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【クルマ初モノ図鑑②】あの革新的エンジンの初登場はいつ?ーPART2

&GP / 2017年7月6日 22時0分

【クルマ初モノ図鑑②】あの革新的エンジンの初登場はいつ?ーPART2

【クルマ初モノ図鑑②】あの革新的エンジンの初登場はいつ?ーPART2

今では当たり前となっているクルマの機能も、登場した時はその革新さに世の中が驚いたものがたくさんあります。この企画では、自動車のいろいろな機能がいつ国産車に搭載されたのかを振り返ろうと思います。

第1回目エンジン編のパート2。1980年代以降、クルマのエンジンにどのような進化があったかを見ていきましょう。

■軽自動車で初のターボ(1983年)~三菱ミニカアミL

日本が高度経済成長期に入り、マイカーが夢ではなくなった時代。軽自動車は庶民の足として広く普及しました。中でも“ボンバン”と呼ばれた軽ボンネットバンタイプは、乗用モデルの軽セダンも含め、多くの人から支持され、軽自動車メーカーが各社が力を入れるモデルでした。

三菱は1962年にミニカを発売。1977年に発売となった4代目からは排気量が550ccとなり、車名がミニカアミ55と変更されています。そして1981年のマイナーチェンジで、車名がミニカアミLとなりました(商用モデルはミニカエコノ)。搭載エンジンは水冷直列2気筒4サイクルのニューバルカン-Sです。

そして1983年3月、軽自動車で初となるターボモデルを追加。NAモデルが29~31psだったのに対し、ターボエンジンは39psのハイパワーを誇りました。

 

■NAで初のリッター100馬力(1989年)~ホンダインテグラ

1980年代、国産車は熾烈なパワー競争期に入り、圧倒的な加速力をユーザーに提供することを至上命題としていました。その中で指標となったのが、「排気量1Lあたり100馬力を出す」というものでした。

実はこの目標を軽々と達成したのは軽自動車です。1970年代初頭にデビューした軽自動車は軒並み360ccエンジンで最高出力36psを達成。ダイハツフェローマックスのSSは40psを発生するエンジンを搭載していました。

1989年4月、登録車のNAエンジン搭載車で、ついにリッター100馬力を達成したモデルが登場します。可変バルブタイミング・リフト機構を搭載したVTECエンジンを初めて搭載したインテグラです。1.6L NAエンジンで最高出力160ps/7600rpmを達成するために、ホンダは超精密鏡面仕上げク ランクシャフト、新高強度・細軸バルブ、ピストン冷却オイルジェットなど、レーシングエンジン並みの超精度の加工技術 や数々の新素材を投入したそうです。

ホンダの公式HPによると、VTECエンジン開発当初の目標はリッター90馬力でした。ところが本田技研工業の社長も務めた川本信彦氏が開発責任者の梶谷郁夫氏に「おい、どうせやるなら100馬力にしろよ」と声をかけたそうです。エンジニアたちは開発途中で何度も厚い壁に当たり、「目標を高くし過ぎた」という不安に襲われたといいます。それでも壁を乗り越え、リッター100馬力を達成。ホンダのエンジン屋としての意地とプライドを感じるエピソードですね。

 

■量産車世界初の筒内直接噴射エンジン(年)~三菱ギャラン/レグナム

一般的なガソリンエンジンはポート噴射式と呼ばれ、吸気ポートと呼ばれる場所で燃料を噴射し、空気と燃料の混合気がエンジンのシリンダー内に入っていきます。これに対し、直噴エンジンは、シリンダー内に空気だけが入り、その後燃料を直接シリンダー内に噴射するという仕組みです。直噴エンジンは超希薄燃料でも高出力と低燃費を両立できる究極の高効率エンジンと言われていました。

自動車用の直噴エンジンは1950年代に登場しますが、普及しませんでした。そして1996年、三菱自動車が電子式噴射タイプで世界で初めて直噴エンジン「GDI」を実用化、ギャラン/レグナムに初搭載します。燃料消費マイナス35%、パワープラス10%、CO2排出量マイナス35%、NOX排出量マイナス95%を実現したGDIエンジンは高く評価され、ギャラン/レグナムはその年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞します。そして三菱自動車はこのGDIエンジン搭載モデルを増やしていきました。

ところがGDIエンジンはエンジン内にカーボンが付着してしまうという問題が発生し、長く乗り続けるためにはエンジン洗浄が必要になりました。現在、三菱のラインナップにGDIエンジン搭載モデルはありません。

その後、直噴エンジンは進化し、現在では多くのメーカーが採用しています。

 

■量産車世界初のハイブリッドカー(1997年)~トヨタプリウス

「21世紀に間にあいました。」

「拝啓、手塚治虫様。あなたが空想したクルマです」というナレーションから始まり、鉄腕アトムのキャラクターたちが登場するCMは強烈な印象を人々に残しました。クルマがエンジンだけでなくモーターの力も利用して走る。まさに“未来”のクルマです。現在のプリウスが流線形の5ドアハッチバック(トライアングルシルエットと呼ばれています)なのに対し、初代はコンパクトセダンで登場し、未来的なデザインを採用したのも印象的でした。

量産車世界初となるプリウスが登場したのは1997年12月。1.5Lエンジンにモーター、発電機、動力分割機構を内蔵したハイブリッド用トランスミッションを組み合わせ、後部座席の後ろにニッケル水素バッテリーを搭載。回生ブレーキで発電した電力を使って、発進時や全開走行でモーターがエンジンをサポートする。クルマが使う電力は充電しなくていいという、一般的なガソリンエンジン車しか知らなかった私たちには信じられないシステムでした。

しかもプリウスの凄かったところは、乗り手にモーターを使っている、エンジンを使っているということを意識させなかった点です。モニターに映し出されるエネルギーフローを見なければ、切り替わりに気付かないほどでした。

もちろんハイブリッド第一号となる初代(前期型)は山道などを走るとすぐに電力が足りなくなって途端に出力が落ちる(メーター内には亀のマークが出る)など、実用面で厳しい部分も見受けられました。しかしトヨタはプリウスのネガティブな部分をひとつひとつ解決。初代の後期では、普通に走っている限り亀マークが出ることは滅多になくなります。そして2003年にデビューした2代目ではハイブリッドシステムがTHS-Ⅱに進化。燃費も大幅に向上しました。その後の進化、ハイブリッドの普及はみなさんご存知のとおりです。

>> PART1

 

(取材・文/高橋満<ブリッジマン>)

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