初場所の懸賞本数は史上最高更新 「豊昇龍」の優勝と大相撲を彩る記録ラッシュ【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月28日 7時15分
(※画像はイメージです/PIXTA)
大相撲初場所は、豊昇龍の優勝と横綱昇進という歴史的な出来事だけでなく、懸賞金の状況からも経済状況との関連性がみえてきます。各種データを基に初場所を徹底分析し、大相撲と社会経済の関わりを考察しましょう。本稿では、景気の予告信号灯として大相撲初場所を取り上げ、エコノミスト・宅森昭吉氏の解説をみていきます。
大相撲初場所は大関・豊昇龍が大関として初優勝
大相撲初場所――大関・豊昇龍が優勝決定巴戦で金峰山&王鵬に連勝して2度目の優勝。第74代横綱に推挙される見込みと報道。大相撲初場所で大関・豊昇龍が関脇時代の2023年名古屋場所で初優勝して以来2度目の優勝、大関昇進後では初の優勝を飾りました。結びの一番で琴桜との大関対決に勝利。優勝決定巴戦に進み、前日14日目まで1差で追っていた金峰山と、千秋楽に金峰山に勝ち星を並べた王鵬に連勝しました。
石破茂首相が、優勝した大関・豊昇龍に内閣総理大臣杯を授与しました。首相が大相撲での表彰式に臨んだのは、昨年10月に就任してから初めてです。24年九州場所の表彰式では、政府関係者ではなく日本相撲協会の八角理事長が首相の代理として表彰していました。
大関・豊昇龍は、24年九州場所千秋楽結びの大関・琴桜との相星決戦の際、仕切り線で足を滑らせる形になり優勝を逃していましたが、優勝に準ずる成績です。豊昇龍の優勝決定後、日本相撲協会の高田川審判部が八角理事長に大関・豊昇龍の横綱昇進を諮る臨時理事会の招集を要請しました。これを受け、豊昇龍の横綱昇進が確実になったと各メディアが報道しています。高田川審判部長は、
「優勝というものを念頭に置いていた。決定戦、本割も素晴らしい内容。今場所すべて前に出ていた。負けた相撲も力負けしていなかった。もともと気持ちが強い力士。引いたりはたいたりする相撲が、特に先場所今場所はなくなった」とコメントしました。1月29日の臨時理事会、春場所の番付編成会議を経て正式に第74代横綱が誕生する見通しということです。
豊昇龍の叔父で元横綱・朝青龍は、2002年九州場所において14勝1敗で初優勝。綱獲りとなった03年初場所では、9日目の取組で敗れた際に左足薬指脱臼などの怪我を負ったものの、その後も負傷を感じさせない相撲で14勝1敗の成績に。2場所連続優勝を達成し、場所後に第68代横綱へ昇進しました。
景気面でみると、2003年(平成15年)の朝青龍の昇進時は景気(第14循環)の拡張局面で、今回豊昇龍が昇進すれば、同様に景気(第17循環)の拡張局面に当たることになると思われます。
初場所の懸賞事前申し込み数、過去最多に
大相撲初場所の懸賞事前申込本数は2,955本で過去最多本数。初場所初日の結びの一番、横綱・照ノ富士と小結・若隆景の取組には初日としては過去最高の60本。大相撲初場所の懸賞事前申込本数は2,955本で、24年秋場所前の9月7日に日本相撲協会が発表した2,628本の過去最多本数を上回っていました。24年初場所の事前申し込み本数2,366本と比較すると、前年比は+24.9%の増加でした。
初場所初日の結びの一番、横綱・照ノ富士と小結・若隆景の取組には初日の取組としては過去最高の60本が懸かりました。今春の東京ドームのMLB開幕カードのドジャースーカブス戦の宣伝として大谷翔平選手が描かれた懸賞旗も登場しました。さらに初場所14日の結びの一番、2敗の前頭・金峯山を追う、3敗同士の結びの一番の大関・豊昇龍と前頭・尊富士の取組には58本が懸かりました。
初場所千秋楽では、琴桜と豊昇龍の大関同士の結びの取組に懸かったのは、54本にとどまりました。懸賞が分散して懸かった感があります。王鵬との一番に勝てば初優勝が決まる金峰山の前頭同士の取組にファン投票1位の森永賞も含め26本懸かりました。大関・大の里と前頭・宇良の取組に40本懸かりました。
懸賞本数、過去最高を更新→企業収益の好調さ示唆
初場所優勝の大関・豊昇龍の獲得懸賞は308本で第2位、大関・大の里が327本で第1位に
初場所で一番多く懸賞を獲得したのは、大関・大の里の327本です。初場所優勝の大関・豊昇龍が獲得した懸賞は308本で第2位に。負け越しになってしまった大関・琴桜でしたが、獲得した懸賞は179本で第3位でした。番付上位の3大関がベスト3になりました。
大相撲初場所の懸賞本数は過去最多本数を更新、9場所連続で前年同場所比増
初場所の懸賞本数は2,815本と、横綱・照ノ富士が引退したものの、過去最高だった24年秋場所の2,455本を更新しました。24年初場所の懸賞本数は2,088本だったので前年同場所比は+34.8%で9場所連続の前年比増加になりました。企業収益の好調さ、広告費の増加傾向を示唆しているといえるでしょう。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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