一体、どうなってるんだ!亡き父の遺産は1,500万円の自宅と3,000万円の預金?話し合いに応じない「自宅を譲り受けたい」姉と「介護を担当した」妹に55歳男性が頭を抱えたワケ【相続の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月3日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
家の管理や介護などを、hbんmjきょうだいがそれぞれ担当した結果、生前にしていた相続の約束と異なる遺産分割を主張することがあります。このような状況に陥ったら、どこに相談するのがよいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、遺産分割を家庭裁判所に相談するケースについて解説します。
父親の相続
英之さん(55歳・男性)から父親の相続手続きについて、相談がありました。母親は5年前に亡くなっており、そのときは父親が中心に手続きをしました。母親の財産は預金程度で申告の必要もなく、父親がすべて引き受けましたので、何も問題なく終わったといいます。
今回は姉(50代)と妹(40代)と英之さんの3人が相続人です。遺言書はないので、3人で遺産分割協議をしないといけないのですが、それが思うように進まないのでどうすればいいかと英之さんから相談がありました。
家は姉が管理
父親の財産は評価が1,500万円の自宅と預金です。自宅は近くに住む姉が相続する予定になっており、英之さんと妹も合意しています。英之さんはすでに自分の自宅があり、妹は海外に居住しているため、賃貸住まいの姉が相続することは父親の生前から言われていて、母親が亡くなったあとは姉が父親の食事のサポートなどをし、家の管理もしていました。
父親の介護
父親は亡くなる1年ほど前から体調を崩し、入退院を繰り返していました。姉は仕事をしていて、つきっきりで看病することは難しいため、亡くなる2ヵ月ほど前から妹が日本に帰り、父親の介護を担当していました。
妹の配偶者は外国籍で、夫の国で生活していますが、子どもはいません。そうしたことから妹が2ヵ月ほど近く父親の介護をすることができたと言えます。
預金がはっきりしない
妹が父親の介護をするようになり、預金も管理していました。通帳も妹が預かっていましたので、残高を知らせるように何度か催促して、ようやく3,000万円くらい残っているという返事がきました。
それ以上になると相続税の申告も必要になるため、早めに確認したいところですが、通帳を見せようとしないため、はっきりした金額が伝わってきません。
姉と妹は連絡を取り合っているようで姉、妹対英之さんという構図になっているようです。生前に父親が長女へ名義預金を渡したこともあり、その他の現預金もあるはずとのことです。
介護した自分がもらいたい
何度かやりとりをするうちに、妹は介護をした自分が預金を全部もらう権利があると言い出しました。姉は自宅をもらう予定になっているという主張で、預金ももらいたいと。それぞれの思惑が対立して話し合いがまとまりそうにないといいます。
相続税の申告が必要か否かは預金や名義預金の額によるため、早めに確認をしてしまいたいところです。妹から通帳の写しをもらえば済むことですが、それができないならば、英之さんが預金の取引履歴を入手することができるので、そうしたほうが良いとアドバイスしました。
話し合いが難しい
財産が確認できれば、次に分け方の話し合いが必要になりますが、現状では姉と妹が話し合いに応じないようです。これではいつまでも進みません。こうしたケースでは第三者に間に入ってもらうことが必要になります。
姉と妹が英之さんと円満に話し合いをしようということであれば、全員の意思を確認して合理的な分割案を提案することができるので私でも担当することが可能です。しかし、現状では全員の意思確認をすることが難しいと思えますので、英之さんが弁護士に依頼し、家庭裁判所の調停に持ち込むことが妥当だと判断しました。
事前に通知し、再確認した上で、自分達だけでは分割協議ができないとなれば、弁護士、家庭裁判所が依頼先になります。英之さんは、やはりそうした手段が必要ですねと、解決に向けて気持ちが固まったようです。
相続実務士のアドバイス
●できる対策
⇒預金は相続人の1人が申請すれば取引明細を入手できる。相続人間で話し合いがつかないときは弁護士、家庭裁判所が依頼先となり決断が必要。
●注意ポイント
⇒弁護士に依頼、家庭裁判所の調停をするときょうだいはコミュニケーションがとれなくなり、絶縁になりかねない。
曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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