自転車のパンク修理って意外と簡単 -スポーツ自転車の超基本
&GP / 2017年8月12日 7時0分
自転車のパンク修理って意外と簡単 -スポーツ自転車の超基本
スポーツバイクに乗り始めたライダーにすぐに覚えてもらいたいのが、パンク修理の方法。スポーツバイクは遠くへ行くことができますが、走行距離が長くなればパンクトラブルに見舞われる可能性も高くなります。その際に自分で修理して、また走り出すことができなければ、遠くの見知らぬ土地で立ち往生してしまうことに…。もちろん、近くにバイクショップがあれば自分で交換をしなくてもOKですが、そんなに都合よくショップがあるとは思えません。
パンク修理と言っても、実際に出先で行うのはチューブの交換になります。手順とほんのちょっとのコツさえ覚えておけば、実はそれほどむずかしいものではありません。覚えておけば、出先でのトラブルが怖くなくなるはずです(パンクするのは嫌ですが…)。
では、早速チューブ交換の方法を順を追って見ていきましょう。
▲今回はこのクロスバイクをモデルにチューブ交換を行います。スポーツバイクは、ホイールがクイックリリースで簡単に外せるので、作業をとてもスムーズに行えます
▲必要なものはこれだけ。左からタイヤレバー、交換する新しいチューブ、携帯用ポンプ、ウエス。これらのアイテムはいざというときのために、ライド中に携帯しておくと安心です
▲教えてもらったのは、サイクルベースあさひ相模原店の店長、田村孝司さん
■最大の難所、ホイールを外す
初心者にとってチューブ交換における最大の難所のひとつが「ホイール外す」パートだと思います。これもひとつずつ手順を追って準備を進めれば、まったく問題なくクリアできるでしょう。まずは「ブレーキを開放する」ことがポイントになります。
▲Vブレーキを採用した自転車は、左側のブレーキアーチ押しながらブレーキワイヤーを外します
▲ワイヤーを外すと、画像のようにブレーキシューが広がり、タイヤに干渉することなくスムーズにホイールが外せるようになります。リアも同様の方法で開放できます
▲ロードバイクは、一般的に画像のようなキャリパーブレーキが搭載されています。その場合は左のレバーを上方向に回せば、ブレーキを開放できます
フロントの場合は、ブレーキを開放するだけでOKですが、リアの場合は、はじめにフロントを大きいアウター側、リアを一番外側のトップ側に入れておくと作業がしやすくなります。
▲フロントのギアは、シフトを操作して一番大きいギアの“アウター”に入れる
▲リアのギアは一番小さい“トップ”に入れる
▲次はホイールを外します。まずはフロントの場合。はじめにクイックレバーをおこします
▲レバーをおこした状態で反対側のナットを緩めると、スムーズにホイールが外れます
▲リアの場合は自転車をひっくり返すと作業がしやすくなります
▲フロントと同様にクイックリリースのレバーをおこして…
▲ホイールを引き上げるだけ
■チューブをタイヤから引き出す
さてホイールを外すという、最初の難関をクリアしました。ここからはタイヤの中に入っているパンクしたチューブを取り出します。まずはタイヤレバーという工具を使って、ホイールにはまっているタイヤのフチの部分「ビード」を外していきます。
▲まずバルブを押しこんでチューブとホイールの間にスペースを作ります。タイヤレバーを差し込んだ際に、チューブを挟み込まないようにしておくために、スペースを作らなければいけません
▲ホイールとタイヤの間にタイヤレバーを差し込みます。レバーでチューブを挟まないように注意
▲差し込んだら反対側をスポークに引っかけます
▲間隔を空けてふたつ目のタイヤレバーを差し込んで、同じようにスポークに引っかけます
▲ふたつ目はちょうど真ん中に差し込んで同じようにスポークに引っかけます。真ん中のタイヤレバーを差し込むとタイヤのフチの部分「ビード」が浮き上がって外れます
▲ビードが浮き上がったら、そのすき間にタイヤレバーや指を入れて1周させて、片側のビードを外します
▲片側のビードを外したら、チューブをタイヤから引き出しタイヤもホイールから外してしまいましょう
■新しいチューブに交換する
ここからは新しいチューブへの交換になりますが、交換前に大事な手順があります。「パンクの原因を探る」です。たとえばタイヤにトゲのような突起物が刺さってパンクした場合は、それを取り除いておかないと、新しいチューブを入れても、また同じ原因でパンクをしてしまいます。それをチェックするために、ガーゼ状のウエスを使用します。
▲ウエスでタイヤの裏側を軽くなぞります
▲もし突起物がタイヤの内側に出ていた場合は、画像のようにウエスがほつれます
▲ウエスがない場合は指でなぞってもOKです。突起物で指を刺さないように注意
▲突起物を取り除いたら、いよいよチューブ交換。まず新しいチューブにエアを少しだけ入れ、タイヤに押し込みやすくしておきます
▲先ほど外したタイヤのビードを片側だけはめておきます
▲片側のビードはめたら、新しいチューブのバルブをバルブ穴に差し込みます
▲チューブをタイヤの中に押し込みます
▲タイヤがすべて収まった状態。あらかじめチューブにエアを入れていないと、タイヤ内に押し込みにくくなります。入れすぎても押し込みにくいので、エアの調整をしながら行うといいでしょう
▲片側のビードがホイールに入っていない状態なので、手の母指球あたりを使ってはめ込んでいきます
▲ある程度までは簡単にビードがはまっていきますが、ある程度までいくと硬くて入らなくなります。この状態になったら、タイヤレバーを使用します
▲タイヤとホイールのすき間にビードを入れて、テコの原理で手前側を上に起こせば、ビードがホイール内に収まります。タイヤによっては少し硬くて入りにくいことがあるかもしれません。その場合はタイヤをよく揉んでから、再びタイヤレバーを使用してはめ込みましょう
▲無事にビードが収まったら、ホイールとタイヤの間にチューブが挟まっていないかを確認します。左右両方確認しましょう。チューブが挟まっている状態でエアを入れてしまうと、そこに圧力が加わって再度パンクしてしまいます
▲チューブが挟まっていないことを確認した後は、エアを入れて終了です。携帯用ポンプの場合、壁にホイールを立てかけてポンプの先端を壁に押し付けるようにすると、エアが入れやすいと思います
■フレームにホイールを装着。リアは難しいので注意!
最後にホイールをフレームに装着して終了です。フロントは特に問題がないと思いますが、リアはチェーンがあるので、難しく感じる人もいるかもしれません。ここでは特にリアを重点的に紹介していきます。ポイントは「チェーンの輪の中にギアを入れる」「チェーンはギアの一番小さいところで組み合わせる」のふたつです。
▲輪になっているチェーンの間にギアを通す
▲一番小さいトップ側のギアとチェーンを組み合わせて、そのまま押し込んで完了です
ホイールを取り付けた後は、フロント、リアの場合に関わらず、以下のポイントに注意してください。
- クイックリリースをしっかりと締める
- 解放状態になっているブレーキを元に戻す。
- ホイールを回して、ブレーキシューに接触しないか確認。
- ブレーキレバーを握って、ブレーキがきくかを確認。
以上で終了です。出先でぶっつけ本番で交換を行うと、焦る気持ちも加わり思うように作業できないこともあります。ホイールを外す→チューブを交換→ホイール装着の流れは、一度自宅で行っておくと、いざというとき落ち着いて作業ができると思います。
(取材協力/サイクルベースあさひ相模原店:神奈川県相模原市中央区富士見2-7-3)
(取材・文/今 雄飛)
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