現地レポート:iPhone Xがよくわかる10個のポイント
&GP / 2017年9月14日 17時0分
現地レポート:iPhone Xがよくわかる10個のポイント
Appleは9月12日(米現地時間)、「iPhone 8/8 Plus」に加え、「iPhone X(テン)」を発表しました。iPhone XはiPhone 8/8 Plusよりも約1か月後の10月27日に予約開始となり、11月3日に発売される予定。Apple Storeの価格はiPhone Xは11万2800円〜となっています。本記事では、大幅にデザインを刷新したiPhone Xについて、10個のポイントに絞ってその概要をご紹介。現地のタッチアンドトライで分かった操作感についてもお伝えします。
(1)サイズ感は8と8 Plusの中間くらい
iPhone Xは、ディスプレイのサイズがシリーズ最大となる5.8インチですが、サイズ自体はPlusシリーズよりもコンパクトです。スペックの数値を比較すると下記の通り。唯一厚みに関しては、iPhone 8 Plusの方がXよりも薄くなっています。
iPhone 8:W67.3 x H138.4 x D7.3mm
iPhone X:W70.9 x H143.6 x D7.7mm
iPhone 8 Plus:W78.1 x H158.4 x D7.5mm
▲iPhone X
カラーバリエーションは「スペースグレイ」と「シルバー」の2色。白黒の2色展開は、まるで初期のiPhoneのようですね。
▲背面はガラス製で光沢感がある。表面についた指紋は拭けば簡単に落ちた。写真は「スペースグレイ」モデル
▲同じく「シルバー」モデル
側面はステンレススティール製のフレームで囲まれています。Apple Watchユーザーにとってはおなじみの素材ですが、金属の光沢感が特徴的です。シルバーモデルでは背面との境界がはっきりしますが、スペースグレイでは色味が近いため一体感がありました。
▲「スペースグレイ」右側面
▲「シルバー」左側面
(2)Super Retina HDディスプレイを搭載
同機は5.8インチの有機ELディスプレイ(OLED)を搭載します。解像度は2436x1125ピクセル(458ppi)。従来のRetina HDを超えるということで「Super Retina HDディスプレイ」と称されました。
▲「TV」アプリで映画コンテンツを全画面表示にしてみた。インカメラ周辺部を除くほぼ全面がディスプレイになっているのがわかる。iPhone Xならではの魅力だ
コントラスト比は100万 :1となり、色域の広さも加わって、非常に鮮明かつ精彩な映像を表示可能。HDRをサポートしているため、iTunesやNetflixのHDRコンテンツを視聴できます。また、iPad Proで採用されていた「True Tone」機能も搭載。目が疲れにくい自然な色合いを再現できます。
ディスプレイの形状は、インカメラ部分を避ける様に、凹型の変則的なものになっています。そのため、従来上端中央にあった時刻表示などが位置を変えました。
▲ディスプレイ上部に表示されるアイコンの位置が変わった。アンテナのアイコンもデザインが変更されている
従来中央にあった時刻表示は、左側へと移動しています。そして、従来左端にあったアンテナのアイコンは、右側へと移りました。
Bluetoothを切り替えたり、AirPodsを接続したりする際にはアイコン表示が増えますよね。その際、iPhone Xではどのように表示されるのか気になりますが、これについては未検証です。
(3)ホームボタンの代わりにスワイプで操作する
さて、iPhoneシリーズの象徴的存在でもあった「ホームボタン」が姿を消したことは大きなトピックです。従来ホームボタンで行っていた操作が、別の方法に切り替わっています。
まず、スリープ画面から復帰する際には、端末右サイドにある電源ボタンを押すか、ディスプレイをタッチします。続いて、ホーム画面を表示させるには、下部中央を上に向かってスワイプします(スワイプアップ)。これは何らかのアプリを起動している際も同様です。
▲横線が表示されている部分をスワイプアップすることで、ホーム画面に戻る
ホームボタンのダブルクリックで表示されたマルチタスク画面についても、スワイプアップ動作で表示できます。スワイプ後、指を画面から離さずにいればOKです。
▲スワイプアップ後、指を離さずに待っているとマルチタスク画面が表示される
しかし、実際にはディスプレイ下端を左右にスワイプすることで、アプリを切り替えられます。日頃の操作には、こちらの方が便利そうです。
▲下部の横線を左右にスワイプすると、アプリを切り替えられる
(4)コントロールセンターは上から降りてくる
ホームボタン関連の操作が変わったことで、従来下端のスワイプアップ操作で表示されていた「コントロールセンター」の表示方法が変わりました。
▲iOS 11のコントロールセンター。iPhone Xでは上端右側を下にスワイプダウンすることで表示される。写真でいう親指の位置だ
具体的には、バッテリー残量などが表示されるディスプレイ右上の部分を下に向かってスワイプダウンします。筆者はそれほど不便に感じませんでしたが、指が上まで届きづらいという手が小さめな人は、リングなどのアクセサリーを装着した方が操作しやすくなるかもしれません。
(5)Siriは側面ボタンの長押しで起動
ホームボタンが廃止されたことで、Siriの起動方法も変わりました。もちろん「Hey Siri」のボイスコマンドを使用してもよいですが、右側面にある電源ボタンを軽く長押しすることでも「Siri」を起動できます。
