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お父さん、よく訴えられなかったね…〈年金月30万円〉で悠々自適の生活を送るはずだった76歳・元大手企業勤務の夫…罵倒されても寄り添い続けた妻が〈熟年離婚〉を決意した「娘のひと言」【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月30日 10時15分

お父さん、よく訴えられなかったね…〈年金月30万円〉で悠々自適の生活を送るはずだった76歳・元大手企業勤務の夫…罵倒されても寄り添い続けた妻が〈熟年離婚〉を決意した「娘のひと言」【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

静男さん(76歳)は定年後夫婦2人で生活していました。しかし、定年後の静男さんの態度が最終的に離婚を招く結果になってしまったのです。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、熟年離婚の一例とそうならないための注意点について解説します。

毎月「約30万円」の年金を受け取って暮らす静男さん夫婦

静男さんは60歳で定年退職し、その後は年金だけの収入で暮らしています。妻の靖子さん(75歳)は専業主婦でしたが、静男さんの企業年金がかなり多く、76歳になる現在でも毎月30万円程度の年金を受け取っています。靖子さんの年金は老齢基礎年金だけですが、それでも夫婦2人ならゆとりのある生活を送れるでしょう。

静男さんは自分の親の世代を見て育ったこともあり、妻を働きに出すということは考えませんでした。逆に妻を働かせることは恥ずかしいと思っていた世代です。

静男さんは大手企業に就職し、その後順調に昇進していったこともあり、定年前には年収が2,000万円を超すこともあったそうです。また企業年金も手厚く、退職金と合わせると5,000万円程度あります。

靖子さんは専業主婦でしたが、子どもが小学校高学年になった頃からさまざまな趣味を持つようになりました。着付けを習ったり、革細工を作ったりと空いた時間を自分の趣味のために使っていたのです。

また、靖子さんは結婚前に実家でピアノの先生をやっていたこともあり、少しばかりの貯金もありました。

定年退職後の生活に不穏な影が…

静男さんは完璧主義で、自分の思うとおりに相手が動かないとイライラしてしまう性格です。もちろん会社では表面にだすことはありませんでしたが、定年という開放感から、その矛先が妻の靖子さんに向いてしまったのです。

靖子さんが掃除機をかけていると、「ぜんぜん掃除になってないじゃないか!」と怒り、靖子さんがすべての部屋の掃除機をかけ終わるまでチェックする日が続きました。

また、靖子さんは趣味を通じて知り合った友達も多く、日中に出掛けることもしばしばありました。靖子さんとしては夫が定年になる前から続いていた付き合いなので、当然のことと考えていましたが、しょっちゅう外出する靖子さんに対し、「俺の昼ご飯はどうするんだ!」言ってくるのです。

靖子さんとしては、近くにコンビニエンスストアもあることだし、自分で済ませてもらえるものと思っていましたが、「お前が昼間に外出するときは弁当を作っておけ!」と言われる始末。しかし、靖子さんは今まで不自由なく生活できたのは夫である静男さんのおかげだと思い、静男さんの言うとおりお弁当を作って外出していました。

妻の入院をきっかけに最悪な事態が勃発

あるとき、靖子さんは持病の腰痛が悪化し、しばらく入院することになりました。手術後のリハビリもあり、入院期間は4ヵ月にも及んだそうです。

緊急入院だったため入院前の準備もできず、静男さんは家のこと一切を自分でやらなければならなくなってしまいました。しかし、これまで家事はすべて靖子さんに任せていたため、何をするにもどこに何があるのかさっぱりわかりません。

そのため、わからないことがあるとその都度靖子さんの携帯にLINEで問い合わせ、確認する事態に。しかし、靖子さんはLINEに慣れておらず、的確に伝えることができません。やり取りをするうちに静男さんがヒートアップし、電話口で怒鳴られることもあったそうです。

仕方なく、靖子さんは結婚している娘に一時的に帰ってきてもらい、静男さんの世話をしてくれないかとお願いしました。しかし、娘も子どもの受験を控えておりあまり長くは滞在できません。そのため、娘は最低限、静男さんが生活できるように家のなかを整えて帰ることになりました。

それだけでもありがたいと思っていた靖子さんですが、ある日、静男さんから届いたLINEを見てびっくりしました。LINEの内容は「俺の誕生日にも家にいないなんてどういうことだ!」という怒りの文句でした。さらに、家事代行サービスや食事の調達費用にお金がかかることなど文句がずらずらと並べられていたのです。

静男さんとしては寂しかったのでしょう。しかし、そういった言い方しかできなかったのです。

靖子さんはそのときは「すみませんでした。」と謝ったものの、夫に対する敬意が一気に失せてしまいました。

そして靖子さんの退院後、程なくして離婚話を切り出したのです。実は娘も一時的に帰ってきた際に父親である静男さんの態度に怒りを感じていました。そして、密かに「お母さん、もう我慢せずに離婚したらいいよ。一緒に暮らそう。お父さん、完全にモラハラだしヤバいよ……。よく部下からパワハラで訴えられなかったね。」と言ってくれたのです。病気で入院している母に対する態度が人として許せなかったからです。

娘からのひと言が靖子さんの背中を押し、靖子さんは離婚を決意。静男さんは離婚話を切り出されたときも激昂し、好きにしろと言い放ちました。靖子さんは未練なく離婚し、娘一家と暮らすことにしたのです。もちろん財産分与を行うことも忘れてはいませんでした。

熟年離婚せず夫婦円満で暮らしていくコツ

その後、静男さんは自宅で1人で暮らしています。現役時代は仕事一筋で頑張ってきたため友達もいません。1人では外に出る気持ちにもならず、ほぼ家にいる毎日です。訪ねてくる知り合いもいません。

静男さんは短気でカッとなる性格ですが、あとで言いすぎたかなと考える性格です。しかし、それを表に出すことはできず、自分から謝ることもできません。

定年後は夫婦でゆっくりと暮らしていけると思っていた静男さんですが、今となっては靖子さんに感謝の気持ちを言葉にしてかけてあげればよかったと後悔しています。また、自分も何かの趣味を持って友達を作っておけばいろいろと相談できたのにと悔やんでいます。

財産分与を行ったため、静男さんの貯金は2,000万円を切っています。もし介護が必要になった際に誰に頼めばいいのか、また施設に入れるのかという不安もあります。一番不安なのは病気になったときです。看病してくれる人もいないため、症状が長引くことも多くなりました。

いつも家に帰ったらご飯が用意されており、掃除や洗濯もしてもらえる生活は決して当たり前ではありません。最近では共働き夫婦も増えてきましたが、それでもどちらかに家事の負担が偏っているケースもあるのではないでしょうか。

専業主婦も立派な仕事です。家族同士でもお互いに感謝し、尊重する気持ちを忘れないことが大切です。

また、日頃からコミュニケーションをよく取り合い、自分に何かあったときに家族が困らないよう必要最低限の情報を共有する工夫も忘れないようにしましょう。

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

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