〈フィッチ〉〈HSBC〉〈BofA〉グローバルな格付け会社・金融機関による「2025年・フィリピン経済」の動向予測
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月14日 7時15分
写真:PIXTA
一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がフィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はグローバルな金融機関が2025年のフィリピンの経済成長をどう見ているのかを中心に解説していきます。
3社とも「高い成長率」を予測も懸念も
世界的な民間格付け会社であるフィッチによる見通しでは、フィリピンの経済成長は金融緩和により加速し、経済成長率は2024年の5.8%から2025年には6.3%に上昇すると予測されています。特に2025年末までに150ベーシスポイントの政策金利引き下げが国内需要を刺激し、経済を後押しするとしています。フィリピン中央銀行(BSP)は2024年に75ベーシスポイントの利下げを行い、さらに緩和を進める意向を示しています。
インフレ率は2024年に3.2%とBSPの目標範囲内に収まり、2025年も3.3%と予測されています。これにより民間消費が回復し、経済成長のもう一つの要因になると期待されています。ただし、これはアメリカのドナルド・トランプ次期大統領が関税政策を厳格に実施しないことが前提です。もしこれが実施された場合、成長見通しは下方修正されるリスクがあります。アメリカはフィリピンの主要貿易相手国であり、トランプ氏の提案する関税はフィリピン経済に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。
また、世界最大級のメガバンクであるHSBCはフィリピンを東南アジアで最も急成長する国のひとつと位置づけており、2025年の成長率を6.3%、2026年には6.7%と予測しています。経済成長の主要因は、堅調な国内消費、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野の成長、デジタルサービスへの投資の増加です。フィリピンはITやBPOサービス、輸出で独自の強みを持ち、これは世界的な貿易不確実性や関税リスクに対するバッファーとなっています。BSPは2025年第3四半期に政策金利を5%に引き下げると見込まれており、インフラ整備も成長を支える重要な要因とされています。
さらに、世界最大の金融機関のひとつであるBank of America(BofA)は、トランプ氏の関税政策による貿易ショックに対処するため、フィリピンでは金融政策が重要な役割を果たすと指摘しています。2024年中ごろのコメ輸入関税の引き下げでインフレが抑制されていることや、BSPが外国為替市場の動きに比較的鈍感である点がその理由です。財政赤字がGDPの5%を超えている中で政府支出を大幅に増やす余地が限られており、金融政策に依存する可能性が高いと見られています。
総じてフィリピン経済は今後数四半期で改善すると予測されており、特にサービス輸出や海外送金が経済の安定性と回復力に寄与すると考えられています。一方で、アメリカの政策動向や為替リスクが引き続き注意を要する要因となっています。
2024年「フィリピン投資ファンド」の運用成績
2024年、フィリピンの銀行や金融会社が運用する上位10の投資ファンドは、国内株式市場のベンチマークであるPSEi(フィリピン総合株価指数)の1.22%のリターンを大きく上回り、少なくとも6倍のリターンを記録しました。その中でも、ABキャピタル・エクイティファンドが22.47%のリターンを達成し、最も優れた成績をおさめました。このファンドは、ABキャピタル・アセットマネジメントの株式投資責任者であるルイス・グレゴリオ・フランシスコ氏によって運用されています。
2024年のトップ10ファンドのうち6つは高配当株に注力しており、配当収益と株価上昇の両面での成長が期待されています。また、10ファンドのうち7つは銀行によって運用され、残りは資産運用会社によるもの。また、ATRAMトラストは複数のファンドがランクインした唯一の会社でした。
これらのファンドの好成績は、フィリピン中央銀行による金利引き下げと、高配当株への関心の高まりによるものとされています。特に、ICTSIやコンバージ、BDOユニバンクなどの企業が多くのファンドで上位の保有株式として挙げられています。上位ファンドの大半が銀行が運用する高配当株ファンドで構成されており、株価上昇と配当の両方を追求する投資戦略が効果を発揮したといえます。
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