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お父さん、助けて…〈貯蓄4,000万円〉〈年金月約28万円〉に親の土地も相続した60代夫婦。娘の「突然の帰省」によって悠々自適な老後がご破算になった「まさかの事態」とは?【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月5日 10時15分

お父さん、助けて…〈貯蓄4,000万円〉〈年金月約28万円〉に親の土地も相続した60代夫婦。娘の「突然の帰省」によって悠々自適な老後がご破算になった「まさかの事態」とは?【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

入念に老後のライフプランを考え、それに沿った資産形成を行っていても、思わぬ事態で計画が狂ってしまうケースもあり得ます。その場合は、状況によってその後の生活設計を変更しなければなりません。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、老後生活中に思わぬ事態に直面したケースとその際に取った方法について解説します。

貯蓄4,000万円に年金約28万円、親の土地も相続していたが…

浩一さん(68歳)は妻の冴子さん(66歳)と2人暮らしです。浩一さんは60歳で定年退職したあとは働かないと決めており、早くから65歳までの収入のつなぎの意味も含めて個人年金保険に加入していました。

浩一さんの個人年金保険は60歳から65歳まで毎年300万円を受け取れる保障内容で、さらに、妻の冴子さんが浩一さんの定年後は65歳までパートで働いてくれたこともあり、年金受け取り開始の65歳までの生活費に困ることはありませんでした。

冴子さんが65歳になってからはパートも辞め、夫婦共々年金収入だけでの暮らしに変わったものの、夫婦合わせた年金額が28万円程度あったため、特に生活に支障もなく、身の丈に合った生活が送れていました。

浩一さんの退職金も合わせた貯蓄額は4,000万円あり、また親が管理している土地を相続していたため、老後生活に大きな不安は感じていませんでした。

一人娘に起こった衝撃の出来事とは!?

浩一さん夫婦には娘(夏美さん、27歳)がいます。不妊治療の末にやっとできたこどもということもあり、大切に育てていたことはいうまでもありません。

夏美さんは大学卒業後、付き合っていた男性とすぐに結婚し、離れて暮らしていました。

しかしある日、夏美さんは1歳のこどもを連れて浩一さんの元に帰ってきたのです。原因は相手の男性のDVでした。事実、夏美さんの顔にはあざがあり、DVが常習的に行われていたことは明らかでした。

程なく離婚届も提出し、相手の男性とはそれきり連絡を取っていません。親権は夏美さんが持ち、養育費を払ってもらうことになっていたものの、相手から支払われることはなかったそうです。

それから、浩一さん夫婦、夏美さん、夏美さんのこども(美奈ちゃん)との4人生活が始まったのです。

夏美さんは浩一さん夫婦にこどもの面倒を見てもらいながら、パートで収入を得て浩一さんに渡していました。

老後生活に突如発生した新たな子育て

ある日、なかなか起きてこない夏美さんの様子を冴子さんが見にいったところ、夏美さんが布団のなかで冷たくなっていたのです。息をしていないのは明らかでした。

死因は「心不全」。夏美さんは特に持病もなく健康体でしたが、慣れない子育てやそのなかでのDVなどでストレスを抱えていたのかもしれません。

浩一さん夫婦は話し合い、美奈ちゃんを2人で育てることにしました。しかし、こどもを成人するまで育てるにはお金がかかります。

夏美さんは生命保険に入っておらず、死亡保険金もありませんでした。

浩一さん夫婦の共通の趣味はキャンプで、落ち着いたらキャンプに行こうと話していましたが、そんな夢も実現できそうにありません。

美奈ちゃんのために学資保険にも加入し、2人で美奈ちゃんが成人になるまでは美奈ちゃんがお金に困ることがないようにするほか、美奈ちゃんを浩一さん夫婦の養子にする手続きも行いました。

しかし、貯金を取り崩していくだけの生活。2人暮らしと3人暮らしでは、貯蓄が減っていくスピードが異なります。美奈ちゃんが中学生になる頃には貯金が尽きてくる可能性は十分に考えられます。

相続した土地を駐車場として活用することに

浩一さんが相続した土地は、もともと両親が住んでいた家を取り壊したあとのものです。相続したのが1年前ということもあり、浩一さんはいずれ月極駐車場として貸し出して活用しようと思っていました。

観光地に近く、道路に面した角地という立地のよさもあり、コインパーキングとしても活用できます。どちらにするかは今後ゆっくり検討しながら決めようと考えていたのです。

しかし夏美さんが亡くなり、美奈ちゃんを育てることになったことから土地活用の計画も早めざるを得ません。

浩一さんは悩んだ末コインパーキングとして活用することにしました。コインパーキングを運営する会社と賃貸契約を交わし、年金以外に年間200万円の収入を得ることになった浩一さんはひとまず安心しています。

とはいえ、コインパーキングの需要も今後どうなるかわかりません。その時代にあった活用方法に変更しなければならなくなる可能性もあります。

さらに今後、自分たちが介護状態になったらどうするかなど不安の種は尽きませんが、とりあえずこの状態で生活していく予定です。

老後は夫婦2人で生活していくことが当たり前と考えている人が多いかもしれません。しかし、何らかの理由で世帯の人数が増えてしまうことも考えられます。世帯の人数が増えた分収入も増えれば問題ありませんが、人数が増えるだけで収入が変わらない場合は、何らかの収入を得る方法を見つけなければなりません。

浩一さんの場合はたまたま親から相続した土地を活用できましたが、土地がなかったら、自分の家を売却するなどの方法も考えなければならなかったでしょう。

老後の生活を考えるにあたり、万が一のことも考えながら余裕を持った資金計画を立てておくことや、そうなったときに自分がどんな対応ができるかもあらかじめ考えておく必要があるといえそうです。

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

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