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老後のために十分すぎるほど準備したのに…。退職金2,000万円・貯金4,800万円・年金月21万円の65歳元会社員、必死の節約生活の果てに辿り着いた「残酷な現実」に涙

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月19日 9時15分

老後のために十分すぎるほど準備したのに…。退職金2,000万円・貯金4,800万円・年金月21万円の65歳元会社員、必死の節約生活の果てに辿り着いた「残酷な現実」に涙

(※写真はイメージです/PIXTA)

長寿化の進行と共に老後不安が広がる日本。「長生きするかもしれないから、老後のためにしっかり備えておかないと」と、若いうちから節約に励む人も少なくありません。しかし、老後資金が十分用意できても、幸せになるどころか後悔するケースもあるようです。

老後資金は年金だけでは足りない…広がる老後不安

老後に向けていくら準備すればいいのか? 年金だけで足りるのか? ……多くの人が明確に老後資金を意識するきっかけになったのが「老後2,000万円問題」です。

老後2,000万円問題は、2016年に総務省が調査した家計調査報告書に基づいて算出された金額です。「公的年金などの収入」と「老後にかかる生活費」を差し引きすると、夫婦(夫65歳以上・妻60歳以上)の無職世帯では毎月5万5,000円弱の赤字になり、それが老後30年間だと約2,000万円の赤字になるという計算です。

このニュースを発端に、年金だけでは老後は暮らせないのだという不安が広まりました。ただ、実際には突然状況が変わったわけではなく、少子高齢化・年功序列や退職金制度の廃止、終身雇用の崩壊など、収入確保に関わる環境が少しずつ変化してきた結果でもあります。

本当に2,000万円不足するのかという点については、当然「人それぞれ」という結論になります。また、家計調査報告の2023年版を見ると、2016年時とは変化が見られます。

【夫婦ともに65歳以上の無職世帯の収入と支出】

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〈収入〉

・年金などの給付:21万8,441円 ・その他:2万6,139円 収入合計:24万4,580円 (税金や社会保険料等を差し引いた可処分所得:21万3,042円)

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〈支出〉

・税・社会保険料等:3万1,538円 ・食料費:7万2,930円 ・交通・通信費:3万729円 ・光熱・水道費:2万2,422円 ・教育娯楽費:2万4,690円 ・保健医療費:1万6,879円 ・住居費:1万6,827円 ・家具・家事用品費:1万477円 ・被服及び履物費:5,159円 ・その他…5万839円

支出合計…25万959円

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出典:総務省「家計調査報告書(2023年)」

こちらは「夫婦ともに65歳以上」の金額で、可処分所得(実質的に使える金額)は21万3,042円で、一方の支出は25万959円。1ヵ月で約3万8,000円不足するという結果です。

この金額を30年分にすると、合計1,368万円ほどが足りないという計算になります。2,000万円と比べて、老後の必要額がぐっと下がっていることがわかるでしょう。

だからといって、この金額を用意しておけば安心ということもありません。単なる平均値ですので、老後の収入も貯金も、人によって大きく変わることは言うまでもありません。自分に必要な額を明確にし、それを準備することは欠かせません。

しかし、「老後にいくらあればいいのか」という不安は青天井になりがちです。1,000万円を貯めると「これじゃ足りない」と2,000万円を目指し、それを達成しても「人生何があるかわからない」と見えない不安に駆られ、さらに貯金に励んだりします。

そうして貯めたお金があるおかげで、確かに老後不安が減ることはあるでしょう。しかし、後悔するケースも少なくないようです。例えばこんな例です。

節約生活の果てに、安泰の老後を手に入れた加藤さん

加藤忠さん(仮名・65歳)は長年勤めた会社を退職。同じ年の妻と共に年金生活をスタートしました。60歳時に受け取った退職金は手つかずのまま2,000万円残り、さらに貯金4,800万円、夫婦の年金は年金は月21万円です。

加藤さんは昔から貯金することを何より大切にしていました。「いざというときのために、お金はあったほうがいい。それに、年老いて身体が動かなくなったとき、お金がなかったら悲惨だぞ」……テレビの高齢者ドキュメンタリーなどを見ながら、不安を募らせるタイプでした。

そのため、大学のときからアルバイトをしたお金をコツコツ貯金。周囲は遊びにいったり旅行に行ったりしていましたが、流されることはありません。

就職をして定期的に給料が振り込まれるようになると、さらに拍車がかかります。当時、都内で一人暮らしを始めるにあたっては、会社から遠く離れた区外に家賃3万円台のアパートを借りて固定費を削減。食費は月1万5,000円程度で外食もほとんどしません。

そんな加藤さんも30代前半で結婚。妻は加藤さんの節約っぷりに引くこともありましたが、「使い過ぎる人よりはいい」と理解を示しました。共働きで自分も稼ぐので、その一部は自由に使わせてほしいと交渉し、家計管理全般を加藤さんに預けたのです。

その後、子どもを1人授かりましたが、加藤さんは子どもにかかる教育費だけは人並みに支払おうと決めていました。一方で「遊びにいくときはお金のかからない無料スポットで」「お弁当を持っていって外食にお金を使わない」など、節約の意識は持ち続けていました。もちろんマイホームもマイカーもありません。

現役時代、決して高い給料ではなかった加藤さんでしたが、子どもは大学を無事卒業。貯金も2,000万円、3,000万円……と増えていきました。しかし、お金を使うと不安になる。できるだけ貯めておきたい…もはや「お金を貯めること」が目的になり、最終的には大きな老後資金を確保したわけです。

人生を楽しめばよかった…後悔の涙

いよいよ老後生活がスタートしました。加藤さんは若いときから「定年退職したらやりたいことリスト」を作っていました。妻と旅行、高級料理を食べに行く、映画をたくさん観る……。十分なお金ができてから、気兼ねなく人生を楽しもうと考えていたのです。

しかし、海外旅行に行こうとしても「ちょっとでも安い時期に」「もっとホテルを安く」などと考えて、なかなか実行に移せません。それどころか、65歳を過ぎて体力や気力の衰えから「あまり遠くに行くのも……」と、やりたいことのはずなのに、おっくうになっていました。

食事や映画も同様で、昔ほどたくさんのものを美味しくは食べられず、映画を観ても感情が老化したかのごとく、あまり楽しめないのです。

さらに、加藤さんをまさかの事態が襲います。ある日、朝起きると身体のしびれを感じた加藤さん。物が二重に見えるという異常事態でしたが、すぐに病院に行く判断をせずに1日半過ぎたころ、妻に付き添ってもらい病院に駆け込みました。

診断の結果は脳梗塞。リハビリで改善はしたものの半身に麻痺が残る結果になりました。お金は十分あるにも関わらず、健康や気力を失った加藤さん。

「若い時になんでも経験しておくんだった、もっと家族のためにお金を使って楽しめばよかった」

そう思って涙しましたが、時間はどうやっても戻ってきません。

老後資金をもちろん準備することは大切ですが、過剰な不安でお金を使えなくなってしまうのも考えものです。使うお金と貯めるお金のバランスを上手にとることが大切だといえそうです。

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