早く出て行かないかな…母が残した土地は2,400万円の評価額。さっさと遺産分割をしたい〈59歳女性〉が頭を抱える、2階から降りてこない「55歳弟の存在」【相続の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月6日 10時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
遺された財産に預金がなく、不動産のみをきょうだいで分けるしかない場合もあるでしょう。しかし、その不動産に現在も誰かが居住していたら、どのように分割すれば良いのでしょうか? 本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、現在も居住している住宅を売却して遺産分割に充てる場合について解説します。
母親が亡くなって1年半
八重子さん(59歳・女性)が相談に来られました。母親が亡くなって1年半経つのに、まだ遺産分割ができていないというのです。父親は八重子さんが幼いころに離婚。母親は働きながら八重子さんをはじめ、弟、妹の3人を育ててくれました。幸い、祖父母の家に同居してきましたので、祖父から相続した30坪の自宅が母親の財産として残りました。
八重子さんと妹は結婚して実家を離れましたが、55歳の弟が独身のまま、ずっと母親と二人暮らしをしてきたのです。弟は母親と暮らしていたときから2階の自室に閉じこもり、八重子さんや妹とも滅多に顔を合わせることはできませんでした。
一周忌が過ぎた
母親の一周忌も過ぎたころ、そろそろ財産の分け方を決めようときょうだいで話し合いの場を設けました。話し合いには弟も渋々参加しました。しかし、弟が言うには母親の預金はほとんど残っていないと言うのです。そういうことであれば、唯一の財産である家を売却して分けるしかないという話になり、おおむね、3人ともそうするしかないと合意をしています。
しかし、弟が「すぐには出られない」「売ったら住むところがなくなる」「俺、行くところない」などと言い出し、再び2階の自室に閉じこもってしまいました。頭を抱えた八重子さんはどうしたらいいかと相談に来られました。
手付金で引っ越し、解体できる
土地の相続評価は2,400万円、建物は90万円だと確認できましたので、基礎控除4,800万円以下となり、相続税の申告は不要で、相続税もかかりません。母親の財産には預金がほとんどないということであれば、自宅を売って分けることが妥当な選択肢と言えます。
そのため、長男の住み替えが必須になりますので、住むところは探して移ってもらう必要があります。一般的には、契約後、引き渡しまでの1、2か月の間に新しい住まいに引っ越しをするのですが、契約した手付金で引っ越しや建物の解体費用が賄えるような契約をします。
実務的には長男が取得して代償金
自宅を売る場合は、住んでいる人であれば居住用の特例で3,000万円控除が使えるため、3,000万円以内の価格で売却した場合は、譲渡税がかかりません。
特例のメリットを生かすには自宅は長男名義として、八重子さんと妹には弟が代償金を払う内容の遺産分割協議書を作成して手続きをします。そうすることで税金を減らして手取りを多くすることができるのです。
また、引っ越し費用は必要経費と考えて、弟の手出しがなく捻出できるような資金計画にすれば持ち出しがないので、弟の理解も得られやすいと言えます。
すでに母親が亡くなってから1年半が過ぎたということですので、なるべく早いうちに売却して分けることをお勧めしました。先延ばしをするだけ、気持ちのズレが不満となりうまくいかなくなります。弟に合理的な説明をして納得してもらいましょう。
曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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