意味がわかりません…〈年金18万円・72歳の夫〉を亡くした〈68歳妻〉、想定をだいぶ下回る「遺族年金」に恨み節「これでは働き損じゃないですか」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月22日 8時15分
写真はイメージです/PIXTA
内閣府が行った世論調査によると、一家の大黒柱が亡くなった際に遺族が受け取れる公的な保障「遺族年金」の認知度は8割弱。さらに細かなルールがあり「思っていたよりももらえない」というケースも。老後の生活設計にまで影響を及ぼすので、しっかりと知っておきたいものです。
4歳年上の夫を突然亡くした妻、不安「これからの生活はどうなる?」
山本裕子さん(仮名・68歳)。結婚45年、72歳になる夫を心筋梗塞で亡くしました。夫は毎日の日課であるジョギングを欠かさず、病気とは無縁でした。しかしある日の夕食後、突然、胸を押さえて苦しみだし、そのまま救急搬送されたといいます。
――健康には自信があったから、逆にいけなかったのかしら
【日本人の死因】
1位:悪性新生物(24.3%)
2位:心疾患(14.7%)
3位:老衰(12.1%)
4位:脳血管疾患(6.6%)
5位:肺炎(4.8%)
6位:誤嚥性肺炎(3.8%)
7位:不慮の事故(2.8%)
8位:新型コロナウイルス感染症(2.4%)
9位:腎不全(1.9%)
10位:アルツハイマー病(1.6%)
※厚生労働省『令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況』
夫との突然の別れに大きなショックを受けた山本さん。しかし、葬儀社との打ち合わせや、親族への連絡、葬儀の手配など、次から次へとやらなければならないことがあり、忙しい時間を過ごしたといいます。実務的な対応に追われ、悲しみを感じる暇もなく、葬儀の記憶はあまりありません。夫がいないことを実感したのは、葬儀を終えて自宅でひとり夫の遺影を眺めているとき。黒の額縁のなか、微笑む夫。すごく違和感を覚えた瞬間、やっと夫が亡くなったことを思い知らされ、ひとり泣いたといいます。
しかし、夫を亡くしても、山本さんの生活は続いていきます。そこでふと不安になったのは、これからの生活費のこと。きちんと整理しないと、お金が足りないなんてことがあるのでは……そんな不安が頭をよぎります。
【65歳以上女性・単身世帯の年間所得、それぞれの平均額】
■稼働所得…31.1万円
・雇用者所得…28.3万円
・事業所得…2.7万円
・農耕・畜産所得…0.1万円
■財産所得…12.5万円
■公的年金・恩給…121.8万円
■公的年金・恩給以外の社会保障給付金…4万円
■仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得…10.7万円
・仕 送 り…0.5万円
・企業年金…1万円
・個人年金等…7.2万円
・その他の所得…2万円
※出所:厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』
「遺族年金+自分の年金=月30万円」と目論んでいたが
そこで思い出したのが、10年前に行われた大学の同窓会で久々に再会した友人のこと。
・10歳年上の夫は、定年後に亡くなった
・今は遺族年金を月11万円ほどもらっている
そんな話をして、いろいろなテーブルを回っていたのです。山本さんは夫婦共働きで、亡き夫は65歳まで正社員で働いていました。年金は厚生年金が月13.8万円、国民年金と合わせると月20.3万円。一方で山本さんは、厚生年金が月12.2万円、国民年金と合わせると月19.0万円を受け取っていました。
――現在、友人も年金をもらうようになっているから、月18万~19万円くらいは受け取っているに違いない
――65歳まで働いていた私(=山本さん)なら、もっと年金をもらえるはず
「(彼女と同じように遺族年金が11万円だとしたら、自身の年金と合わせて)月30万円くらいにはなるかしら」。そんなことを思いながら年金事務所に手続きに訪れたといいます。しかし、そこで提示された概算の遺族年金額は「8,000円」。
――えっ、8,000円ですか? 意味がわかりません、どういうこと?
65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利が人が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは、「①死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「②死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高い方の額が遺族厚生年金の額となります。山本さんの場合①は10.35万円、②13.0万円で、遺族厚生年金は13万円に。
さらに65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合は、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となります。つまり、山本さんの夫の遺族厚生年金13万円のうち、山本さんの老齢厚生年金12.2万円は支給停止。差額の8,000円が受け取れるということになります。
専業主婦だった大学同期とそれほど変わらない年金額。「働いてこなかった友人と同じレベル……これでは働き損ではないか」、ため息をつくしかなかったといいます。
[参考資料]
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