いくら貯めれば安心?住まい、教育費、退職資金…「貯金は手取り収入の15%で十分」である“これだけの理由”【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月6日 11時15分
画像:PIXTA
「教育費、退職後資金……いくら貯めれば安心?」という問いは、多くの人が抱える悩みのひとつです。「節約しているのに不安が消えない」という声もよく耳にします。では、実際にどのくらい貯めればいいのでしょうか?ファイナンシャル・プランナーである中村芳子氏の著書『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方・ふやし方』(三笠書房)より一部抜粋・編集してお届けする本連載。本記事では、人生で必要なお金を「手取り収入の15%」を目安に考え、その内訳を理由を交えて具体的に解説します。
教育費、退職後資金……いくら貯めれば安心?
お金の相談に来る人の多くが「いくら貯めたらいいのかわからない」と不安でいっぱいだ。一生懸命節約して必死で貯めているのに、安心できない。
いくら貯めたらいいか、目安を知っておけば、人生がぐんと楽になる。
答えは、手取り収入の15%。
人生の目的も背景もプランも、人によってそれぞれ。ここでは、一例としてパートナーと一緒に家庭をつくる場合を考えてみよう。人生でまとまったお金が必要になるイベントは、住まいを買うとき、子どもが大学に入学するとき、自分が退職するときの3つ。この3つに備えればいいわけだ。
まとめると、貯める目安は次のとおり。結婚カップルを前提としてるので、年収とは夫婦の合計だ。
①住宅資金=年収の1.5倍
②大学資金=子ひとりにつき年収の0.5倍、子ふたりなら年収分。
③退職後資金=年収の3倍(退職金が年収の2倍あるとき)
子どもの大学4年間にかかる費用は、進路によって500万円(自宅から国公立)~1000万円(自宅外で私立文系)。貯める額は250万~500万円。多少増減しても問題ない。子どもふたりの家庭なら、トータルで貯める額は年収の5.5倍になる。これを25歳から65歳までの40年間でつくるなら、毎年の貯金は収入の14%弱となる(550%÷40)。子どもの独立後は貯金の割合をふやせるから、それまでは15%で十分だ。スタートが25歳より遅い人は、その分少し割合をふやそう。
つまり、今貯金ゼロでも、手取り収入の10~20%を貯め続ければ、人生の必要な出費はカバーできるってこと。シングルの今も、結婚してからも、割合は同じ。
ただし、高すぎる家を買ってローンを借りすぎたり、子どもに教育費をかけすぎたりすると、退職後の資金が足りなくなる。自分の収入に見合った住まい、子の教育がポイント。無理しない。見栄を張らない。
貯金は運用するかしないかで差が出る。利回りがいいと大きなゆとりが生まれる。
年収も貯金も「金額」だけに焦点を合わせてはいけない
収入も貯金の額も多いほうがいい、とたいていの人が思っている。
収入がふえたら最新のが買える。好きなブランドの服や靴が買える。海外旅行にビジネスクラスで行ける、話題の高級レストランで食事ができる、素敵なマンションに住める。お金はどれだけあっても、邪魔にならないと思う(実際にはいろいろな、深刻なトラブルの原因になる)。
これまで、1500人を超える人たちのお金の相談を受けてきたけど、「年収や貯金が多いほど、人生の満足度や幸せ度が高い」とはいえないことがはっきりわかった。
・好きな仕事をして年収300万円の人生と、嫌いな仕事をして年収3000万円の人生と、あなたはどちらを選ぶ?
・好きな仕事をしている年収300万円の男と、嫌いな仕事をしている年収3000万円の男と、あなたは結婚相手にどちらを選ぶ?
・都心にある3億円のタワーマンションと、郊外の海の見える丘に建つ2000万円の中古の戸建てと、どちらに住みたい?
・今、自由に使えるお金が100万円あるのと、65歳で1億円あるのと、どちらがいい?
・65歳になったとき、貯金1000万円で親友が3人いるのと、資産10億円あって友達がいないのと、どちらがいい?
金額は、物事を測るための便宜的な物差しでしかない。
大切なのは、年収や貯金額で人の価値を測らない、自分の価値を測らないこと。育休をとって年収が減ったとき、自分や夫の価値が下がったと感じるの、変でしょ?
食うに困るというのでなければ、年収300万円も1000万円も3000万円も、貯金300万円も5000万円も2億円も、暮らしはそんなに変わらない。
大切なのは、自分がやりたいことを知っていること。それを実現する方法を見つけること。そしてそれを実行すること。お金はそのための手段のひとつ。
いかに稼ぐか、いかに使うか。いかに貯めるか、いかにふやすか。いかに寄付するか。そこにあなた自身が現れる。そこであなた自身がつくられる。金額だけに焦点を合わせないように気をつけよう。今も、これからも、ずっと一生。
中村 芳子
ファイナンシャル・プランナー
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