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俺たち農業を継ぐ気はないよ…からの「相続税を払うお金が1,200万円足りない!」賃貸業を営む兼業農家の義父が倒れて露呈した事態に〈45歳嫁〉が焦ったワケ【相続の専門家が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月2日 11時15分

俺たち農業を継ぐ気はないよ…からの「相続税を払うお金が1,200万円足りない!」賃貸業を営む兼業農家の義父が倒れて露呈した事態に〈45歳嫁〉が焦ったワケ【相続の専門家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸業との兼業農家の長男と結婚した史子さん。義父が病気の宣告を受けてから農家を続けることが難しくなり、かつ義父の財産では相続税を支払うための預金が足りないことがわかりました。いまからできる対策はないのでしょうか。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、相続税が預金で払えない場合の対策について解説します。

兼業農家に嫁いだ史子さん

史子さん(45歳・女性)は兼業農家の長男と結婚しました。夫の両親と同居して、子どもたちと3世代同居をしています。両親は野菜農家で、義父が先代から相続した広い畑があり、その畑で育てた野菜をJAの販売所に納品して収入を得ています。

しかし、野菜の販売だけでは生活できないため、父親は40年ほど前から8軒の戸建て貸家を建てて賃料を得てきました。

義父が体調を崩した

義父は80歳になり、体調を崩して入院。手術して、回復はしたものの病名を告知されており、いつ再発するか分からない不安があります。ようやく退院できたものの、もう農作業はできない状況。これからどうすればいいかと史子さんから相談がありました。

長男である史子さんの夫はサラリーマンで、農業を継ぐつもりはないといいます。今年の野菜の出荷は義母と史子さんを中心に、近くに住む次男にも手伝ってもらってなんとか出荷できていますが、父親が農業をできないとなると継続が難しいといいます。

父親の財産と相続税

父親の財産を確認すると、所有する土地は全部が市街化区域のなかにあり、畑と言っても相続では宅地並みの評価となります。自宅が400坪、貸家250坪、畑2,500坪、田1,500坪あり、建物1,000万円と合わせた評価の合計は約2億円。

預金は約2,000万円ですから、財産の91%が不動産、土地が86%を占めています。相続人は母親と子供二人の3人ですから、基礎控除は4,800万円。相続税を計算すると3,200万円と試算されますので、すでに納税できる預金が足りないということが明白となりました。

課題が多い

義父は多くの土地を所有しているが、現状では土地のいずれかを売却しないと相続税が払えないため、不安があります。また、貸家8棟のうち、4棟は空き家のまま放置してあるという状況で、これも検討課題と言えます。

さらには今後、長男、次男ともに農業を継ぐ意思がないため、納税猶予も使って農地の維持をすることができないため、農地でない活用をしていく必要があります。

相続になる前に対策を

義父は多くの土地を所有していることから、相続になったら土地を売って相続税を払えばいいという考えがあるようですが、それでは相続税は減らすことができずに、土地が減ってしまう結果になります。

そうならないよう、相続になる前の今、父親が決断して対策をすることで、相続税を減らすことができ、後継者がいない農業を廃業して不動産賃貸業を専業にしていくことが、できる対策と言えます。畑を売却し、賃貸状況の見通しがよい立地に買い替える資産組み替えをすることで更地から賃貸住宅に変わり、時価の30%以下の評価に変わります。

仮に農地と空き家も含めた土地について資産組み替えをすると、相続税は1,000万円以下に下がり、70%の相続税を節税することができるのです。史子さんはすぐに家族で話し合って相続プランを作ってもらいたいということで委託を受けましたので、現在、具体的な売却の評価をしているところです。

相続実務士のアドバイス

●できる対策

⇒市街化の農地を売却、賃貸住宅に買い替える。空き家の賃貸住宅は建て替えか、売却かを検討して、満室経営をする。農業後継者がいない場合は廃業し、不動産賃貸業を専業とする。

●注意ポイント

⇒父親の決断が必要になるため、なるべく早く対策を終えてしまわないと進まなくなるので、要注意。賃貸住宅は自宅と同じエリアではなく、賃貸状況がよい立地に持つ方が空室リスクを軽減できる。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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