このままでいいのかな…年収400万円・43歳の女性銀行員が「年収2倍」を実現できた“意外な副業”の正体【経営コンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月3日 10時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
1日におよそ400社近くの法人が設立されている日本(東京商工リサーチ:2022年「全国新設法人動向」調査より)。起業は思っている以上に身近な存在です。今回、地方銀行の事務として働く40代女性が副業をはじめたきっかけと、収入を大幅にアップできた理由をみていきましょう。経営コンサルタントの鈴木健二郎氏が解説します。
43歳・地方銀行員の漠然とした悩み
奈緒さん(仮名・43歳)は、地方銀行の銀行事務として、窓口業務を担当している。職場では顧客対応に追われ忙しい日々を送る一方、特に目立った業績があるわけでもなく、周囲からはどちらかといえば堅実で控えめな性格とみられていた。
年収は約400万円で実家暮らしのため、生活に不自由はない。しかし、40代に突入し、周囲は昇進や子育てなどで環境が変わっていくなか、自分だけが変わらぬ生活を送っている状況に焦る奈緒さん。
「このままでいいのかな……」
と漠然とした不安を抱えていた。
そんな彼女の趣味は、料理をつくること。特に、祖母から教わった伝統的な郷土料理を作ることが好きで、時折家族に振る舞ったり、友人におすそ分けしたりして楽しんでいた。
奈緒さんの転機となった、親戚の「ひと言」
そんなある日のこと。年末年始の集まりで親戚に料理を振る舞ったところ、そのうちのひとり、健介さん(仮名・30歳)が声をあげた。
「なにこれ! うま! 誰が作ったの!?」健介さんは都内に住んでおり、仕事が忙しくなかなか年末年始の集まりに顔を出せずにいたのだ。
「おいしいでしょう。こっちの地方の郷土料理なんだけど、おばあちゃんの味を受け継いで、いまは奈緒さんが作ってくれているのよ」
横にいた叔母がそう言うと、
「いやあ、俺出身こっちのはずなのに、こんなうまい料理初めて食った。この味を知らずに生きてきたなんて、損してたなあ」
と感動した様子であった。
すると、他の親戚も
「たしかにねえ。おばあちゃんがいた頃から毎年食べてたから気づかなかったけれど、よその地方にはない味かもしれないわね。私も作れたらいいんだけど……ねえ奈緒さん、今度私にも作り方を教えてちょうだいよ」
と、こぞって奈緒さんの腕前を絶賛した。
「ただの趣味が、こんなに人を喜ばせるなんて……」
この日をきっかけに、奈緒さんの気持ちに変化が生まれた。健介さんの感動した表情が忘れられず、料理教室に興味を持った奈緒さんは、まず似たようなサービスについてネットで検索をかけてみた。すると、「伝統料理」に特化したサービスはあまり見当たらないようだ。
「祖母から教わったレシピは、ただの家庭の味ではなく、地域文化そのものなのではないか。私がこのレシピを多くの人に教えることで、文化の伝承にもつながるかもしれない……」
親戚のひと言が引き金となり、地域の伝統料理を次世代につなぎたいという意識が芽生えた奈緒さんは、副業として「郷土料理」に特化した料理教室を開くことにした。
自宅を整え、友人を相手に「料理教室」をスタート
教室を開くにあたり、まず迷ったのは「場所」である。ネットで調べてみると、地域のカルチャーセンター、ショッピングモールの一角、オンラインなど、さまざまな選択肢があることを知った。
そのなかで奈緒さんは、まずは少人数に直接教えたいと、自宅を料理教室にすることを決意。キッチンやダイニングの配置を工夫し、自宅でありながら快適に学べる環境を整えた。
最初の参加者としては、友人や親戚を頼った。
「郷土料理を教える教室を開こうと思うんだけど、試しに1度来てみない?」
控えめな性格の奈緒さんの呼びかけに、驚きつつも友人らは喜んで了承。
「なにそれ! いいよ、行く!」
いよいよ週末、奈緒さんは5人の参加者を集め、1回目の料理教室を開催した。最初の一品に選んだのは、年末年始に親戚から褒められた汁物料理だ。