▲Siriの起動
また同様に、2度押しで「Wallet」の画面が表示される点もホームボタンから引き継がれています。
(6)顔認証機能「Face ID」を新搭載
Touch IDが使えなくなった代わりに、顔認証機能「Face ID」が搭載されました。登録方法はTouch IDとほぼ同様。インカメラを活用して、顔を2回登録します。
▲Face IDの登録作業中。カメラを見ながらぐるっと顔を一周させよう
Androidの顔認証と異なるのは、正面の表情だけでなく、立体的な情報が登録されるという点。首をぐるっと回しながら、ユーザーの顔を立体的に認識させます。赤外線も活用しているので、暗所でも問題なく使用できるとのこと。また、A11 Bionicチップのニューラルネットワークによって、メガネの有無や髪型、帽子などの影響を受けずに使用できるそうです。
▲Face IDで画面ロックを解除した瞬間
実際に画面ロック状態で、端末に顔を向けると、一瞬でカギのアイコンが解錠されました。実用上の問題はなさそうです。画面ロック解除の際、指紋が認証されずにイライラすることは、もうなくなるでしょう。
(7)インカメラの新機能は遊び心たっぷり
先ほどのFace IDは、「TrueDepthカメラ」というシステムにより、顔の立体的な情報を取得していました。これと同じ原理で、幾つかの新機能が利用できるようになっています。
まず、「メッセージ」では、絵文字(Emoji)ならぬ「Animoji」という機能が登場しました。キャラクターのスタンプがアニメーションとして動くというものですが、なんとユーザーの顔の動きをそのまま反映できます。つまり、ニコニコしたり、驚いたりといったリアクションを反映しながらボイスメッセージを送信できるわけです。
▲Animojiのイメージ。筆者の笑顔がキャラクターに反映されている
また、サードパーティ製アプリでは「Snapchat」のマスク風スタンプが紹介されました。顔の凹凸に合わせてぴったりと張り付く様な合成が行えるのが特徴です。
▲Snapchatのスタンプ
立体的な情報を把握しているので、顔横に向けてもスタンプがずれることはありません。非常に生々しい感じがしました。
(8)ポートレイトライティングが利用可能
iPhone Xのアウトカメラは縦方向の2つのレンズが並んでいます。解像度はそれぞれ1200万画素。どちらも光学手振れ補正をサポートしました。F値は広角が1.8、望遠が2.4。望遠カメラとデジタルズームと組み合わせて最大10倍のズームをサポートする点は、従来の7 Plusと同様です。
iPhone 8 Plusのレポートでもご紹介しましたが、iPhone Xでも進化したポートレイトモードを使えます。具体的には、β版という扱いで「ポートレイトライティング」機能が新搭載され、撮影時または撮影後の編集で、ライティングのエフェクトを追加できます。
▲プロのスタジオで撮ったかのようなライティングを再現できる「ポートレイトライティング(β版)」
また、iPhone Xでは、TrueDepthカメラ(インカメラ)でもポートレイトライティングが利用できます。
▲インカメラでポートレートライティングにチャレンジ。条件が悪いところでは、「背景が遠すぎます」などと注意文が表示された
動画撮影に関しては、4K・60fpsの高画質動画や、1080p・240fpsのスローモーション動画などを楽しめることがポイントです。
▲スローモーション動画のイメージ
(9)AR機能はもちろん使える
カメラに関連することでは、ARにも触れておきたいころ。iPhone X限定の機能というわけではありませんが、レンズ越しに様々な空想世界が広がります。
▲サード製ゲームアプリ「Freeblade」の画面
タッチアンドトライ会場のデモでは、「Freeblade」というアクションゲームを体験。机の上にロボットが登場し、空を飛び回る鳥型の敵と対戦しました。
「ARの何がすごいのか」という疑問を持つ人も多いでしょうが、実際に存在する机の上にぴったり張り付く様にキャラクターが表示されています。端末の向きや位置を変えることで、見え方も変わってきます。例えば、ロボットを真上から見下ろすことも可能なわけです。よく見るとリアルな影の描写もされているのが驚きですね。
(11)ワイヤレス充電に対応
iPhone 8/8 Plusと同じく、iPhone Xもワイヤレス充電に対応しました。Lightningケーブルをささずとも、充電マットの上に乗せるだけで、チャージされます。
▲ワイヤレス充電中
ワイヤレス充電の規格は「Qi(チー)」をサポートしています。そのため、専用の充電器が必要というわけではなく、規格に対応しているアクセサリーは使用可能。カフェや空港などに設置された公共のワイヤレス充電スポットも利用できるようになります。
▲複数デバイスを同時にチャージできる充電マット「AirPower」は2018年に登場予定
* * *
11万円越えの価格に迷う人も多いでしょうが、国内の大手キャリアではすでに48回払いなど、長期の割賦支払いプランも登場している模様。まさに機種変更のタイミングを迎えているという人は、長期利用を前提に、最先端をiPhoneを狙ってみてはいかがでしょうか。
(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。
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