「MLB人気球団がリーグ優勝した年」は、米国実質GDP成長率が高くなる傾向がある【解説:エコノミスト・宅森昭吉氏】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月30日 14時10分
約40年にわたり国内外の景気分析をしてきたエコノミスト・宅森昭吉氏が、景気や市場を先読みするヒントを紹介する本連載。今回は「MLB各リーグの優勝チーム」と「実質GDP成長率」の関係について見ていきましょう。
24年は大谷翔平選手が大活躍、ドジャースがワールドチャンピオンに
アメリカのプロ野球リーグ「MLB(Major League Baseball)」は、アメリカン・リーグ(ア・リーグ)とナショナル・リーグ(ナ・リーグ)の2リーグで構成され、各リーグにはそれぞれ15球団が所属している。
2024年のワールドシリーズ(MLBの最終決戦)では、43年ぶりにドジャース(ナ・リーグ)とヤンキース(ア・リーグ)が対戦。結果、ドジャースが4勝1敗で制し、4年ぶり八度目のワールドチャンピオンとなった。
ドジャースがワールドチャンピオンをつかめた背景として、エンゼルスから移籍1年目となる大谷翔平選手の歴史的活躍が挙げられる。
大谷翔平選手は右肘手術の影響で打者に専念した2024年において、9月19日のマーリンズ戦で3打席連続ホームラン ・2盗塁をマークし、メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁(50−50)」を達成した。最終的には54本塁打・130打点と、打撃部門のタイトルで2冠を獲得し、盗塁数も59まで伸ばしている。
熱望がかない初出場となったMLBポストシーズンでは、合計3本塁打を打ってナ・リーグ優勝に貢献し、MVPに選出された。エンゼルス時代も含めて三度目のMVP受賞は歴代2位タイだが、三度とも満票での選出は史上初の偉業だった。
西の名門・ドジャース、東の名門・ヤンキース
西海岸の大都市・ロサンゼルスを本拠地とするドジャースと、アメリカ最大の都市・ニューヨークを本拠地とするヤンキース。2024年のワールドシリーズは、これら東西の大都市を本拠地とする人気球団どうしの1981年以来の対戦だった。
1903年のワールドシリーズ開始以来、ドジャースは2024年で22回目の進出で(リーグ優勝は25回目。1890年、1899年、1900年にも優勝)、ワールドチャンピオンには7回なっている。ドジャースは1988年に6回目のワールドチャンピオンになってから2017年に7回目のワールドチャンピオンになるまでの29年間、ワールドシリーズから遠ざかっていた。
2017年にはダルビッシュ有投手と前田健太投手が在籍、2018年は前田投手が在籍し、両年ともワールドシリーズに進出したが、いずれも敗退している。コロナ禍で短縮シーズンとなった2020年、32年ぶり7回目のワールドチャンピオンに輝いた。ドジャースのワールドシリーズ出場回数はナ・リーグ最多で、メジャーリーグ全体では第2位だ。
一方、ア・リーグを制したヤンキースは2024年で41回目の進出。過去に27回ワールドチャンピオンになっている。出場回数と優勝回数はともにメジャーリーグ最多だ。ドジャースがニューヨークのブルックリンを本拠地としていた時代も含めてワールドシリーズで12回対戦し、ヤンキースが8回、ドジャースが4回ワールドチャンピオンになった。
ドジャースが初めてワールドチャンピオンになったのはブルックリン時代の1955年で、このときの対戦相手はヤンキースだった。ただ、ドジャースが本拠地をロサンゼルスに移した1958年以降はワールドシリーズで5回対戦し、ヤンキースが1977年と1978年の2回、ドジャースが1963年、1981年、2024年の3回優勝と、ワールドチャンピオンを分けあっている。
メジャーリーグは20世紀初期から長い間16球団で運営されていたが、エクスパンション(球団拡張)によって1961年にエンゼルスとレンジャーズの2球団が、1962年にアストロズとメッツの2球団が創設され、1962年には20球団になった。現在の全30球団になったのは1998年だ。
「MLB各リーグの優勝チーム」と「米国実質GDP成長率」の関係
1961年以降のメジャーリーグより、ア・リーグとナ・リーグそれぞれの優勝チームごとに「実質GDP成長率の平均」を計算した。
まず、1961年から2023年までの63年間(ストライキで中止された1994年を含む)における実質GDP成長率の平均は+3.04%である。ヤンキースのリーグ優勝回数は15回で、実質GDP成長率の平均は+3.69%。ドジャースのリーグ優勝回数は11回で、実質GDP成長率の平均は+3.37%。すなわち、大都市を本拠地にする人気チームがリーグ優勝した年は、どちらも63年間の成長率平均を上回るという結果になった(図表)。
『ESPフォーキャスト2024年1月調査』では24年米国実質GDPの前年比平均見通しは+1.43%と低い数字だったが、『25年1月調査』では+2.75%になった。24年の米国実質GDPの前年比は1月30日に第一次速報値が発表されるが、当初の予測値より高めの伸び率になったと見られることは、ワールドシリーズに進出したのがヤンキースおよびドジャースという、“リーグ優勝した年の実質GDP成長率・平均が高いチーム”であったことと整合的だ。
24年の四半期ごとの米国実質GDPの前期比年率は、1~3月期が+1.4%と低い伸び率で、24暦年の実質GDPの伸び率の鈍化要因になったものの、4~6月期・7~9月期に続き10~12月期もしっかりした成長率になったと見られる。
宅森 昭吉
景気探検家・エコノミスト
景気循環学会 副会長 ほか
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