「おいしいし、やってみると簡単なんだね」「説明がわかりやすかった! これなら家でもできそう」
などと参加者全員がポジティブな感想を伝えてくれ、奈緒さんは思わず涙がこぼれそうになった。
「お人よし」が裏目に…奈緒さんが最初にぶつかった“壁”
とはいえ、その後は順風満帆とはいかなかった。料理教室を副業にするにはある程度の利益が必要だが、控えめな奈緒さんはその日かかった材料費と光熱費のみを「参加費」として徴収し、利益をほとんど出していなかったのだ。
また、知り合いに直接呼びかけるだけで特に広報を行っていなかった奈緒さんは、その後の集客にも苦労した。
さらに、知り合いの口コミで参加したという初対面の参加者からは、レシピの大ざっぱさや教え方に対して厳しい感想をもらうこともあった。
平日、仕事を終えてから夜な夜な食材やレシピの準備をする奈緒さんは、気づくと睡眠時間もわずかに。見かねた親から、「そこまで頑張らなくてもいいんじゃない?」と言われることもしばしばだった。
苦悩の日々から再起できたきっかけ
苦悩の日々のなかで、奈緒さんは初回に参加してくれた友人に相談してみた。友人の里美さんは長年、地元で1年に1度開催している文化イベントの実行委員をしている。
「実は、あの料理教室を副業にしたくて……」
奈緒さんが打ち明けると、里美さんは次のように言った。
「そうなんだ! なら今年のイベントで、郷土料理のワークショップ(WS)を開いてみたらどう? 知り合い以外もいっぱい来ると思うし、一気に認知度が上がると思うよ」
そして、奈緒さんはその年、イベントテントの一角で「郷土料理体験WS」を開催することになった。
すると当日、会場に漂ういい匂いに釣られ、多くの客が訪れた。また、奈緒さんは見学者を積極的に歓迎しようと、郷土料理の背景にある文化や歴史をまとめて紹介するコーナーも設けた。
結果的に、WSは大成功。「長年住んでいたのに、この料理にそんな背景があるなんて知らなかった」「教え方もわかりやすく、定期的に通いたい」と評判を呼び、奈緒さんの料理教室は週に2回の定期クラスへと発展していった。
また、WSで得た感想をもとに、講座内容もさらに改良。「郷土料理をビジネスパーソンの食生活に取り入れるコツ」などを盛り込むことで、付加価値を高めた。
奈緒さん自身の知名度も上がり、付加価値を高めたことで、参加費も適正価格に。奈緒さんの郷土料理教室は、徐々に軌道に乗り始めた。
副業から「本業」へ…奈緒さんは町を代表する“レア人材”に
やがて、奈緒さんは地元の自治体や観光業界からも声がかかるようになった。観光客向けの特別講座や企業研修の依頼が増え、奈緒さんの教室は単なる料理教室ではなく、地域文化を発信する拠点となった。
その結果、奈緒さんの副業は本業に並ぶ収益を上げるようになり、年収は副業と合わせて800万円を超える規模に成長。家庭と仕事のバランスも改善し、彼女は充実した生活を送っている。
奈緒さんの物語は、日常に埋もれがちな「無形資産」を掘り起こし、人生を変える力に昇華することができることを示している。彼女が成功を収めた要因は、ただの料理教室にとどまらず、「地域文化を伝承する」という独自の価値を見出し、それを軸に事業を展開した点にある。
副業や起業を検討している多くの人々が抱く「自分には特別なスキルがない」「失敗するのが怖い」といった不安は当然のことだ。
しかし、自分の持つスキルや経験を「他人にとっての価値」という視点で見直してみていただきたい。それは他人にとって新たな学びや喜び、課題解決の糸口となる可能性がある。
成功への第1歩は、完璧なアイデアを求めることではなく、小さな試行錯誤を積み重ねることだ。最初から大きな成功を目指すのではなく、目の前の小さな課題を解決することに集中する。そのなかで、無形資産の本当の価値に気づき、磨き上げていくプロセスが新しい未来を切り開く原動力となる。
本記事が、あなたのなかに眠る可能性に光を当て、新たな挑戦への1歩を踏み出すきっかけとなれば幸いである。
鈴木 健二郎
株式会社テックコンシリエ
代表取締役
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