年々高まる「大谷翔平がホームランを打った日」の株価上昇確率【解説:エコノミスト・宅森昭吉氏】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月3日 11時10分
約40年にわたり国内外の景気分析をしてきたエコノミスト・宅森昭吉氏が、景気や市場を先読みするヒントを紹介する本連載。今回は「大谷翔平選手の活躍」と「日経平均株価」の関係を見ていきましょう。
大谷選手の活躍と日経平均株価の関係
2021年と2022年では、大谷翔平選手(以下、大谷選手)のホームランと日経平均株価の間に明確な関係は見られなかった。2021年の「大谷選手がホームランを打った日」は、日経平均株価が上昇したパターンが10回、下落したパターンが19回、そもそも市場休場日(土休日)だったパターンが14回。2022年では、上昇9回、下落8回、休場日(土休日)11回だった。
しかし、2023年になると大谷選手への注目度が一段と上がったことから、大谷選手の活躍と日経平均株価との関係は深まったと感じる。
大谷選手が参加した侍ジャパンが米国を破り14年ぶり三度目の優勝を果たしたWBCでは、テレビ視聴率が軒並み40%台となり、大いに盛り上がった。優勝を決めた米国との決勝戦のビデオリサーチ・関東地区の視聴率は42.4%で、午前中に決勝戦が行われた3月22日の日経平均株価の終値は、前日に比べ520円94銭高と大幅上昇した。
レギュラーシーズンに入っても侍ジャパンメンバーの活躍が日々大きく報道され、野球熱の高い状況が続いた。侍ジャパンメンバーのなかでも二刀流の大活躍でMVPを受賞した大谷選手の報道は、以前よりも多くなった。
大谷選手に一段と注目が集まった影響か、2023年は上昇19回、下落10回、休場(土休日)11回で、大谷選手のホームランの明るい話題が、株価上昇に結びついていたように思われる。
大谷選手、2022年から3年連続「好きなスポーツ選手・第1位」
読売新聞は、毎年1~3月頃に『スポーツ世論調査』を実施している。同調査の「見るのが好きなスポーツ」ランキング第1位は毎年「プロ野球」だが、2023年は「大リーグ」が第9位とベスト10入りし、2024年には第4位まで上昇した。
大リーグ人気の高まりには、近年の大谷選手の活躍が大きく寄与していると思われる。2021年シーズンには、2001年のイチロー選手以来となる日本人史上2人目のシーズンMVPを受賞。2022年シーズンには、1918年のベーブ・ルース以来104年ぶりとなる、2ケタ勝利・2ケタ本塁打を達成。また、投手・打者の両方で規定回(投球回・打席)に達した初めての選手となった。
2023年のWBCでは、エース兼打者として日本の優勝に大きく貢献し、WBCのMVPも受賞した。シーズンでは日本人初の本塁打王となり、さらには日本人史上初の2回目のシーズンMVPも獲得した。
読売新聞『スポーツ世論調査』では、好きなスポ―ツ選手ランキングも発表している。大谷選手は22年の調査で初めて第1位になり、24年まで3年連続で第1位になった。
質問時は、好きなスポーツ選手を3人まで自由に書く回答方式を採用しており、特に選択肢が用意されているわけではない。そんななか、22年は大谷選手397票、2位の選手165票。23年は大谷選手444票、2位78票。24年は大谷選手が634票と過去最高票を集め、2位の選手(76票)を大きく引き離した。年を経るごとに大谷選手の人気が一段と高まってきた感がある。
大谷人気とともに高まる「ホームラン時の株価上昇確率」
大谷選手によるメジャー史上初の「50-50」達成は、多くの人々に元気と勇気を与えたと見られる。「50-50」からの「51-51」を達成した2024年9月20日(日本時間)の日経平均株価は、前日から568円58銭上昇した。
2024年の「大谷選手がホームランを打った日」は、日経平均株価が上昇したパターンが16回、下落したパターンが11回、休場(土休日)だったパターンが23回。大谷選手がホームランを打った日における日経平均株価上昇割合は【上昇回数÷(上昇回数+下落回数)×100〔%〕】=59.3%で、ほぼ6割になった。
では2024年より前、エンゼルス時代の2021年から2023年最後の3年間にかけての、大谷選手がホームランを打った日の日経平均株価上昇割合はどうであったか。
2021年は34.5%だったが、『スポーツ世論調査』で初めて「好きなスポーツ選手」第1位となった2022年は52.9%に上昇。第2位との票差が366票と、2022年(232票差)から大幅増加した2023年は、ホームラン打った日における日経平均株価上昇割合が65.5%に上昇した。なお、2024年の票差は558票だった。
なお、最近4年間におけるシーズン中の日経平均株価(3月末から9月末で計算)はマチマチで、2021年と2023年は「上昇した年」、2022年・2024年は「下落した年」となっている。
上昇基調の年は上昇割合が高く、下落基調の年は上昇割合が低くなりやすいと思われることから、この影響を除去するために、株価変動比率調整済みの日経平均株価上昇割合を求めた。【上昇割合÷3月末から9月末の日経平均上昇比率】で計算すると、2023年は【65.5÷1.136】=57.7%、2024年は【59.3÷0.939】=63.2%になる。
2024年の大谷選手の活躍は、日経平均株価にとって明るい材料になったと見られる。
宅森 昭吉
景気探検家・エコノミスト
景気循環学会 副会長 ほか
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