年寄りは稼ぐなってことですか?…65歳・年金月23万円、温厚な元営業部長が意気消沈。原因は再就職後に日本年金機構から届いた〈年金停止〉の通知
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月3日 8時15分
今や多くの人が年金受給開始の65歳まで働くのは当たり前。70代以降も働き続けるという人も少なくありません。しかし、「稼いだせいで年金が減る」という思わぬ落とし穴が存在することをご存じでしょうか? 詳しく見ていきましょう。
65歳ベテラン営業マン「まだまだ隠居はしたくない」
大学卒業後に新卒で入社した会社一筋で、営業マンとして働いてきた田上和男さん(仮名・65歳)。それなりに名の通った会社で部長まで昇りつめたことを誇りに思っていました。
もちろん楽しいことばかりではありませんでしたが、特別な趣味がない田上さんにとって仕事は生きがい。60歳で継続雇用になってからは1,000万円を超えた年収が720万円程度まで減りましたが、仕事に手を抜くことなく働いてきました。
いよいよ65歳を迎える1年前。同じ年の友人の中には「やっと仕事を辞められる」「ゴルフでもやって暮らすよ」と話している人もいましたが、田上さんは違いました。
普段から営業であちこち飛び回っているので体力には自信あり。それなのに家にいるだけの毎日になっては、身体にも頭にも毒になる。仕事をしなくなったら、一気に老け込むであろう自分が想像できました。
世間では人手不足が問題になっているのだから、意欲がある人はもっと長く働けるようにしてくれたらいいのに。そう思っても、勤め先の会社では65歳を超えると働くことはできません。そのため、別の会社での再就職を決意しました。
できれば営業のノウハウや人脈を活かしたい。そう思い、周囲にもそれとなく「まだ働きたい」と話すようにしたところ、幸運にも田上さんの仕事ぶりを兼ねてから評価していたクライアントから「ぜひうちに」という声がけが。田上さんは願ってもないと、オファーを快諾したのでした。
とはいえ、当然これまでと同じ条件ではありません。収入はさらに下がって500万円程度に。しかし、それでも世間の同年代からすれば十分な金額であることを田上さんは理解していました。
「65歳で年金ももらえる上に、給料もこれだけあれば十分だ。期待に応えられるよう頑張ろう」
そういってやる気いっぱいで働き始めたのですが、ある日、思わぬ事態に。日本年金機構から「年金停止」という驚くべき内容の通知が届いたのです。
「いったいどういうことだ?」
稼ぎすぎると年金が減らされる制度?
田上さんがハマったのは「収入が多すぎるシニア」に対する年金制度の落とし穴です。公的年金を受け取りながら給与や役員報酬などを受け取る人は、「在職老齢年金」という制度に注意が必要しなければなりません。
在職老齢年金という名称を見ると、特別な年金を受け取れるようなイメージをする人もいるかもしれませんが、実態はむしろ逆。老齢厚生年金の基本月額と給与・賞与など会社での収入の合計が月50万円(2024年度)を超えると、年金の一部または全額が支給停止になるというのが基本的な仕組みです。
停止額は「(老齢厚生年金の基本月額(※)+総報酬月額相当額-50万円)×1/2」です。田上さんの場合、年金は月にすると23万円程度で、そのうち老齢厚生年金が月16万円。そして、新しく入った会社から受け取る給与(総報酬月額相当額)は月41万円ほどでした。
結果として、月3万5,000円ほどの年金がカットされてしまうことになったのです。
※基本月額…老齢厚生年金(年額)を12で割った額
※総報酬月額相当額月給(標準報酬月額)に、直近1年間の賞与を12で割った額を足した額
これには温厚な田上さんもさすがに怒り心頭。愚痴をこぼします。
「働いて金が減るなんて、年寄りは稼ぐなっていうことなのか? あと何年でも働きたいけれど、その分、年金で損をする金額も積み重なっていくっていうことか。営業成績が良くて賞与をもらえたとしたら、もっと削られる…? あまりに理不尽すぎるよ」
とはいえ、働くことに収入以上の価値があるというのも田上さんの考え。そのため、会社とは在職老齢年金が適用されない範囲の収入で、その分、仕事の負荷も多少下げるということで、話し合いをしたのだとか。
それなりに稼ぐ予定のシニアは注意を
高齢化が進み、今や70代で働くのも当たり前の時代。それなのに、収入が多いから年金が減るという制度は時代錯誤と言う意見も多く、経団連は制度の見直しと共に将来的な廃止といった見解を示しています。
とはいえ、当面は「そこそこ稼ぐ予定のシニア」はこの制度に注意が必要。在職老齢年金制度について知っておくと共に、最新の動向に注意しておくとよいでしょう。
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