老後なんて余裕だな…〈貯金3000万円〉〈年金月31万円〉〈借金ゼロ〉の65歳夫婦、完璧な人生プランが突如崩壊。原因は35歳長男の「驚きの要求」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月19日 7時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
長寿化が進むなか、いつから老後かは人それぞれ意識が違うようです。ただタイミングが違っても、収入がガクンと落ちる老後を見据えて入念な準備が必要なのは、日本人全員に共通。また準備万端と余裕綽々でいる人であっても、思わぬ事態に計画が台無しになるケースも珍しくないようです。
質問「いつから老後ですか?」…平均は66.8歳
誰もが老後に対して備えなければいけない時代。しかし老後は「いつから」なのでしょうか?
公益財団法人生命保険文化センター『生活保障に関する調査 2022年度』によると、老後資金の使用開始年齢は平均66.8歳。一番のボリュームゾーンは「65歳」で3割強、次に「70歳」で2割強となっています。
【老後資金の使用開始年齢】
59歳以下…1.0%
60歳…11.7%
61歳~64歳…1.7%
65歳…34.2%
66歳~69歳…2.0%
70歳…23.4%
71歳以上…9.3%
わからない…16.7%
金子修二さん(仮名・65歳)。同い年の妻とともに年金生活を送っています。夫婦は年金を受け取る年齢=65歳からが老後と考え、準備をしてきました。コツコツと貯めてきた貯金は株式や投資信託なども合わせて3,000万円。子どもたちは3人いますが、5年前に三男の大学卒業をもって、教育費の負担からは解放。月々13万円ほどの返済だった住宅ローンも年金を受け取り始める前に完済しました。
【年代別金融資産保有額】
20代…403万円/171万円
30代…856万円/337万円
40代…1,236万円/500万円
50代…1,611万円/745万円
60代…2,588万円/1,200万円
70代…2,188万円/1,100万円
※出所:金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)』
※数値は左平均値/右中央値
毎月の年金は、修二さんが月19万円、妻・美音子さんが月12万円。手取りにすると合計24万円ほど。夫婦ふたりが暮らしていくには十分な金額です。
――少し前に「2,000万円不足」と叫ばれていました。でも、それから考えると十分な貯金もあるし、年金も十分、謝金もありません。贅沢ばかりできるわけじゃないけど、老後は余裕で暮らしていけると考えています
老後の生活は盤石のつもりが…想定外の出費で大ピンチ
しかし、どんなに用意周到に老後の準備をしてきたからといって、「絶対安泰」とはいい切れないところが難しいところです。想定外の老後の出費としては、よく知られたものが3つ。
■医療費・介護費
高齢になると、病気や怪我のリスクが高まり、医療費が増加します。特に、入院や手術が必要になると、自己負担額が大きくなることがあります。たとえば、75歳以上の高齢者の入院費用は、1回あたり約50万円以上になることが一般的です。また、介護が必要になると、介護サービスの利用料や住宅改修費用が発生し、これも大きな負担となります。
■住居費
定年後に自宅をリフォームする必要が生じることもあります。バリアフリー化や設備の更新など、これらの費用は数百万円に達することも珍しくありません。さらに、持ち家の修繕積立金が急増することもあり、これが家計を圧迫する要因となります。
■葬儀や墓じまいの費用
高齢の親が亡くなると、葬儀費用や墓じまいにかかる費用が発生します。これらの費用は葬儀の規模や地域によって異なりますが、数十万円から数百万円に及ぶことがあります。
金子さん夫婦の場合も、よくあるパターンではありませんが、想定外の大きな出費に軌道修正を迫られたといいます。きっかけは、35歳になる長男から「父さん、母さん、お金を貸してくれないか?」という頼み事。
真面目が取りえの長男からのお願いとあって、真剣に話を聞く金子夫婦。まずは理由を聞かず「いくら必要なのか?」と尋ねると、「1,000万円」という思いもしない金額に「思わず震えました」とふたり。
住宅を新築等する場合、親から援助を受けるケースも珍しくないでしょう。省エネ等住宅の場合は1,000万円まで、それ以外の住宅であれば500万円まで贈与が非課税となります。
――銀行から1,000万円借りるよりも絶対に得だと思うんだ
長男のいうことには一理あります。しかし、次男や三男にも同じように援助したら、老後資金が吹っ飛んで行ってしまう。しかし子ども、さらには孫のためといわれると、弱いのが親というもの。長男の申し入れ通り、1,000万円の援助をすることにしたといいます。
――援助する代わりに、介護が必要になったらよろしくと伝えました。あと資金援助のことは、次男や三男にも伝えてあります。あとで兄ばかりずるいと面倒なことになるのは嫌なので
老後であっても「子どものため」、さらには「孫のため」の出費はかさむもの。子育てを終え、これからは夫婦水入らず……というのは難しいようです。
[参考資料]
公益財団法人生命保険文化センター『生活保障に関する調査 2022年度』
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