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わずか3%の持ち株比率が課税の根拠?アメリカにはない日本の〈配当金特例〉の不公平な現実とは

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月2日 11時15分

わずか3%の持ち株比率が課税の根拠?アメリカにはない日本の〈配当金特例〉の不公平な現実とは

(画像はイメージです/PIXTA)

ビル・ゲイツをはじめとするアメリカの「超富裕層」たちが役員報酬を受け取らない背景には、税金の問題があります。日本でも同じ行動をとれば節税になるのでしょうか? 残念ながら、日本の税制の現実は、アメリカよりもずっと厳しいものでした。本稿では、国際税務のプロフェッショナルが日本の配当金への特例的な課税について解説します。

アメリカの超富裕層が役員報酬を受け取らないワケ

故ジョブズは年棒1ドル、その他ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグなど、アメリカの超富裕層はほとんど役員報酬を受け取っていません。主たる所得はキャピタルゲインと配当所得です。なぜそうするかというと、税金の問題があります。しかし、何故かマスク氏だけが、昨年から高額報酬になりました。彼だけは税金に無関心です。

日本でいうところの給与に対しては、アメリカでも総合課税で、地方税を含めると最高50%近くになります。ですが、キャピタルゲインや配当の税率は10数%のみです。

しかし、日本ではそうはいきません。

かつては個人の配当所得は20%の分離課税のみで完結しました。1億円の配当があっても、税金は20%で手取りは8,000万円あったのです。

その後、これが「金持ち優遇税制」と批判を受け、オーナーは20%の源泉ですむことなく総合課税へ変更されました。つまり給与などと合算されるので、今では配当収入も最高55%の税率です。

3%の株を持っているとその企業の「所有者」に

日本では、オーナーかどうかは持ち株比率で区別しています。その会社の総発行株数の3%を超えて所有しているかどうかで決めているのです。数パーセント所有していると完全なオーナー、実質的な所有者とみなされます。

国際的にみてもそれはないでしょうが、日本の富裕層の反発もなく、すんなり法案は可決しました。

昔は経団連などが反発していました。今の経団連のほとんどがサラリーマンの経営者です。

そうなると、オーナー一族は細かい対策に乗り出しました。

まず資産保有会社を作って、その会社に株を持たせました。その会社が受け取る配当は益金不算入にして、実質的な課税をゼロにしました。個人の保有比率を3%未満に抑えました。保有比率を2.9%などとして防衛を図り、配当金課税を20%に抑えたのです。

ところがその後、また税制改正が行われ、令和5年10月1日以後に受け取る配当について、オーナーの同族会社(資産管理会社)を通じて保有する分と合算して持ち株割合が3%以上かどうかを判定するとした法律になりました。

そうなると、オーナー経営者が2.9%、資産管理会社が10%ではアウト。さらにいえば、奥さんが2%、長男が1%でも家族全員が引っかかります。中学生の孫が0.5%だとしても配当は会社と合わせて3%以上ですので、たとえ100万円の配当も総合課税となるのです。

ここでおかしいのは、金額が基準ではないということです。持ち株比率のわずか3%での線引きとなっています。

鳩山由紀夫首相が母親から毎月1,500万円をもらっていた事件では、その原資はブリヂストンの配当からでした。年間数十億円の配当も3%未満であるので、20%の分離課税のみです。

欧米にはないこのような配当金特例課税に、ますます嫌気がさす富裕層。外国の優秀な人材は日本に来ません。わずかな税収で世間受けを狙う、情けない国であるといえます。  

税理士法人奥村会計事務所 代表

奥村眞吾

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