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2025年から大きく変わる韓国の労働関連政策のポイント

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月23日 7時0分

2025年から大きく変わる韓国の労働関連政策のポイント

(写真はイメージです/PIXTA)

大統領による「非常戒厳」宣言で、世間を驚かせた韓国。2025年は、最低賃金の引き上げや育休への支援など、労働関連政策が大きく拡大・改善される年になりそうだ。本稿では、ニッセイ基礎研究所の金明中氏が、2025年より大きく変わる韓国の労働関連政策のポイントについて、詳しく解説します。

大統領による「非常戒厳」宣言で驚かせた韓国。2025年には、労働関連政策が大きく拡大・改善予定!?

韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣言で政局の混迷が深まる一方で、2025年には労働関連政策が大きく拡大・改善される。

まず、2025年1月1日から最低賃金が時間当たり10,030ウォンに引き上げられる。これは、2024年の最低賃金(9,860ウォン)から170ウォン(1.7%)増加した金額である。週40時間勤務と週休手当を含めると、月額換算では約2,096,270ウォンとなる。

最低賃金は、正社員、非正規、アルバイト、外国人労働者など、雇用形態に関係なくすべての労働者に適用される。最低賃金引き上げに伴い、労働契約書を再作成する必要はないが、賃金の変動内容については労働者に必ず通知しなければならない。また、これに基づく賃金明細書を提供しない場合、法的問題が生じる可能性がある。

育児休業期間が延長し、給付金の上限額を引き上げ

次は育児休業と関連した制度が拡大・改正される。

まず、育児休業期間が延長される。これまで親がそれぞれ最大1年間利用可能だった育児休業が1年6ヵ月に延長され、夫婦ともに利用する場合、最大3年まで取得可能となった。また、従来は育児休業を3回に分けて使用することができたが、2025年からは最大4回まで分けて利用できるようになった。

育児休業給付金の上限額も大幅に引き上げられた。従来は月150万ウォンが上限額だったが、2025年からは最初の3ヵ月間は月最大250万ウォン、4~6ヵ月は月200万ウォン、7ヵ月以降は月最大160万ウォンが支給され、1ヵ月の最大給与が250万ウォンに引き上げられたことで、1年間の最大受領可能額は2,310万ウォンに増加した。

一方、生後18ヵ月以内の子どもを持つ親が一緒に育児休暇を使用する場合は、6+6親育児休業制度が適用され、夫婦それぞれ年間最大2,960万ウォンずつ、合計5,920万ウォンの給与を受け取ることができるようになった。

また、従来の事後支給制度も廃止される。従来の育児休業給付金は、給付金のうち25%は復職後6ヵ月後に支給される方式だったが、2025年1月1日からはこの制度が改善され、育児休業期間中に全額が支給されるようになった。

産前産後休業と育児休業の申請手続きも変更された。従来は、産前産後休業と育児休業を取得する際に別々で申請する必要があったが、2025年からは労働者の負担軽減を目的に、産前産後休業の申請時に育児休業も同時に申請できるようになった。これにより、1回の申請で、産前産後休業と育児休業を合わせて最大1年6ヵ月間利用することが可能となる。

不妊治療休暇も、年間3日(うち1日は有給)から年間6日(うち2日は有給)に増加した。また、これまで政府の支援はなかったが、中小企業の労働者に限り、2日分の給与を政府が支援することで、労働者がより安心して不妊治療休暇を取得できるようになった。さらに、従業員が不妊治療休暇を取得した場合、事業主はその情報を守秘しなければならないという新たな条項も追加された。

育児期労働時間短縮制度の対象を拡大

2025年から育児期労働時間短縮制度も改正される。

まず、子どもの年齢基準が従来の8歳以下または小学校2年生以下から12歳以下または小学校6年生以下に拡大される。これにより、小学校高学年の子どもを持つ親も労働時間短縮を申請することができるようになった。

また、労働時間短縮の使用期間が従来の最大2年から最大3年に延長され、育児休暇を使用しなかった期間まで含めてより長く活用できるように調整された。これとともに、労働時間短縮申請の最小単位が従来の3ヵ月単位から1ヵ月単位に変更され、労働者がより柔軟に制度を活用できるようになった。

これにより、労働者は育児に必要な時間をより柔軟かつ効果的に確保することができると期待される。

事業主に対する制度も改正

事業主に対する制度も改正された。

まず、2025年から事業主のための代替人材助成金が拡大される。従来は事業主が直接雇用した代替人材に対してのみ支給されていた助成金が、派遣労働者にも拡大された。また、産前産後休業、育児中の短時間勤務に対して月80万ウォン支給されていた助成金が、産前産後休業、育児中の短時間勤務、育児休業を使用する労働者まで対象が広がり、助成金の金額も月最大120万ウォンに引き上げられた。

一方、2025年から賃金不払い根絶のための労働基準法が改正される。常習的に賃金を滞納した事業主は、その事実が信用情報機関に提供され、融資審査や金融取引で不利益を受けることになる。また、このような事業主は、政府の補助金や助成金の申請が制限され、公共機関の入札に参加する際、減点や参加制限などの不利益を受ける可能性がある。さらに、常習的に賃金を滞納し、名簿が公開された事業主に対しては、雇用労働部が法務大臣に出国禁止を要請できるようになった。

また、従来は退職者にのみ適用されていた未払い賃金に対する遅延利息(年利20%)が在職中の労働者にも適用されるようになり、常習的な給料滞納によって発生した被害に対しては、最大3倍の損害賠償を請求できるように改正された。

そして、小規模事業場の労働者の権益保護を強化するため、現在、5人未満の事業場に適用されていない、残業時間を含めた1週間の労働時間を52時間までに制限する「週52時間勤務制」や時間外・休日及び深夜の割増賃金、年次休暇等に関する規定が2025年から段階的に適用される見通しだ。

2025年から実施される労働関連政策によって、韓国の労働者の労働環境が改善され、ワーク・ライフ・バランスの実現や幸福度の向上に少しでも寄与することを期待したい。

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