ついに日本上陸!バッテリー交換式のスクーターは電動車の未来を変えるか!?
&GP / 2017年10月2日 21時0分
ついに日本上陸!バッテリー交換式のスクーターは電動車の未来を変えるか!?
“次世代の乗りモノは電気で動くようになる”と言われるようになって久しいですが、排気ガスも騒音も発生しない、ランニングコストがガソリンエンジンよりも圧倒的に安いといったメリットがあるにも関わらず、電動の乗りモノは思ったよりも普及していません。そんな状況を変革する可能性を感じる乗りモノが日本に上陸しました。それが台湾のGogoro社の電動スクーター。ステーションでバッテリーをユーザー自身が交換するというソリューションは乗りモノの未来を変えるのでしょうか?
電気自動車や電動バイクなど、電気で動く乗りモノの普及が進まない理由の1つは、充電にかかる手間の問題でしょう。充電ステーションの数はどんどん増えていますが、それでもガソリンスタンドに比べるとまだまだ少ない状況。しかも、ガソリンの給油は数分で終るのに対して、バッテリーの充電は急速充電でも20~30分はかかってしまいます。
それに対して、Gogoroのスクーターは「GoStation」と呼ばれるバッテリー交換用のステーションで、バッテリーを充電済みのものと挿し替えるだけ。所用時間は1本あたり6秒とされています。実際にはもう少し時間がかかりますが、それでもガソリンを給油するより速いですね。
Gogoroの母国である台湾は、人口2200万人に対してスクーターの保有台数が1600万台という2輪大国。電動スクーターの割合は、まだ5%程度ですが、その92%のシェアをGogoro社が占めています。その理由は、GoStationが台湾全土に412箇所も設置されているから。コンビニなどにも広く設置されているようで、電池がなくなったら素早く交換できるインフラが整っているのです。
Gogoroの販売しているスクーターは2車種。アルミボディのハイエンドモデル「Gogoro1」と、2人乗り可能なステンレスフレームの「Gogoro2」です。どちらも交換式のバッテリーを2本搭載している点は共通です。走行可能な距離は約110kmと、このクラスのスクーターとしては十分なもの。しかも、バッテリーを交換すればフル充電になるので、長距離移動もできてしまいます。
なかなか魅力的なGogoroのスクーターですが、日本でも乗れるようになるのでしょうか? 答えはYesですが、すぐに街中で乗れるようになるかというと、まだ時間がかかりそう。
Gogoro社は住友商事と戦略的パートナーシップ契約を締結し、日本国内でもサービスを開始するとして発表会を行っていますが、場所は沖縄県の石垣島。内容は電動スクーターのシェアリングサービスです。今年度中にはスタートする予定とのことですから、石垣島に行けば体験することはできそうです。
実は、Gogoroはすでにドイツのベルリンと、フランスのパリで同様に電動スクーターを使ったシェアリングサービスを行っています。サービスインから1年が経過したベルリンでは、約1000台のGogoroスクーターが導入されているとのこと。このサービスでは、専用のスマホアプリを使ってスクーターの位置を検索し、予約が可能。解錠操作もスマホで行うことができます。スクーターにGPSが搭載されていて、位置がわかるので“乗り捨て”が可能な点も魅力的です。
発表会の席上、Gogoro社のCEOであるホレイス・リーク氏は「我々はスクーターメーカーでもバッテリーメーカーでもない」という点を強調していました。もちろん、スクーターもバッテリーも自社製ですがメーカーではなく「エネルギー・ネットワークを提供する会社」というのがGogoroの立場です。そのため、このバッテリーとステーションのネットワークを共有するメーカーは大歓迎とのこと。
「2輪にかぎらず3輪でも4輪でも、タイヤがついていなくてもいい」とリーク氏が語るように、電気自動車やバイクに限らず、家電製品まで同じバッテリーを使うのであればジャンルは問わないようです。
個人的には、近距離のパーソナルモビリティなどには交換式のバッテリーは相性が良いと感じます。バイクや1人乗りのパーソナルモビリティなどは、コストを抑えることも重要ですので、大量のバッテリーや急速充電機構を搭載することはあまり現実的ではありません。
とはいえ、普通充電だけでは日々の行動範囲も限られてしまう。コストを抑えつつ、行動可能な範囲を広げるには交換式のバッテリーとステーションのネットワークを共有するソリューションは有効ではないでしょうか。車体は国内メーカー製だけど、バッテリーは交換式でGogoroのシステムを使う、そんなバイクやクルマが出てきても面白いと思います。
ちなみに、バッテリーの中身はパナソニック製で「18650」と呼ばれるノートPC用のリチウムイオン電池を自社でスタック化し、それを組み合わせてパッケージにしているとのこと。この方式、初期のテスラと同じなのですが、Gogoroもテスラのように世界中の注目を集める時代が来るかもしれません。
(取材・文/増谷茂樹)
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