スニーカーをアップデート!スリッポンに登山用のソールを装着してみた
&GP / 2017年9月13日 7時0分
スニーカーをアップデート!スリッポンに登山用のソールを装着してみた
マイスニーカーのカスタムといえば、装飾をしたり色を塗ったりするなど、ファッション面での意味合いが強いものが多く、「機能を高める」ためのカスタムというのはあまりなかったような気がします。ふと「お気に入りのスニーカーをパワーアップさせ、かつ丈夫にさせるにはどうしたら良いのか?」と思い立ち、調べてみました。すると、スニーカーソールの張り替えができる靴の修理屋さんを発見。さっそく店舗に出向き、スニーカーのカスタムをお願いしてみました。
■スニーカーをカスタムしてくれるお店にGO!
今回お伺いしたのは、池尻大橋駅より徒歩5分の靴修理専門店「THE SHOE OF LIFE(シュー オブ ライフ)」。個人の好み、ライフスタイルに合わせて細かく修理する「パーソナルオーダーメイド修理」が特徴のお店です。
出迎えてくれたのは、ショップマネージャーの谷澤さん。まるでセレクトショップのスタッフのようなオシャレな出で立ちです。
▲笑顔が素敵な、谷澤さん
――よろしくお願いします。Vansのスリッポンが歩きやすいので気に入っているのですが、いつもカカト部分が削れてしまい頻繁に買い換えているのが悩みのタネなんです。年に3足くらい買い替えているのですが、毎回お店に買いにいくのが面倒で……。
▲今回持ち込んだのが買ったばかりのスリッポン。なんとかソールを減りづらくできないものか……
谷澤さん(以下、敬称略)「それでしたら丈夫なソールに付け替えるカスタムをおすすめします。たとえ削れてしまったとしても、カスタムした部分を同じ素材で修理できますよ」
――なるほど。とにかく丈夫なソールでお願いしたいのですが……。
谷澤「それではビブラム社のソールはいかがでしょうか? 登山靴やブーツにも使用されているソールで、靴が滑りづらくなるというメリットもあります」
▲写真はビブラム社のソール「#148」。真っ黒なソールに黄色の「Vibram」ロゴが映える
車のタイヤなような深い溝が入っており、いかにも頑丈そうなソールです。
――すごくゴツいですね! とんでもないスニーカーになりそうで、楽しみです。
谷澤「靴自体が真っ黒なので、仕上がりもそんなに違和感はないと思いますよ!」
普段は店の奥で修理をするためお客さんからは作業風景が見えないのですが、今回は特別に作業の一部を覗かせていただきました。
▲さまざまな機械や道具が並ぶ
▲使用感たっぷりの工具、“職人の現場”という雰囲気だ
谷澤「まずは、スリッポンのソールの接着面をグラインダで削っていきます」
▲近くにいると、バーーー!と凄まじい音が聞こえる
――削るのは接着面を滑らかにするためですか?
谷澤「それもありますが、細かいキズを付けることによって引っかかりを作り、接着剤の付きを良くする効果があります」
▲スニーカー同様、ソールの裏面も削って接着剤の付きを良くする
その後、接着剤をスニーカーのソールに丁寧に塗っていきます。
――この接着剤は、やはり業務用の特別なものですか?
谷澤「はい。プロが使う接着剤です。引火性の液体なので火気はもちろん厳禁、素人の方が使うのは注意が必要です」
▲「世界の接着剤」という力強い文字。素っ気ない缶のデザインが“業務用”という感じ
ここで山崎さん、接着剤が塗られたソール部分をドライヤーで乾かし始めました。
――接着する前に乾かすのはどうしてですか?
谷澤「接着剤というと、塗ったらすぐにくっつく、というイメージですがこのタイプは少し乾かすことで、接着力が高まるんです」
塗っては少し乾かす、という工程を2~3回繰り返すことでより接着面が強固になり、ソールが剥がれにくくなるのだとか。
谷澤「この後はソールを貼って乾かし、ソールの大きさをカットして調整する作業になります。少しお時間を頂戴するため、後日お渡しさせていただきます」
即日で受け取れないのは残念ですが、大量の修理の依頼を順番でおこなっているため、どうしても期日が掛かってしまうようです。混み具合にもよりますが、今回のようなソールの張り替え作業は、1週間ほど時間が必要とのこと。仕上がりを楽しみにしながら待つことにします。
1ヵ月にお店に持ち込まれる靴の数はなんと500~600足! 1日平均20足もの修理やカスタム作業をしている計算になる
■作業完了の連絡が!ワクワクしながら受け取りに向かう
後日、カスタムされたスニーカーを受け取りに店舗に伺いました。
谷澤「お待たせいたしました。かっこ良く仕上がっていますよ!」
仕上がりを見て驚きました! 後から付けたとは思えない、自然な仕上がりです。横から見たとき、ブーツのようなゴツゴツしたソールがチラッと見えるのがたまらなくカッコイイ。
▲ソールのサイズもバッチリ! 違和感もない
谷澤「せっかくソールが丈夫でも、上の部分がボロボロで汚れていてはもったいないので、履いた後は必ずスニーカー表面をブラッシング、防水スプレーを吹きかけてください。これだけでも、大分汚れが付きづらくなりますよ」
店内はシューケア製品も取り扱っており、靴のお手入れのアドバイスをしてくれる
谷澤「当店ではソール交換や修理だけでなく、大きすぎる靴のサイズ調整や、厚底のサンダルソールを低く加工する現代風リメイクなどもおこなっており、個人のお悩みに細かく対応しています。お持ちの靴でお困りごとがございましたら、まずはご相談ください!」
■最強のスリッポンが誕生した
さっそく街に出て、カスタムしたスリッポンを履いてみました。ゴツめのソールを装着したため重くなり少し歩きづらくなるかと思いましたが、スニーカーにソールがガチッとフィットしているため、そんなに重さは気になりませんでした。
▲上から見ると、普通のスリッポンにしか見えない
▲さすが登山用の靴に使われるソール、ゴツくてもしなやかに曲がるので歩きやすい。段差やデコボコもへっちゃらだ
▲片足の重量は約495g。カスタム前の重量は約380gだったため、100gほど重くなった
しばらく歩いてみて気が付いたのが、グリップ力が高まったことで感じる、歩き心地の良さ。スリッポンはスケーターにも愛されているスニーカーなので、決してグリップ力が弱いわけではないのですが、雨の日の坂道では滑りやすくなることも。しかしこのビブラムソールにしたスリッポンは次元が違います。
雨の日でも、しっかり地面にソールが密着して、滑らず歩くことができました。また「自分は今、ビブラムソールを装着した、最強のスリッポンを履いているんだ」というような、所有する喜びを感じることもできます。
ソール以外は普通のスニーカーなので、実際に登山で使用するのは厳しいとは思いますが、街歩きスニーカーとしては最強のグリップ力を誇ると思います(ややオーバースペック?)。
今回掛かった工賃はソール込みで1万800円(税込み)。スリッポンが2足買えてしまいそうな値段ですが、「この世に1足しかないオリジナルスニーカー」を作ったという満足感からか、そんなに高いようには感じませんでした。こだわりのカスタマイズスニーカーは、愛着満点。自分だけのオリジナルカスタムをいろいろ試してみてはいかがでしょうか?
▲チラッとビブラムのロゴを見せつけてみたり
(取材・文/一戸隆平「メディアム」)
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