最新VR機材が自由に使える!「アドバンスドテクノロジーラボ」って何?
&GP / 2017年6月16日 22時0分
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最新VR機材が自由に使える!「アドバンスドテクノロジーラボ」って何?
リクルートテクノロジーズは6月15日、オープンイノベーションスペース「ATL(アドバンスドテクノロジーラボ)」をオープンしました。ATLでは、会員登録をした“客員研究員”が、施設内のVR機材やハードウェアなどを無料で利用できます。
ATLのオープンに先立ち、オープニングレセプションと施設体験会が開催されました。高価で手が届きにくいイメージだった機材を無料開放した理由は何なのか、レセプションと体験会の模様をリポートします。
■ATLって何?
「ATL(アドバンスドテクノロジーラボ)」は、施設内のVR機材やハイエンドPCなどを使い、先端技術の開発を行えるオープンイノベーションスペースです。リクルートテクノロジーズが提供するATLは、エンジニア志望の学生やフリーのエンジニア、クリエイターなどに開放されており、“客員研究員”として登録すれば無料で利用できます。
▲施設概要
客員研究員が使えるのは、イベントスペースやフリースペース、ほかにテーマスペースがあります。テーマスペース内では、VR開発にも利用できるクロマキー撮影ルームや、バックパックPCを背負って、複数人で歩行などの検証をしながら開発に役立てられるVR開発大型ブース、人の動きをキャプチャーできるモーションキャプチャースタジオなどがあります。また、VR開発デスクやハイスペックPCなどをレンタルすることが可能です。
▲クロマキー撮影ルーム
▲VR開発大型ブース
▲モーションキャプチャースタジオ
施設の使用時間は平日の9:00~21:00まで。クリエイター志望の社会人にとっては少し使いづらいかもしれませんが、土日の開放については「鋭意検討中」とのことでした。
■ATLで多くの人に最新機材を
リクルートテクノロジーズは、体験型VRイベントを2016年から実施。そんな同社は、なぜ多くの人にVR機材やハードウェアを提供する施設を立ち上げたのでしょうか。
レセプションにはATL所長を務める同社の執行役員CTO米谷修氏が登壇。ATL立ち上げげの経緯にはVR機材やハードウェア、設備などの「敷居の高さ」があると語りました。
▲レセプションに登壇したリクルートテクノロジーズ執行役員CTO ITソリューション統括部 統括部長兼アドバンステクノロジーラボ 所長米谷修氏
確かに、日々新しくなるVR機材やハードウェアは高価なものが多く、学生や一般エンジニア、小規模な企業にとっては手の出しにくい存在です。その結果、せっかく機材を活用するアイデアがあっても、それを実践する場がないのが現状でした。米谷氏は、ここ数年の企画を通じ、最新技術を使いたくても使えない作り手のもどかしさを感じたそう。そうした思いが、機材や設備を自由に使えるATLの創設に繋がりました。
「機材を無料で使えるなら、著作権はどうなるの?」と気になった人もいるでしょう。ATLでは、客員研究員が施設内の整備や機材を利用して開発・制作したアウトプットに関してATLのWEBサイトで公開したり、“ATLで作られたもの”として広報する権利を持つものの、著作権などその他一切の権利は主張していないそうです。
今後は、ATLサイト内で客員研究員やATL社員が作成したものを公開する「ATL SHOWCASE」を始める予定だとか。ほかにも2~3か月に1度、テーマに沿った取り組みや発表も行っていくそうです。
今回のレセプションでは、エンジニアタレントの池澤あやかさんも登壇。テーマスペース内にあるクロマキー撮影ルームでVRを試す一幕もありました。
▲レセプションに登壇した池澤あやかさん
▲クロマキー撮影ルームでVRを試す一幕も
ちなみに、ATLには“VR酔い測定器”も用意されているとか。VR体験中の被験者にベルトを付け、そのベルトが胃酸の状態を分析することで、VR酔いしていないかどうかを調べられるそうです。VRを定期的に使うエンジニアならではの設備ですね。
■ATLに行けばコストをかけずに◯◯できる?
ATL内のテーマスペースでは、前述のようにさまざまな最新機材を使うことができます。そのなかでも筆者の目を引いたのが、「モーションキャプチャースタジオ」でした。レセプションに引き続き開催された体験会では、プロのアクターが剣舞や殺陣を披露。動きがデータ化され、CG映像で出力されるまでの流れを見せてくれました。
▲広々としたスタジオ。2人のアクターが剣を交えてもスペースに余裕がある
▲動きが出力された
このスタジオは、8×4mと広いため、ダイナミックな動きをキャプチャーできるのが特徴です。これまで自宅でVRを作成することはあっても、広さの問題でダイナミックな動きには対応しにくいのが難点でした。大きい動きに合わせた施設を作るとしても、それだけで莫大なコストがかかります。
ATLのように広い撮影場所があれば、その分自由な動きが可能になります。モーションキャプチャーは、映画製作でも利用される技術。コストをかけずに、ダイナミックな動きをCG映像として出力するのに役立てられそうです。
これまで“敷居の高い”イメージだったVR機材やハードウェアを、会員登録するだけで自由に使えるATL。将来的にはコンテストの開催も検討されているらしいので、エンジニアやクリエイターを目指す学生やフリーランスの人が腕を競える場とも言えます。
ちなみに、ATLはJR恵比寿駅から歩いて10分ほどの山種美術館の4Fにあります。アカデミックな雰囲気のなか、最新技術の開発に励むのもよいかもしれませんね。
(取材・文/神戸紅実子)
かんべくみこ/エディター、ライター
編集プロダクション「ゴーズ」に所属。”平成生まれ昭和育ち”ながら、スマホやアプリに関する記事を若者文化に乗り遅れまいと執筆中。東横線ユーザーだが、ときどき中央線沿線にも出没する。
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