昇進し、年収は600万円になりました。
茜さんは、結婚するまで現在の住まいと同じ市内にある実家で、両親と一緒に暮らしていました。茜さんの母親(61歳)はパート勤めをしながら、会社員の父親(64歳)や茜さんのためにと、家事や育児のほとんどを担当していました。
茜さんは、小学校に入学するころまで、食が細く比較的身体の小さいお子さんでした。熱を出すなど体調を崩すこともしばしば。母親は、体力をつけさせなくてはと、水泳教室に通わせたり、公園へ連れ出して近所の子どもたちと遊ばせたりしていたそうです。茜さんが食べやすいものをと食事にも注意を払っていました。
そういった母親の対応のお陰か、茜さんが小学校に入学してからは、体調を崩すことも少なくなり、中学校3年間は学校を一度も休まず通うほどに。大学まで水泳部に所属し、高校では部長も務めました。就職してからも、日常の細々としたことや、昼の弁当作りまで食事の準備はすべて母親が行っていました。
住み慣れた実家を出て夫婦2人の生活で気づいたこと
結婚して1年が経ち、生活全般のことや仕事を夫の健太さんと協力しながら過ごしてきました。30歳を過ぎたころから、わずかに体調の変化を感じるようになったそうです。20代のころは、熱が出たとしても一日休めば回復していたのに、このごろは2、3日と日数がかかるようになっていることに気が付きました。
いままで「私に保険は必要ないわ」と考えていました。しかし、実家をでたことにより、「私が病気などで会社を辞めなければならなくなったら、どうすればいいのかしら」そんなことを考えるようになったそうです。健太さんの年収は450万円。茜さんの父親は、来年、長年勤めた会社を退職します。夫やこれから年金生活に入る両親に頼ることはできないと思っています。
健太さんは関西圏の出身で、希望の大学に通うため首都圏に住むことになり、そのまま首都圏で就職しました。健太さんは、就職した際に、母親が加入している生命保険会社の保険外交員に、勧められた生命保険に加入していました。半年後に契約の更新時期を迎えます。
一方茜さんは、生命保険について真剣に検討したことはありません。そこで健太さんと茜さんは、これからの2人に必要な保険や保険金額について、まずはアドバイスを受けようと考え、保険商品を扱わないファイナンシャルプランナーに保険相談の申し込みをしました。
夫婦の生命保険への要望
健太さんと茜さんの要望は以下のとおりです。
健太さん
9年前に生命保険と医療保険に加入したが、生命保険はもうすぐ更新の時期を迎える。自分がケガや病気の治療のために会社を休まなければならないときなどに備えて、最新の医療事情に合った内容の保険に見直して、備えておきたい。
茜さん
万一のことがあったり、長期間働くことができない状況になったり、病気やケガで治療のために支出が増えたりすると、生活が成り立っていくのか心配。そのための備えとして、なるべく合理的な保険商品を選んで備えておきたい。
上記を踏まえて保障内容を検討していきます。
保険加入の目的と備えるべき費用をよく検討する
健太さんと茜さんは、2人とも会社員です。どちらかに万一のことがあった場合、遺族の生活費などは、遺族厚生年金や死亡退職金などの企業の保障で、ある程度は保障されています。しかし、貯蓄などを含めてもそれだけでは十分といえないケースが一般的です。必要となる金額から収入として見込める金額を差し引いて、不足分を生命保険などで備えておきます。
死亡保険の選択肢としては、定期保険か収入保障保険です。収入保障保険は、加入からの経過に伴って保障額が減少するので、保険料を抑えながら合理的に備えることができる保険商品です。
長期間働くことができない場合に備えるためには、就業不能保険が選択肢のひとつでしょう。健太さんと茜さんは、会社員なので、傷病手当金を受け取れますが、給付額は月収の3分の2、給付期間は通算1年半です。たとえば、精神疾患や脳血管疾患など、退院後も障害年金を受け取りながら長期間の在宅療養が必要になるケースでは、世帯収入の減少に加え、医療費の負担が重くなります。
ただ、就業不能保険は、仕事を続けることができる場合には、支給されないことが注意点です。通院や入院のため本人の収入が減少したり、高額療養費の適用が受けられたりしても、高額な治療費がかかり、治療が長期間になる可能性のあるがんへの備えも、検討してみることをお勧めします。
保障を検討する際には、勤務先で加入できるグループ保険や共済、健康保険組合からの付加給付などについても、事前によく調べておきましょう。親が加入してくれている保険もあるかもしれません。また、突然の支出に慌てないように、収入の3ヵ月~1年分を目安に貯蓄で準備できると安心感が持てるのではないでしょうか。
スマートフォンのアプリで、健康状態を記録するなどによって特典が受けられたり、生活習慣を改善する情報が得られたりする商品もあります。うまく活用して自分や家族の体調管理に役立てたいですね。
夫婦間で共有しておきたい「保障の内容」
お互いの保険について、証券をしまう場所や保障内容を知っておくことが大切だと思います。自然災害に巻き込まれたり、突然の事故・病気などが発生したりした場合でも、速やかに給付金や保険金の請求手続きを行うことができます。家族情報を生命保険会社に登録しておくと、登録された家族が契約内容の紹介などを行うことができる生命保険会社もあります。
ケガや病気によって判断能力が低下したり、病名を告知されていなかったりなどで、本人が保険金等の請求ができないという場合にはどうなるのでしょうか。公益財団法人生命保険文化センターの2023年度の調査では、判断能力が低下したときの準備を「していない」と回答した人は55.8%と半数以上になっていて、備えは十分ではないようです。
被保険者が受取人になっている給付金等は、指定代理請求人を指定していれば、指定代理請求人が被保険者に代わって請求することができます。契約者に代わって契約に関わる手続きを行うには、あらかじめ契約者代理人を指定すれば、住所変更や解約などの所定の手続きを行うことが可能です。
加入後にライフイベントが発生したときには、その都度、保障内容が合っているか確認しておきましょう。必要に応じて契約や登録情報の見直しを行い、備えておくことをお勧めします。
※個人の特定を避けるため、相談内容の一部を変更しています。
<参考>
公益財団法人生命保険文化センターESSAY
https://www.jili.or.jp/kuraho/essay/2024/9620.html
藤原 洋子
FP dream
代表FP
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