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60歳、年収は新卒初任給、仕事量は変わらず…定年退職→再雇用の先に待ち受ける現実。「やりがい搾取」されないために、やるべきこと

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月26日 8時15分

60歳、年収は新卒初任給、仕事量は変わらず…定年退職→再雇用の先に待ち受ける現実。「やりがい搾取」されないために、やるべきこと

(※写真はイメージです/PIXTA)

雇用主に安く買い叩かれる状況から逃れるためのリスキリング(学び直し)は、55歳からでも十分間に合います。また、5年あればいろいろなことが習得できるため、安心して定年を迎えることができるかもしれません。大塚寿氏による著書『会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)では、55歳から始めるリスキリングについて詳しく解説しています。本連載では一部を抜粋・再編集し紹介します。

会社に足元を見られ、安く買い叩かれないために

定年延長といっても、多くは60歳で定年、65歳まで再雇用というパターンが最も多いのではないでしょうか。70歳までの就業機会の確保が努力義務となりましたが、こちらも再雇用が前提で、50代の年収のまま70歳まで雇用されるわけではありません。

60歳でいったん定年退職し、新入社員並みもしくはそれ以下に引き下げられた年収や時給1200円程度での再雇用を、65歳からさらに70歳まで確保する努力義務というわけです。雇用確保という意味では、もちろん悪い制度ではありませんが、問題は年収です。

年収は半分以下に下がるも仕事量は変わらず…なんてことも

60歳となり制度上は定年退職し、再雇用として65歳まで同じ職場で働けるものの、立場としては「嘱託」で非正規雇用、年収は半減どころか新入社員並みになったにもかかわらず、仕事の量は60歳前とほとんど同じという人も少なくないのです。

大きな声では言えませんが、「やりがい搾取」と言われても仕方ないような……。「やりがい搾取」というより、むしろ「足元を見た有利な雇用契約」と言ったほうがいいかもしれません。安く買い叩かれているというわけです。

ですので、会社に足元を見られない、有利な条件で再雇用契約をせざるを得ない状況をつくり出すか、再雇用を断って自力で再就職できるだけのスキル武装をしておくことを強くオススメしたいのです。

普通にできることの守備範囲を広げよう

定年後も再雇用後も、みなさんはできれば、自身のやってきたことやスキルが活かせる仕事を望んでいます。当たり前のことです。

しかしこの時、特殊なプロフェッショナル領域でないかぎりは、「できること」が多ければ多いほど、トランプや麻雀の「役」と同様に、人材としての価値が上がるのです。ですから、普通にできることの守備範囲を広げましょう。

そこで念頭に置いてほしいのが、今はやりのリスキリングです。リスキリングというと、何かIT業界の専売特許のようですが、もちろん、それ以外の領域を含めた広い範囲のイメージです。

ここで強調しておきたいのは、55歳からスタートしても60歳の定年までの5年間があれば十分間に合うということです。

リスキリングはテーマ選びが肝心

20代、30代の頃に比べれば、新しいことを習得するのに必要な時間は余計にかかるようになっているかもしれませんが、逆に経験値は高まっています。

しかも「キントーンを習得する」ではなく、「エクセルの欠点を補うためにキントーンのスキルを身につけ、セールフォースではできなかった営業管理帳票を作成できるようにする」という背景を知っていればこそのリスキリングのテーマ選びが肝心です。

「プログラミング」「応用情報技術者」「社労士」といったリスキリングのメニューを見かけますが、私のリスキリングのイメージはもっと実務に寄ったところで、業際、つまりは自身の積み重ねたスキルの隣の領域のスキルを学び直しましょうというスタンスです。

例えば、人事畑の出身であれば、経理のスキルを身につけるために会計システムを使いこなし、決算までできるようになるということですし、逆にIT技術者にはアカウント・マネジメントの一環として、営業や折衝のスキルを習得してほしいと思います。

基本、どんなに苦手でも、50代、60代になっても、時間をかければ何でもできるようになります。もっと言えば、必要に迫られれば、オンラインツールも会計ソフトも短期間で習得できるものです。

アナログで会計嫌いの私でもマスターできた

私も典型的なアナログおじさんですが、コロナ禍がスタートした時の5月には必要に迫られてZoom、Teamsをマスター、6月に営業研修はグループに分かれたロールプレイングを含めて、すべてオンライン対応していました。

また、私の専門は法人営業、マーケティング・マネジメントになりますが、50代でのリスキリングという意味では必要に迫られ、50代で会計ソフトを一つ習得しました。

ちなみに、私は会計が生理的に大っ嫌いで、大学での簿記の成績はC、ビジネススクールでコストアカウンティングは落第して再履修したほどです。そんな私でもマスターできたのですから、守備範囲を広げるためのリスキリングに励みましょう。

自分の価値を高めるリスキリングのテーマを選ぶ

何のためのリスキリングかの背景を読んで、自分の価値がさらに上がるリスキリングのテーマを選択しよう。

大塚 寿 エマメイコーポレーション代表取締役

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