日本の部長、平均給与「60万円」だが…まもなく迎える「厳しい定年後」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月21日 19時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
人生100年時代。60歳を過ぎても働くことが「もはや普通」になりつつある昨今ですが、企業側・労働者側双方の実態を見ると、残酷な現実が露わになっています。厚生労働省『令和5年 賃金構造基本調査』などとともにみていきます。
日本の部長の厳しすぎる現実
厚生労働省『令和5年 賃金構造基本調査』によると、「部長」の平均賃金は59万6,000円(年齢52.8歳、勤続年数22.5年)、「課長」の平均賃金は49万800円(年齢49.2歳、勤続年数20.9年)、「係長」の平均賃金は37万800円(年齢45.4歳、勤続年数17.6年)です。
一方女性だけに絞ると、「部長」の平均賃金は52万1,000円(年齢52.4歳、勤続年数19.5年)、「課長」の平均賃金は43万800円(年齢49.4歳、勤続年数19.3年)、「係長」の平均賃金は33万5,900円(年齢45.4歳、勤続年数16.6年)となっています。
部長の平均賃金「約60万円」というと一見高額ですが、これは税金や社会保険料を控除する前の額面であり、手取りでは40万円〜45万円程度となります。
この中から、住宅ローンや教育費、日々の生活費、さらには自身の老後資金の積立など、多岐にわたる支出を賄う必要があります。さらに交際費やスーツ代などの自己負担も増えがちです。その結果、実際には余裕のない生活を強いられるケースが少なくありません。
もちろんこれは平均なので、「もっともらっている」という人もいれば、「はるかに少ない」という人がいるのも間違いありません。特に役職者の場合、企業規模によって給与・責任の差は歴然。同じ肩書でもマネジメントする人数は変わりますし、プレイヤーとして大きく成長したものの、マネジメントは不得手であり、「肩書きだけもらったエース」といった存在もいることでしょう。
さて平均年齢「52.8歳」というと、「定年」の二文字が見え隠れする年齢です。60歳を迎えたそのとき、自分は何を選択するのか……。明るい未来を描きたいところですが、「定年後の再雇用」には、厳しい条件がつきものです。
「嘱託社員として定年以降もウチの会社で活躍してくれないか?」と誘われて喜んだものの、蓋を開けてみたら給与が「現在の半分以下」だった……といった話は決して少なくありません。
50代の頃「65歳以降も仕事をしたかった人たち」、実際は…
人生100年時代、定年延長についても法改正が進められていますが、企業の反応は芳しくありません。
厚労省『中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)』では、平成17年10月末時点で50~59歳であった全国の男女を対象として、継続的にアンケートを取っています。
第1回調査時(50〜59歳)に「65歳以降仕事をしたい」と答えた人のうち、実際に第17回(令和3年/66〜75歳)で「仕事をしている」と答えた割合は、男性の「66〜69歳」で66.6%、「70〜74歳」で51.7%、「75歳」で43.9%、女性の「66〜69歳」で53.8%、「70〜74歳」で39.6%、「75歳」で34.0%となっていました。
また第19回(令和5年/68〜75歳)で仕事をしている人が仕事をしている理由は「健康を維持するため」が男性53.8%、女性55.8%と最も高く、ついで男性が「現在の生活費のため」52.4%、女性が「社会とのつながりを維持したいから」43.4%となっています。経済面だけでなく、心理的な課題も大きいことがわかります。
定年延長が進んでいるように感じられますが、元は「65歳以降も仕事をしたい」と考えていた人であっても、実際に働いている人はあまり多くはないという実態。日本に生きるサラリーマンたちの未来は、危うくグラついています。
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