一寸先は闇でした…結婚生活42年、憩いの喫茶店を経営する67歳“おしどり夫婦”に訪れた突然の別れ。葬儀後、妻に突きつけられた「まさかの遺族年金額」で二重の悲嘆
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月8日 8時45分
人生、何があるか誰にもわからないもの。夫婦2人の老後が長く続くと思っていても、突然終わる場合もあります。そんな時、さらにお金の問題が降りかかってきたら……。そんなケースをご紹介します。
喫茶店経営の仲良し夫婦、突然の別離
中野さん夫婦(仮名・共に当時67歳)は、地方都市の小さな町で喫茶店を経営。アットホームな雰囲気が落ち着くと、シニア中心に住民が集まる憩いの場となっていました。
夫の義雄さんは、学生時代にアルバイトをしていた喫茶店を先代の経営者から引き継ぎ、仕事は喫茶店経営一筋。その後、客として訪れていた妻の道子さんと出会いました。
子どもはなく夫婦2人で42年間、一緒に人生を歩んできましたが、ある日突然の別れが。義雄さんが心筋梗塞で倒れ、帰らぬ人になったのです。道子さんはあまりのことに呆然としながらも、なんとか夫の葬儀を済ませました。
一息ついた道子さんは喫茶店の継続に悩みましたが、1人で店を背負っていく気力はありません。夫がいたからこそやってこられたんだ、そう思い、店じまいを望みました。
とはいえ、生きていくために必要な「お金」という現実的な問題もあります。これまで夫と年金と合わせて月あたり13万円強の年金があり、それに店の売上も足して生活をしていました。
そこではたと、恐ろしい事実を思い出しました。自営業者の遺族年金は、確か……。慌てて年金事務所に問い合わせた道子さんは、「遺族年金の対象外」という事実をあらためて突きつけられたのです。
遺族年金をもらえる人・もらえない人
遺族年金は、配偶者を失った人の暮らしを支える給付ですが、全員が受け取れるわけではなく、支給額も一律ではありません。「亡き夫がもらっていた年金が、そのままスライドする形で妻が受け取れる」といった勘違いをしないよう注意が必要です。
遺族年金には、国民年金の加入者が亡くなったときに遺族が受け取れる「遺族基礎年金」と、会社員など厚生年金の加入者が亡くなったときに遺族基礎年金に上乗せで受け取れる「遺族厚生年金」の2つがあります。ただし、それぞれの年金受給には条件があります。
遺族基礎年金は、18歳未満の子がいる配偶者または18歳未満の子どもが対象です。要するに、子どものいない人は対象外です。対象者が受け取れる額は、年81万6,000円の基本額(2024年度)と子どもの加算額。第2子までは年23万4,800円、第3子以降は年7万8,300円です。
遺族厚生年金は、妻と18歳未満の子どもが対象で、夫に関しては妻が亡くなった時に55歳以上の場合のみ対象になります。対象者が受け取れる額は、亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)に4分の3を掛けた額です。
その上、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方について、遺族の年収が850万円(所得金額655万5,000円)以上の場合、支給対象外となります。
年金は月6万8,000円だけという現実…道子さんの決断
もしものことがあったらお金は、店はどうする……その話をきちんとすべきだったのに、毎日やることに忙殺され、後回しにしていたことを悔やむ道子さん。
多少の貯金と、夫が掛けておいてくれた死亡保険金1,000万円が救いでした。しかし90歳、100歳まで生きる可能性、この先医療費や介護費がかさむ可能性などを考えたら、十分とも思えません。
道子さんは考えた末、できる範囲で喫茶店を続けていこうと決意。店を畳んで入るお金がなければ不安しかなく、やることがなくなれば老いが加速するだけだと考え直したのです。
ありがたくも、店がなくなっては困るからと店の手伝いを買って出てくれる常連客も少なくありませんでした。先のことはわからないけれど、とにかくやれるところまで。道子さんはそう前を向いたそうです。
道子さんのケースのように、特に自営業者にとって厳しいのが遺族年金のルール。会社員以上にしっかりと、いざという時のためのお金を用意しておく必要があります。
いつ何時、何があるかわからないのが人生ですから、遺された配偶者が困ることのないよう、入念に準備をしておくべきでしょう。
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