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え?「介護は嫁の務め」っておっしゃいました?この〈昭和脳〉の兄妹が!…寝たきりの義母を3年間介護し続けてきた64歳女性、遺産2,000万円の分割が終わった直後に家庭裁判所に駆け込んだワケ【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月7日 10時15分

え?「介護は嫁の務め」っておっしゃいました?この〈昭和脳〉の兄妹が!…寝たきりの義母を3年間介護し続けてきた64歳女性、遺産2,000万円の分割が終わった直後に家庭裁判所に駆け込んだワケ【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

寄与分とは、相続人のなかに被相続人の介護を献身的に行った際に認められるものですが、しばしば協議でもめる原因にもなります。また、相続人でなくても寄与料が認められるケースもあります。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、「寄与分」と「特別寄与料」の違いについて解説します。

夫と夫の母親と3人で暮らしている幸子さん(64歳)

幸子さん(64歳)は夫の隆(65歳)さん、そして夫の母親である啓子さん(87歳)との3人暮らしです。もともと結婚してから隆さんの両親と一緒に暮らしており、隆さんの妹は結婚して別の場所で暮らしています。

また、幸子さんの2人のこどもも結婚し、それぞれ所帯を持っています。

3年にわたる介護期間

啓子さんは84歳のときに脳梗塞で倒れ、右半身が麻痺しています。寝たきりの状態が続き、幸子さんが食事の世話や着替えや排泄の世話などをずっと行っていました。

結婚したときから一緒に暮らしていたこともあり、お義母さんの介護をするのは「嫁の務め」だと思っていた幸子さんですが、たまには自分の用事で出掛けなければならないときもあります。しかし夫の隆さんは介護の経験がなく、なにもできません。そもそも介護を覚えようともしないのです。

また、隆さんの妹にもたまには介護を手伝ってほしいとお願いしたのですが、「それはお嫁さんである幸子さんの役目でしょう?」と令和に生きているとは思えない言葉が返ってくるだけです。

仕方なく、自分が出掛ける時間は最小限に留め、どうしても必要なときは訪問介護サービスなどを利用することにしました。

退職後も介護に否定的な夫

夫の隆さんは最近まで会社に勤め、退職しました。

隆さんが会社に勤めている間は仕方ないにしても、退職したんだから介護を少しでも手伝ってほしいという気持ちが幸子さんにはありました。しかし、いくらお願いしても「お前が一番よくわかっているんだから、お前に任せる」というだけです。「この昭和脳の兄妹が!」とさすがの幸子さんもブチ切れそうになりました。

啓子さんの亡きあとに兄弟で言い争いに

結局、啓子さんは半年後に亡くなり、啓子さんの遺産は隆さんと隆さんの妹で分けることに。

幸子さんが遺していた金融資産(2,000万円)を2分の1ずつ分ける話になっていましたが、隆さんが「うちで母さんをずっと介護していたんだから2分の1ずつはおかしい。300万円は寄与分としてこっちがもらう」と言い出したのです。つまり隆さんが1,300万円、隆さんの妹が700万円を相続する形です。

それに怒ったのは隆さんの妹です。「お兄さんはただ一緒に住んでいただけで、介護なんてしていなかったでしょう? それじゃ寄与分なんか主張できないわよ。」と言い出す始末。

お互い主張を譲らず平行線のままでしたが、確かに介護らしきことをしていないのは明らかです。一般的に見ても隆さんの主張は認められません。

結果、金融資産は2分の1(1,000万円)ずつ分ける話に落ち着きました。

しかし、それだけでは終わらなかったのです。

幸子さんが主張した特別寄与料とは

幸子さんは3年間ずっと献身的に介護をしていました。本来なら、実子である隆さんや隆さんの妹が行うことをずっと行ってきたのです。

幸子さんは啓子さんの相続人ではありませんが、息子の配偶者という関係でもあり、特別寄与料の請求が認められるのです。特別寄与料とは2019年7月から施行された制度です。そして幸子さんは250万円の金額を隆さんに請求しました。

250万円の金額の根拠は、啓子さんの介護について介護保険を利用した際にかかっただろうと思われる額です。介護用ベッドのレンタル代なども含むと妥当な金額でしょう。

しかし隆さんは「嫁という立場上当たり前のこと。そんなお金を払うつもりはない。」と幸子さんの要求を認めませんでした。

特別寄与料の請求には家庭裁判所への申し立てが必要

幸子さんは、隆さんが納得してくれないこともあり、家庭裁判所に申し立てを行いました。その際には、申し立てができる期限内に行うことも忘れていません。

特別寄与料の申し立てには期限があり、「相続が開始された日から1年以内」、もしくは「幸子さんが相続が開始されたことそして相続人を知った日から6ヵ月以内」です。

最終的には家庭裁判所の決定により、幸子さんは200万円の特別寄与分を隆さんから受け取りました。

幸子さんは本当はお金が欲しかったわけではなく、感謝の言葉を隆さんや隆さんの妹からもらいたかったのです。しかし、一切介護を手伝わない2人の言動に我慢できませんでした。そして、特別寄与料の請求という行動に出たのです。

幸子さんには今後、自分の親の介護も待っています。幸子さんは妹と2人姉妹で、「お父さんやお母さんの介護についてはお互い助け合いながら行っていこうね」と今から話しているところです。

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

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