エベレスト級のプライドがズタズタに…最高月収200万円だった「65歳元メガバンカー」、定年退職後のハローワークで受けた屈辱【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月12日 10時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
定年後も働き続けるシニア層が増えているなか、彼らが直面する現実は厳しいものです。現役時代に豊富な経験やスキルがあるようにみえても、十分に活かすことができず、非正規雇用や低賃金の職に就かざるを得ない人も少なくありません。本記事では、高橋さん(仮名)の事例とともにシニア層が財務的安定を確保する方法について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナー・波多勇気氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
高すぎるプライドがズタズタに…
「これが現実なのか? いや、こんなはずはない……」
都内のハローワーク。高橋さん(仮名)は、カウンターの前でじっと求人票を見つめていました。かつて、彼はメガバンクの幹部候補としてキャリアを積み、最高月収は200万円を超え。とりまとめていた部下は50人以上いました。65歳での定年退職後も、豊富な経験を活かしてすぐに新たな職が見つかると信じていました。
しかし、現実は大きく違ったようです。ハローワークで紹介された求人は、警備員やマンション管理人、時給1,200円の事務職ばかり。目の前に積まれた求人票には、かつての栄光とは程遠い条件が並んでいました。
定年退職後も働く理由
高橋さんは老後の生活費を計算し、愕然としました。退職金3,000万円と企業年金を合わせても、月々の支出を考えれば20年後には資産が尽きることがわかったのです。物価上昇や医療費の増加を考慮すると不安が募ります。「落ち込んでいる場合じゃない。まだ気力も体力も十分にある。俺はまだまだたくさん稼げるぞ!」と妻に宣言し、意気込んでハローワークにやってきた矢先のことでした。
「私のような経歴の者に合う仕事はありますか?」
「そうですね……シニア向けの求人ですと、このあたりでしょうか」
窓口の担当者が無造作に差し出した数枚の求人票。そこには、工場作業員、配送ドライバー、コンビニの深夜スタッフといった職種が並んでいました。
「これは……冗談でしょうか?」そう口からでかけましたが、担当者は真剣な表情。銀行員時代、高橋さんが主に関わっていたのは経営者や富裕層などの“選ばれし者たち”です。しかし、ここでは彼自身が“その他大勢”の求職者に過ぎませんでした。
日本のシニア再就職市場の現実と財務的課題
高橋さんのように、定年後も働き続けようとするシニアは増えています。総務省のデータによれば、2024年時点で65歳以上の就業率は約25%です。しかし、その多くは非正規雇用や低賃金の仕事が中心です。
「シニア層向けの求人は増えているものの、必ずしも現役時代のスキルや経験を活かせる職場が用意されているわけではありません」と、人材紹介会社の担当者はいいます。
また、老後の生活設計を見直す必要が出てきます。一般的に、老後の生活費は夫婦で月30万円程度が必要とされますが、年金だけではカバーしきれず、資産の取り崩しが必要となります。特に、
・退職金の運用方法を誤ると、数年で資産が尽きるリスク
・インフレによる生活費の増加
・医療/介護費用の予測不能な負担
これらの要因を考慮せずに退職を迎えると、想定外の経済的苦境に陥る可能性があります。
シニアが財務的安定を確保するには?
「どうすれば、老後の資産を守りながら、キャリアを活かせるのか」高橋さんは悩みました。しかし、あるとき旧知の経営者と再会し、新たな道が開けました。
「顧問として手伝ってくれませんか?」相手は、中小企業の社長。経営アドバイザーとしての役割を求められました。高橋さんは自身の経験を活かせるこの提案を受け、結果として会社の財務戦略を立て直し、大きな成果を上げました。
定年後も財務的安定を確保するには、
1.資産の運用計画をしっかり立てる
2.専門スキルを活かせる分野を探す
3.企業とのマッチングを自ら行う
4.柔軟に働き方を変える
ことが重要です。ハローワークの求人だけが選択肢ではありません。投資や副業、スキルを活かしたコンサルティング業務など、複数の収入源を確保することで安定した老後を迎えることができます。
高橋さんもいまでは、「最初はショックでしたが、結果的には自分の価値を再発見し、資産運用の重要性も学びました」と笑顔をみせてくれました。
定年後のキャリアにおいて大切なのは、過去の栄光にすがるのではなく、新たな道を柔軟に模索し、財務面での安定を確保することです。
波多 勇気
波多FP事務所
代表ファイナンシャルプランナー
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