〈上級国民〉のお姉ちゃんには私の気持ちなんてわからないよ…一方的に妬みをぶつけられる52歳女性。〈85歳母親〉の財産・1億円を独り占めしたい49歳妹の呆れた主張とは?【相続の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月31日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
親の相続をめぐり、きょうだい間でトラブルが発生するケースは少なくありません。特に、財産の分け方に対する考え方の違いや、過去の感情のしこりが影響すると、話し合いが難航することも。今回の相談者・秀子さんも、母親の相続について妹との関係に不安を抱えています。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、適切な相続対策について解説します。
85歳の母の相続人は…
秀子さん(52歳女性)が相談に来られました。父親は10年前に亡くなっていますので、母親の相続人は秀子さんと3歳下の妹の二人です。
母親は85歳ですが、まだ、元気で、父親が亡くなった後もマンションでひとり暮らしをしています。
秀子さんは結婚して二人の子供に恵まれ、夫は上場企業に勤めるサラリーマンで、海外勤務もしてきました。妹は結婚したものの離婚して、現在はひとり暮らしをしています。
相続税は払える。家賃も入る
父親が亡くなったときは、母親がすべてを相続しましたので、なんら問題はありませんでした。けれども母親の相続となると簡単にはいかないと秀子さんは言います。
母親の財産は現在住んでいる自宅マンションと貸家2軒と金融資産で約1億円。相続税はかかりますが、預金で払える範囲だと確認できました。現在は2軒の貸家から家賃が入るので、年金と合わせて生活に困ることはありません。
それでも母親の相続が心配
秀子さんの一番の心配ごとは妹だと言います。夫や子供たちに恵まれて、しかも、正社員として仕事をしている秀子さんに対し、妹は離婚歴があり、子供は流産して恵まれず、いまは契約社員という立場です。
父親が亡くなって程ないころから、妹は体調を崩して入院、仕事も続けられなくなりました。そのころから、秀子さんや母親に対して不満を持つようになり、なにかとぶつかるようになったのです。
姉への妬みが爆発
その後、秀子さんは夫の勤務の関係で海外転勤となり、離れている間は、問題はなく、妹も落ち着いていました。ところが秀子さんが、日本に戻って生活をするようになってからはまた、妹の病気が再発してしまったのです。
仕事のストレスや姉への劣等感などが精神的なダメージをかかえるようになり、入院、投薬が必要になりました。母親に任せるのは大変なので、入院の保証人や手続きなどは秀子さんがしていて、定期的に様子を見に行くのですが、口を開けば病気になったのは秀子さんのせいだ、自分は犠牲になったという言葉ばかりだと言います。
母親の財産は自分に
妹の病状からは母親の老後を託すことはできないため、秀子さんが責任を持つつもりでいます。また、妹には不動産の管理、運用も難しいと思われるため、それも秀子さんが引き受けるつもりです。
しかし、妹は最近になり、母親の財産はすべてもらいたいと言い出したのです。姉は仕事も家族もあり、なにも困ることはないから、それでいいだろうというのです。昔から姉ばかりいい思いをしてきたので、我慢してきた自分に権利があるという理屈のようです。妹は「お姉ちゃんばかりズルい!」「お姉ちゃんは上級国民なんだからいいじゃない!」とわめいて手が付けられない状態でしたが、母親が激怒。なんとかしないといけないと思われたようです。
理屈が通じないときは遺言書が必須
妹の状態を考えて、今からできることをしておきたいというのが秀子さんの相談内容でした。話を聞く限りでは、冷静な話し合いができるとは思えません。
そこで、母親の遺言書は必須だと言えます。母親の相続時に妹の体調がよくなっているかもしれませんが、姉に対する妬みは長年のもので、なくなるとは思えません。話し合いをしなくてはいけない場合に、まとまらないばかりか、長年の恨みごとを言い出す機会になりかねません。
よって、母親の遺言書は必須だとアドバイスしました。
ほどよく分けることも必要
それでも相続したあとの妹の生活は長いと思われますので、ほどよく分けることも必要になります。財産はいったん秀子さんが相続し、不動産は処分して、等分くらいの割合で分けることが妥当だとアドバイスしました。ここでバランスを欠いてしまうと、さらに妬みの対象となりかねません。
遺言書を作る目的は話し合いをせずに、母親の意思で財産を渡せること、遺言執行者を指定しておくことで手続きができることです。
感情的な対立がある場合、本人の説得は難しい
すでに感情的な対立がある場合、いいことでも説得できません。円満な話し合いになるはずがないと容易に想像できます。そうした事態にならないように、母親に遺言書を作成してもらうことは必須です。
秀子さんの母親の年代では遺言書はまだハードルが高く、抵抗感があると言うことですが、妹を説得するより母親を説得するほうがはるかに楽だとアドバイスしました。
秀子さんは早速母親を説得すると言って帰られました。
曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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