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愚かでした…年金「15万円」85歳母の後悔。〈働かない50歳ひとり息子〉に「月小遣い10万円」を渡し続けた20年の代償

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月26日 8時15分

愚かでした…年金「15万円」85歳母の後悔。〈働かない50歳ひとり息子〉に「月小遣い10万円」を渡し続けた20年の代償

親であれば、子のためにあらゆることをしてあげたいと思うもの。それは高齢になったとしても変わりません。しかしどこかのタイミングでしっかりと「子離れ」をしないと、とんでもないことになってしまうようです。

意図しない就職をした息子に対し、退職を促した母

50歳になるひとり息子、健太郎さんとふたり暮らしをしている伊藤幸子さん(仮名・85歳)。「愚かなことをしてきた」と後悔を口にしながら肩を落とします。

後悔の理由は、健太郎さんを甘やかしてしまったこと。

健太郎さんが2年の留年を経て大学を卒業したのは2000年のこと。就職氷河期のなかでも、特に就職の厳しかった時期です。大学を卒業しても仕事がない、いわゆる新卒無業者は12万1,083人と、前年から1.5万人ほど増加しました。そんななか健太郎さんは無事、就職。しかし採用は営業職で、希望した職種での就職は叶いませんでした。

【大卒者の就職率と新卒無業者数:1994年~2004年】

1994年: 70.0%

1995年: 66.0%

1996年: 63.0%

1997年: 66.0%

1998年: 68.0%

1999年: 55.8%

2000年: 63.3%

2001年: 60.0%

2002年: 63.0%

2003年: 63.0%

2004年: 70.0%

※出所:文部科学省『学校基本調査』

どちらかといえば内向的だという健太郎さん。営業職なんて務まるのか……幸子さんはそんな心配をしていたといいます。案の定、厳しい営業の世界。上司や先輩からは、毎日のように罵詈雑言を浴びせられる毎日だったとか。それでも厳しい時期に就職できたのだからと頑張っていた健太郎さんですが、就職から3年後、幸子さん自らが退職するよう促したといいます。

――毎日、どこか目がうつろで、「このままでは最悪なことが起きる」と思ったんです

母の勧めもあり、退職。健太郎さん、27歳のときでした。その後、健太郎さんは自宅の自身の部屋に引きこもるようになったといいます。

――心が疲れてしまったのだと思い、まずは休まないとと思って、まずは見守るようにしたんです

10万円を渡し続けて、気が付けば息子は50歳…

はじめは、数週間、休めば部屋から出てくると思っていたという幸子さん。予想通り、1ヵ月ほどすると部屋から出てきて楽しそうにテレビを観たり、近所のコンビニに買い物に行ったりするように。ただ再就職に向けては後ろ向きだったといいます。

――本当に嫌な経験だったのでしょう。トラウマになっているかもしれないので、自発的に仕事を探すようになるのを待っていました

しかし、今となってはこのときの判断が間違いの第一歩だったといいます。気分転換で遊べるようにと、月々小遣いとして10万円を渡すように。多いと思うかもしれませんが、健太郎さんが仕事をしている間、「仕事が忙しくて使う暇もないし。母さん、使うなり、貯めるなり……お願い」と給与のほぼすべてを家に入れていました。それを本人に返す、という意味も込めていたといいます。しかし、このことが余計に働こうという意欲をそいでしまったと幸子さん。

――何もしなくても10万円もの自由に使えるお金が手に入るわけですから、当たり前ですよね

働こうとしない健太郎さんに、毎月10万円を渡し続けて、気づけば20年以上の月日が経っていました。5年前には幸子さんの夫も亡くなり、幸子さん自身も85歳に。亡くなった夫の遺族年金を含めて、毎月手にする年金は月15万円。そこから月10万円を渡し続けています。

健太郎さんも50代。まわりと比べても仕方がありませんが、50代といえば定年も見えてくる頃。家族がいれば、まだまだ子どもの教育費に住宅ローンの返済に、ひーこらいっている年齢でしょうか。そろそろ老後を見据えて資産形成を加速させないと……そんなことを考えているタイミングです。それが幸せとはとても思うことはできませんが、現状の健太郎さんをみていると、そんな大変なことでさえも幸せに思えてきます。

――私が甘やかすばかりに、息子の人生を台無しにしてしまった。家から追い出すとか、それくらいのことをしてもよかったのかもしれません

【「高齢の親と未婚の子の世帯」の推移】

1980年:89.1万世帯(10.5%)

1990年:127.5万世帯(11.8%)

2000年:226.8万世帯(14.5%)

2005年:301.0万世帯(16.2%)

2010年:383.6万世帯(18.5%)

2015年:470.4万世帯(19.8%)

2019年:511.8万世帯(20.0%)

2022年:551.4万世帯(20.1%)

※出所:厚生労働省『国民生活基礎調査』

※2020年はコロナ禍のため調査なし、(かっこ)内数値は65歳以上の者のいる世帯に占める割合

平均寿命を考えれば、そう悠長なことはいっていられない。今からでも、息子を突き放すか……幸子さん、大きな決断を迫られています。

[参考資料]

文部科学省『学校基本調査』

厚生労働省『国民生活基礎調査』

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