あんた何か隠してない?元公務員・94歳祖母の「わずかな預金」に執拗にこだわる65歳次男。72歳長女が抱く不信感の正体は?【相続の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月27日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
相続は家族間の関係が深く絡むため、トラブルが起こりやすいテーマの一つです。特に、実家や預金などの遺産分割を巡っては、感情的な対立が生じやすく、相続人それぞれの立場や思惑が交錯します。遺言書がない場合や財産が不動産中心の場合、話し合いが長引くことも少なくありません。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、きょうだい間で起こる相続トラブルについて解説します。
実家を相続すればと言われても…
由里子さん(44歳・女性)は亡くなった祖母(90代)の相続につき、母親の代わりに相談に来られました。
母親は4人きょうだいの2番目で長女(72歳)、上に長男(75歳)、下に次女(68歳)、次男(65歳)がいます。祖父が亡くなったのは30年以上前で、その後、母親は実家でひとり暮らしをしてきました。
それぞれ実家を離れて自宅を購入していますので、同居する子供はいません。
次男が老後の面倒を
次男が実家の一番近くに住んでいたことから、老後の面倒を看てくれていたといいます。
母親が高齢になり、介護施設に入る際の手続きや、預金の管理・空き家になった実家の管理などもしてくれていましたので、きょうだいはみな、感謝しているといいます。
由里子さんの母親も、他のきょうだいも実家からさほど遠くはないものの、仕事をかかえていたり、配偶者の家族の世話が必要だったりして、母親の世話に専念することはできなかったのです。
長男は放棄
母親は遺言書を残さなかったため、4人で話し合いをする必要があります。長男は家を建てる時に母親から贈与をしてもらったということで、今回の相続分はなしでいいという申し出がありました。
遺産分割協議が決まれば、相続する財産はないという書類に印を押すということで話がついています。
母親の財産は自宅と預金です。自宅は土地が15坪程度、建物も老朽化していて、鑑定費用もかかる上に、狭い家に昔からの荷物がぎっしり詰まっているため、片付け費用もかかりそうです。
次男の提案に不信感が
通帳を管理していた次男が言うには、預金は300万円ほどしかなく、葬儀費用100万円を引くと200万円しか残らないという説明です。そうしたことを踏まえて、次男は「預金は自分が相続する、実家は姉二人で相続してくれればよい」ということを言ってきました。
由里子さんの祖母は公務員として70歳くらいまで仕事をしており、退職金も入ったと聞いていましたが、どれくらいの預金があるのか由里子さんの母親も聞いたことがなく、確かなことはわかりません。
けれども、質素に生活してきた祖母は年金だけで足りていたはずで、退職金はまるまる残してきたのではないかと思えて、次男の話を鵜呑みにはできず、「何か隠しているのでは?」と不信感が出てきたのです。
実家はいろいろと難がある
実家は、路線価では800万円程度になりますが、家の前の道路が4m未満のため、セットバックが必要となるため、建物を解体すると今の大きさの建物は建てられなくなり、かなり狭くなります。
また、道路が狭いため、機材がはいらず、建築費は割増しとなりそうです。
更に土地の所有は亡くなった祖父のままで、建物の面積が現状と合わないなど、いくつもの問題点があります。そのままでは路線価評価を大きく下回った金額でしか売れないと想定されました。
いらないものを押し付けられている?
しかも長女、次女で共有して長く所有するよりも、売却して分けることが現実的な分け方になりますので、名義替えの費用をかけて、売却していくことになります。
建物をつけたままの売却であれば解体費はかかりませんが、解体する条件となれば20坪の建物でも100万円近くかかりそうです。
いずれにしても、預金を相続する次男のほうが、手間がいらず賢い選択肢となりそうで、次男に言われるままの遺産分割でいいのかと疑心暗鬼になるのも無理はありません。
相続実務士のアドバイス
できる対策
●なるべく有利な価格で実家を売却する方法を選択していく。
●長女、次女が実家を相続して、一方に代償金を払うこともできる。
注意ポイント
●不動産の共有はしないように、売却して分ける。
●次男の提案に合意をせずに、預金や贈与も含めた財産で遺産分割をすることはできるが、感情的に対立するため、おすすめできない。
曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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