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【VW e-ゴルフ試乗】“過渡的”なEVでも完成度は上々!上質な走りは体験する価値あり

&GP / 2017年11月19日 20時0分

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【VW e-ゴルフ試乗】“過渡的”なEVでも完成度は上々!上質な走りは体験する価値あり

VW(フォルクスワーゲン)の新しいEV(電気自動車)が日本上陸です!

先の第45回東京モーターショーでも展示された「e-ゴルフ」がそれ。1回の充電で301kmの走行が可能(JC08モード)で、200Vの普通充電に加え“CHAdeMO(チャデモ)規格”を採る日本の急速充電器にも対応しています。

このe-ゴルフ、実は2年前の2015年に、日本への導入が検討されたことがありました。その際は、CHAdeMO充電器との相性がいまひとつということで、延期された経緯があります。日本のバッテリースポットで不自由なく充電できるよう改良され、また、バッテリー容量もアップさせ、満を持して日本市場に投入されたというわけです。

気になる価格は499万円。「『ゴルフ GTI』より43万円高い」というより、「未来のクルマが『ゴルフ R』より100万円も安い!」と考えるべきかもしれません。なおe-ゴルフは「平成29年度 クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」(30万1000円)の対象となっています。

ちなみに、早速、EVゴルフを手に入れたい人向けに、購入申込ができる専用サイトが立ち上がっています(2017年12月25日まで)。ただし、2017年内に用意されるモデルは、オプションの“テクノロジーパッケージ”(17万2800円)装着車のみ。

このテクノロジーパッケージには、メーター類や情報を、メータナセル内の液晶ディスプレイに表示する“アクティブインフォディスプレイ”のほか、“ダイナミックコーナリングライト”、照射範囲を自動でコントロールする“ダイナミックライトアシスト”、“ダークテールランプ”、そして“LEDテールランプ(ダイナミックターンインジケーター付き)”が含まれます。デリバリー開始は、2017年年末からの予定です。

■2025年、VWは50モデル、100万台のEVを売る!?

今回の試乗車のボディカラーは、ピュアホワイト。実は日本市場でのe-ゴルフには、当面、この色しかラインナップされません。

原動機は電動モーターとなりますが、プラットフォームは通常の「ゴルフ」と同じ“MQBモジュール”を用いています。ボディサイズは、全長4265mm、全幅1800mm、全高1480mmと、ノーマルのゴルフと変わりません。e-ゴルフが電気自動車であることを主張するのは、ラジエターグリルとヘッドランプに入れられたブルーのラインと、エンブレム程度。控えめですね。

控えめな印象は、ドアを開けて車内を見ると、さらに加速(!?)します。黒基調のインテリアに、遠目には無地に見えるファブリックシート。先進的な電動モデルというよりは、地味ぃな実用ゴルフといった感じ。その何気なさこそ「ピュアEV普及に向けたVWの本気!」…と、とらえていいのかもしれません。

もちろん、EV専用の機能も付与され、先だって実施されたゴルフシリーズのマイナーチェンジで9.2インチに拡大されたセンターディスプレイには、走行可能距離が表示され、モバイルオンラインサービス“Volkswagen Car-Net”を通じて、最新の充電ステーションを検索することもできます。

フロントに搭載された電気モーターは、定格出力100kWにして、最高出力も100kW(136馬力)。理論上は、全力走行を延々と続けても「モーターが焼けてしまう」なんてことはないわけです。最大トルクは29.5kg-m。3リッターエンジン級の駆動力が、アクセルペダルを踏んだ瞬間から発生します。

e-ゴルフの車重は1590kg。ちなみに、やはり5人乗りのEVである日産「リーフ」は、やや大ぶりなボディながら、豪華版の「G」で1520kg、最軽量の「S」は1490kg。モーターのアウトプットは、最高出力150馬力、最大トルク32.6kg-mですから、e-ゴルフを多少上回る動力性能となっています。この辺りは、EV専用モデルの強み、といったところでしょうか。

リチウムイオンバッテリーのエネルギー容量も、e-ゴルフの35.8kW/hに対し、リーフのそれは40kW/h。JC08モードの計測方法ゆえか、容量以上に航続距離の差は開き、e-ゴルフが301km、リーフが400kmとなっています。

通常、実用燃費は「カタログ値の7掛け」といわれます。その伝に倣い、さらにEVならではの不安要素(どうしてもバッテリー残量に神経質になりがち)を考慮すると、e-ゴルフで心軽やかに走れるのは160km程度。片道80kmくらいの日帰りドライブが、気楽でいいのではないでしょうか。

東京在住で、自宅で満充電にできるオーナーの場合を考えてみましょう。例えば、箱根への温泉プチ旅行では、復路で急速充電を検討した方がいいけれど、鎌倉程度であれば、中途充電の憂いなくハンドルを握れる、といった計算です。横須賀で海軍カレー、小江戸・川越でうなぎを食する、なんていうのも、ありですね!?

気になるバッテリーの経年変化、劣化に関しては確定的なことはいえませんが、VWとしては、8年または16万kmまでの保証を約束しています。奇しくも(!?)日産のリーフと同じ範囲です。

ステアリングホイールを握って走り始めれば、ピュアEVらしい、力強さとスムーズさ、そして、しっとりとした乗り心地を兼ね備えた素晴らしいドライブフィールを味わえます。特に、ペダル操作に対するスロットルレスポンス…じゃなくて、電気モーターの間髪入れない反応が、運転者にはうれしい。スペック以上の頼りがいを感じます。

印象的だったのは、タイヤのマッチングがいいこと。走行中の室内の静かさをスポイルしない、走行ノイズの小ささに感心しました。タイヤサイズは、ゴルフの中堅グレード「コンフォートライン」と同じ205/55R16で、銘柄はブリヂストンの「TURANZA(トランザ) T001」でした。

e-ゴルフには、航続距離を調整するために「ノーマル」、「エコ」、「エコ+(プラス)」の走行モードが用意され、モーターのアウトプットやエアコンの制御を変更できます。また、回生ブレーキの強度を4段階プラス、最強の「B」ポジションから選べるのも特徴的。その変化を体感するのは楽しいのですが、個人的には「もっと単純化してもいいのでは?」と思いました。VWとしても、手探りで、EVとユーザーのつきあい方を研究しているのでしょう。ちょっと皮肉ないい方をすると、まだまだ「過渡的な仕組み」なのかもしれません。

過渡的といえば、e-ゴルフ自体、内燃機関モデルとプラットフォームを共有しているクルマです。そうではない、新しいEVに向けた専用プラットフォーム“MEB”を使った次世代EVは、2020年に発売される予定。VWは、今後の自社モデルの電動化に熱心で、2025年には、100万台のEVを売る計画を立てています。そしてその頃には、VWグループ全体で、ピュアEVは50車種を数えるのだとか。期待しましょう!

<SPECIFICATIONS>
☆e-ゴルフ
ボディサイズ:L4265×W1800×H1480mm
車重:1590kg
駆動方式:FF
最高出力:136馬力/3300〜1万1750回転
最大トルク:29.5kg-m/0〜3300回転
価格:499万円

(文&写真/ダン・アオキ)

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