【VW ゴルフ試乗】先進技術を新導入。「乗れば納得!」の高い完成度
&GP / 2017年7月30日 18時0分
【VW ゴルフ試乗】先進技術を新導入。「乗れば納得!」の高い完成度
夕暮れ時。バックミラーに映る後方のVW(フォルクスワーゲン)「ゴルフ」が、「やけに凛々しいなぁ〜」と感じたなら、それは新しいゴルフかもしれません。
今回、VWの中核モデルであるゴルフ、そのワゴン版の「ゴルフ ヴァリアント」、ヴァリアントをSUVテイストに仕立てた「ゴルフ オールトラック」、そして、ハイパフォーマンスモデルの「ゴルフ GTI」と「ゴルフR」が刷新されました。内外装が、よりシャープに、上質さを増し、各種先進装備のグレードアップが図られています。
今回は、ゴルフとゴルフ ヴァリアントを中心に、その変化を具体的に見ていきましょう。
今回の刷新によって、5シリーズ、6モデル、全12グレードがリリースされたゴルフファミリーですが、まず、前後のバンパーがリニューアルされました。
フロントでは、バンパー下部のエアインテークの形状が変わり、ワイド感を強調。スポーティなイメージに磨きをかけます。また、多くのモデルでヘッドランプが、全モデルでリアランプがLED化されました。ターンシグナルライト(ウインカー)が横方向に流れるように光るのも新しい。VW初の試みです(ゴルフ Rに標準、他グレードにはオプションで設定)。
VW初といえば、上位グレードにおいては、メーター類を、メータークラスター内の12.3インチの大型ディスプレイに映し出す“アクティブ インフォ ディスプレイ”にすることも可能になりました。友邦のアウディでお馴染み“バーチャルコクピット”の、いわばVW版です。グラフィック表示を、ドライバーの好みに合わせて数種類から選択できるほか、もちろん、ナビゲーションシステムの地図を表示することも可能。うーん、先進的!
機関面でいえば、ハイパフォーマンスモデルのRとGTIがパワーアップしました。Rの2リッター直4ターボは、従来の280馬力から310馬力に! 増大したアウトプットに合わせ、トランスミッションが6速から7速になりました。もちろん、VW自慢の、ツインクラッチ式の“DSG”です。
長い伝統を誇るGTIは、やはり2リッター直4ターボが220馬力から230馬力に引き上げられています。価格は、ゴルフRが549万9000円(6MT)と559万9000円(7AT[DSG])。GTIが、389万9000円(6MT)と399万9000円(6AT[DSG])です。
スポーツグレードから、販売の中心となる実用グレードに目を移してみましょう。現行ゴルフは、7世代目。2012年11月のデビューですから、早4年半ほど経過しています。VW車として初めて“MQB(モジュラー トランスバース マトリックス)”プラットフォームを採用したモデルで、軽量・高剛性を追求しました。
個人的に「面白いな」と感じたのは、「TSI ハイライン」グレード以上のリアサスペンションを完全独立化(4リンク=マルチリンク化)したの対し、ボトムレンジの「TSI トレンドライン」、ベーシックな「TSI コンフォートライン」の後脚は、半独立式のトーションビーム方式のまま残したことです。
いうまでもなく、ゴルフはVWの大黒柱にして最量販モデルですから、販売政策上、ある程度廉価なモデルを残す必要があったのでしょう。VW発のトーションビーム方式が、世のFF(前輪駆動)モデルのディファクトスタンダードとなっていることからも分かるように、左右2本のトレーリングアームを、ねじれる鋼板で結んで剛性アップと独立性をバランスさせたトーションビーム方式は、大変優れたサスペンションです。
生粋のゴルフファンなら、むしろ積極的にトレンドラインまたはコンフォートラインを求めるべき…というのは、ひいきの引き倒しですね。
今回の一部改良は、トレンドラインとコンフォートラインには少々厳しい内容になっています。LEDヘッドランプは、コンフォートラインでオプション、トレンドラインには設定なし。アクティブ インフォ ディスプレイは、2グレードともに設定なし。指先の動きでナビやオーディオを一部操作できる“ジェスチャーコントロール”が話題のインフォテイメントシステム“ディスカバー プロ”は、トレンドラインには設定されません。
VWの華々しい新機能を堪能したい方は、マルチリンクサスペンションを採用する「TSI ハイライン以上のグレードをお求めください」ということです。1.4リッター直4ターボ(140馬力)と7速DSGが組み合わされて、325万9000円。一方、1.2リッター直4ターボ(105馬力)を積むTSI トレンドラインが249万9000円。同TSI コンフォートラインは279万9000円となっています。
試乗当日は、中堅モデルたるTSI ハイラインのハッチバックとヴァリアントに乗ることができました。ドアを開けると、シート生地が、アルカンターラとファブリックのコンビネーションから、起毛タイプでアルカンターラと風合いが似たマイクロフリースに変更されたシートが待っています。
センターコンソールのディスプレイは、これまでの8インチから9.2インチにアップ。試乗車は“アクティブ インフォ ディスプレイ”装着車だったので、ナビ画面の広域はセンターディスプレイで、詳細は正面のメーターナセル内に、といった工夫が楽しい。
…といった先進性に感銘を受けますが、やはりステアリングホイールを握って走り始めると、カッチリしたボディの剛性感、スムーズさを増したDSGトランスミッション、適度に元気なエンジン、そして、安心感の高い足周り…と、ゴルフの、クルマとしての完成度の高さ、質感の良さに改めて感心させられます。「2013-2014 日本カー・オブ・ザ・イヤー」獲得は、ホント、伊達ではありません。
新しいゴルフは、渋滞時にありがたい追従支援システム“トラフィック アシスト”や、歩行者まで検知して必要なら自動でブレーキをかける“フロント アシスト”など、安全装備も強化、充実しています。
クルマ好きの間では、ゴルフ“7.5”とも呼ばれている新型ゴルフ。表に出てこない改良も、多数施されているはず。これを機に、一度、試乗してみてはいかがでしょうか?
<SPECIFICATIONS>
☆TSI ハイライン
ボディサイズ:L4265×W1800×H1480mm
車重:1320kg
駆動方式:FF
エンジン:1394cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7AT(DSG)
最高出力:140馬力/4500〜6000回転
最大トルク:25.5kg-m/1500〜3500回転
価格:325万9000円
<SPECIFICATIONS>
☆ヴァリアント TSI ハイライン
ボディサイズ:L4575×W1800×H1485mm
車重:1380kg
駆動方式:FF
エンジン:1394cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7AT(DSG)
最高出力:140馬力/4500〜6000回転
最大トルク:25.5kg-m/1500〜3500回転
価格:339万9000円
(文&写真/ダン・アオキ)
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