もう限界だ…「退職金2,200万円」60歳定年サラリーマンが一念発起「キッチンカー」開業も、わずか8ヵ月で「赤字500万円」突破の理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月12日 7時15分
![もう限界だ…「退職金2,200万円」60歳定年サラリーマンが一念発起「キッチンカー」開業も、わずか8ヵ月で「赤字500万円」突破の理由](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_66979_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
人生の転換期と呼べるときは何回かありますが、定年はそのひとつ。サラリーマンに終止符を打ち、「起業」という夢に挑む人も増加傾向だといいます。しかし、現実はそれほど甘くないことは想像に難くありません。
いつか起業を!を実現できなかったサラリーマン。定年を機に挑戦
厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制を定めている企業は94.4%。そのうち一律に定年年齢を定めている会社は96.9%。そのうち定年年齢を60歳とするのが72.3%、61歳が0.3%、62歳が0.7%、63歳が1.5%、64歳が0.1%、65歳が21.1%、66歳以上が3.5%です。単純計算、「60歳で定年」という会社は全体の66%ほどだといえます。
昨今は、法改正により、65歳、さらには70歳まで働ける環境が整いつつあります。定年以降の継続雇用は、大きく定年を機に一度退職し、契約社員などで再び契約する「再雇用制度」か、年齢に達した社員を退職させることなく引き続き雇用する「勤務延長制度」の2パターン。どちらにせよ、定年を迎えるサラリーマンの9割近い人が、継続雇用を希望するとされています。
そんななか定年を機に会社を去ることにした福田浩さん(仮名・60歳)。同期のほとんどが再雇用を選択しているなか、なぜ、退職を選んだのでしょうか。
――定年を機に、心機一転、挑戦してみようと考えました
大学卒業後、いつかは起業したいと考えていたという福田さん。しかしサラリーマン人生、年を重ねると役職が付き、責任が生まれ、なかなか会社を辞めるという選択ができませんでした。また35年の住宅ローン返済、2人の子どもの教育費……リスクを冒す行動を取ることはできなかったといいます。
しかし定年を迎えるころには、住宅ローンは完済、2人の子どもも社会人となり、あとは自分たち夫婦の老後のことだけを考えたらいい……そこで一念発起したというわけです。
定年退職金は2,200万円。そのうち、1,000万円は挑戦資金として使わせてほしいと、妻の了承を得ていました(福田さんの妻いわく、「ごり押しだった」とか)。
念願のキッチンカー開業。完璧に思えた事業計画だったが…
福田さんが目を付けたのは、サラリーマン時代、毎日のランチでも利用していたというキッチンカー。開業資金の相場は300万~500万円程度。こだわりのコーヒーと、ボリュームたっぷりのサンドイッチで挑戦するといいます。
過疎化や高齢化などによる諸問題の解決策としても、今後のさらなる成長が期待される「移動販売(キッチンカー)」。コロナ禍に密を避けたい時代のニーズも獲得し、堅調に成長を続けています。福田さん、目の付け所としては悪くないという自信がありました。
【キッチンカー利用についてアンケート】
■利用頻度
月1未満…16.5%
月2、3回…3.2%
週1回…1.1%
週2、3回…0.4%
ほぼ毎日…0.5%
■利用分野
軽食を販売するフードトラック…24.2%
たこ焼き等の一品料理を販売するフードトラック…28.0%
ランチボックス等を販売するフードトラック…9.7%
移動スーパー…5.7%
■移動販売の利用にかける金額
500円未満…37.3%
500~1,000円未満…47.3%
1,000円~1,500円未満…9.3%
1,500~2,000円未満…4.0%
2,000円以上…1.9%
※出所:独立行政法人中小企業基盤整備機構『20代以上の男女1,000人の消費者に対するアンケート』
福田さんいわく、「事業計画は完ぺきだった」といいますが、そんなに甘い世界ではなかったようです。キッチンカーの人気が高まるなかで、他の業者との競争が厳しくなっています。特に都市部では同じエリアに複数のキッチンカーが出店することも多く、差別化が求められました。ランチ時に美味しいコーヒーとこだわりのサンドイッチは、数々のキッチンカーがしのぎを削る都心部では没個性。またランチ時に行列ができているような好立地には出店の余地はなく、隙間を狙うような場所で出店交渉。出店が認められても客足は鈍く……1日の売上は最低でも4万円を見込んでいましたが、1万円に満たないこともしばしば。何よりも、長時間の立ち仕事や移動を伴うため、体力的な負担が大きく、サラリーマン時代、デスクワークが中心だった福田さんにはキツイものでした。
ランニングコストは月65万円程度かかるなか、毎月50万円以上の赤字を垂れ流す日々。結局、開業から8ヵ月で赤字は500万円に達したとき、体力的にも精神的にも経済的にも「もう限界だ!」と、廃業の決断に至ったといいます。
――私の挑戦は1年も持ちませんでしたが、諦めたわけではありません
奥さんも呆れているといいますが、別のカタチで起業に挑戦できないか、模索を続けているといいます。
[参考資料]
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