人生なんて苦行です…1978年高校卒の男性、サラリーマンを40年以上続けても〈退職金ゼロ円〉65歳から受け取る〈年金額〉に絶望…死ぬまで働くしかない「厳しい現実」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月11日 7時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
高齢化、長寿化が進む日本において、65歳以上の高齢者の就業率は25%。65~69歳で52%、70~74歳で34%、75歳以上が11%となっています。年を重ねても働くことが当たり前になってはいますが、その理由を尋ねると、なんとも切羽詰まった高齢者の実態がみえてきました。
20年勤めた会社が倒産。再就職した会社に退職金制度はなく…
遠藤浩之さん(仮名・65歳)。1978年に商業高校を卒業して就職。当時の大学進学率は26%ほどで、男性に限っても40%ほどと、まだ半数を超えていませんでした。遠藤さんは大学に進学したかったものの、家の経済事情を考えると早く独り立ちするほうが現実的だったといいます。
結婚したのは28歳のとき。日本はバブルで段々と浮かれモードになってきたときのこと。2人の子どもをもうけ、家も買いました。しかし、バブル崩壊後に勤めていた会社の業績は下降線をたどり、39歳のときに倒産。当時のことを振り返る遠藤さん。
――毎朝、会社には一番乗りだったんだけど、その日、出社すると会社はもぬけの殻。泥棒かと思って、まずは社長に電話したんだけどまったく繋がらない。結局、社長はそのまま行方知れず。給与も退職金も支払われず……あのときは本当に大変でした
再就職を目指しましたが、都市銀行や大手証券会社までが破綻し、新卒採用が特に厳しかった時代です。40歳手前の遠藤さんの再就職も難航します。結局、正社員として再就職を果たすまでには1年ほどかかったといいます。
そしてコロナ禍前に60歳で定年。再就職した会社には退職金制度はなかったので、当然、定年を迎えたところで1円ももらえません。
【企業規模別「退職給付制度」の有無】
退職給付制度がある…74.9%
従業員1,000人以上企業…90.1%
従業員300~999人企業…88.8%
従業員100~299人企業…84.7%
従業員30~99人企業…70.1%
※出所:厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』
――サラリーマンを40年以上続けてきましたが、途中、勤めていた会社は潰れて、定年を迎えても退職金はゼロ円。世の中、定年を迎えたら退職金はン千万円というサラリーマンも多いんでしょ。それと比べたら、嫌になっちゃうよね
60歳以降はそれまでの会社で歩合のアルバイトとして働き始めるも、コロナ禍になるとほとんど仕事はなくなりました。再び収入を得られるようになったのは、つい最近のことだといいます。
――今は月にすると18万円ほどもらえてます。手取りにすると月14万円ほど。妻のパート代が月8万円ほどで、二人合わせると月20万円くらいでしょうか。全然貯金もないから、まだまだ働かないといけないよね
65歳男性「将来を見据えて、死ぬまで働くつもり」
65歳を迎えた遠藤さんは老齢年金を受け取り始めました。その額、14.3万円。手取りにすると月12万円ほどだといいます。
――40年以上サラリーマンをやってきたけど、その成果というのが月14万円……軽く絶望するよね。まあ、それだけ給料が低かったというわけだけど
夫婦の生活費はすべて給与でまかない、年金はすべて貯金にまわしているという遠藤さん。死ぬまで働く覚悟だといいます
――もし年金のすべてを貯金していけたら、1年で150万円、5年で750万円かぁ……これだけあったら、自分があの世にいったあと、母ちゃん(=妻)はお金に困らないだろうか
厚生労働省の発表によると、日本人の平均寿命(2023年)は男性81.09歳、女性87.14歳と、その差は6歳。さらに夫婦の年齢差を考えると、夫に先立たれる妻というパターンが多いことがわかります。このようなことを見据えて、遠藤さんは備えているというのです。
――まだ人生を総括するのは早いかもしれないけど……人生なんて苦行でしかないよな。大逆転を狙って、年に2回、宝くじに夢をみるしかないよ
内閣府が行った調査によると、働いている日本の高齢男性の55%が働く理由として「収入を得ること」を挙げています。同じ理由を挙げた高齢男性は、米国では30.9%、ドイツでは37.9%、スウェーデンはでは22.7%。日本の高齢者がいかに切羽詰まっているかがわかります。
【日本の高齢男性が働く理由】
・収入がほしいから…55.4%
・仕事そのものが面白いから。自分の活力になるから…14.1%
・仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから…4.9%
・働くのは体によいから。老化を防ぐことができるから…21.6%
※出所:内閣府『第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査』(2022年)
[参考資料]
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