ソニー ポータブルオーディオヒストリー【殿堂入りヒットモノ大全】
&GP / 2018年1月16日 20時0分
ソニー ポータブルオーディオヒストリー【殿堂入りヒットモノ大全】
iPodのヒットやその後のスマートフォンの普及に伴い、ポータブルオーディオの市場は着実に勢いを増してきた。同時にヘッドホンやイヤホン、携帯プレーヤーは高機能化が進み、高級オーディオメーカーも参入。ハイレゾ対応やノイズキャンセリング、ワイヤレスが欠かせない機能となっている。
中でもウォークマンを生み出したソニーは、ポータブルオーディオの牽引役として今も注目の存在だ。そこでソニーのポータブルオーディオの歴史を振り返りつつ、殿堂入り最新モデル2機種を、AVライターの折原一也さんの解説とともに紹介していこう。
▼1964年
ソニー初のテープレコーダー用ステレオヘッドセット「DR-1A」が登場
▼1968年
マイク内蔵カセットテープレコーダー「TC-50」を発売。当時の世界最小・最軽量モデルだった
▼1979年
ウォークマンの第1号機「TPS-L2」が大ヒットし、屋外で音楽を聴くスタイルが定着してきた
▼1982年
世界初のインナーイヤー型ヘッドホン「N・U・D・E MDR-E252」を発売
▼1984年
世界初のポータブルCDプレーヤー「D-50」が登場。手頃な価格でCD普及を後押しした
▼1992年
「MDウォークマン MZ-1」とNCヘッドホン「MDR-5700」を発売。いずれも世界初のモデル
▼1997年
業界初のネックバンド式ヘッドホン「MDR-G61」をリリース
▼1999年
独自の著作権保護技術に対応した「メモリースティックウォークマンNW-MS7」が登場
▼2001年
PCからの高速転送規格に対応した最初のモデル「Net MDウォークマン MZ-N1」をリリース
▼2004年
20GB HDDを内蔵し約30時間連続再生が可能な「ネットワークウォークマン NW-HD1」を発売
▼2008年
騒音信号をデジタル処理する世界初のデジタルNCヘッドホン「MDRNC-500D」が登場
▼2009年
高音質・高画質技術を結集し、原音に近い高音質再生を実現した「ウォークマン Xシリーズ」が登場
▼2013年
初めてハイレゾ音源に対応した「NW-ZX1」が登場。専用のフルデジタルアンプが採用された
▼2016年
アルミ切削筐体やフルデジタルアンプ採用したプレミアムモデル「NW-WM1A」をリリース
▼2017年
■独自の高音質技術を満載したワイヤレスモデルの最高峰
ソニー
「WH-1000XM2」(実勢価格:4万円前後)
「MDR-1000X」の後継となるNC搭載ワイヤレスモデル。スマホアプリとの連携でNCレベルの調整や行動に合わせた自動モード切り替えが可能。高音質コーデックであるaptX HDやLDACに対応する。NC使用時は最大30時間駆動。
▲ヘッドホンの内外にマイクを配置。騒音と音楽信号をデジタル化し、より静かな環境でよりクリアに音楽を再生する
▲右側ハウジングに搭載したタッチセンサー全面を手で触れると、一時的に音量を絞り、外部の音を聞きやすくできる
▲スマホのハンズフリー通話やNFCによるワンタッチ接続、8台までのペアリングなど、細かな使い勝手も追求した
【殿堂入りポイント】
第2世代モデルは使い勝手も大幅に進化
ハイレゾ、ワイヤレス、NCといった機能を高い水準で満たしたモデル。評価が高かった前モデルの魅力を踏襲しつつ、NC機能のカスタマイズなど、使い勝手のよさが高まりました。“S-Master HX”をはじめウォークマンの高音質技術を搭載するところも特徴です。
■最上位モデルの高音質技術をスマートサイズに凝縮
ソニー
「ウォークマン NW-ZX300」(実勢価格:6万5000円前後)
「WM1」シリーズ同様に新開発の独自フルデジタルアンプ”S-Master HX”を採用し、DSDのネイティブ再生や出力を強化。非ハイレゾ音源のアップコンバート機能も備える。PC用のUSB DACとしても利用可能。内蔵メモリー64GB。
▲側面ボタンに加えて、タッチパネル操作にも対応。いずれも直感的に操作できる設計で、状況に応じて使い分けられる
▲バランス接続に対応し、4.4㎜ 5極ジャックも装備。左右信号の混信を抑え、ノイズの少ない繊細なサウンドを再現できる
▲シャーシやリアパネルにはアルミ素材を使用。強度を確保すると同時に、音の透明感やツヤ、自然な伸びを高める効果もある
【殿堂入りポイント】
手が届く価格帯で満足できる高音質
音にこだわる人が手を出しやすいミドルクラスの価格帯ですが、フルデジタルアンプ”S-Master HX” やバランス出力対応の4.4㎜ジャックなど高音質技術を凝縮。価格以上のサウンドクオリティを楽しめます。所有欲を高めてくれるアルミ素材の筐体も魅力のひとつですね
【識者の目_AVライター 折原一也さん】
音質、操作性ともに満足できる完成度の高いモデルが増加
音楽を屋外などで気軽に楽しむスタイルが広く定着したのは、1970年代後半から。言わずと知れた「ウォークマン」の登場が契機となったのだが、このブームを生み出したソニーは、今もポータブルオーディオ分野のけん引役であり続けている。近年はハイレゾ音源やノイズキャンセリング(以下NC)、ワイヤレスといったニーズを的確に汲み、長年培ってきた技術で幅広い製品に投入。AVライターの折原一也さんも、その功績を高く評価する。
「ソニーは国内でのハイレゾ音源の普及をリードした存在。NC技術にも早くから取り組み、着実に性能を進化させてきました。音質と機能を優れたバランスで製品に盛り込む感覚は、この分野での長い歴史に培われたものではないでしょうか」
ウォークマンの最新モデルは、最上位モデル譲りのハイレゾ対応フルデジタルアンプやUSB DAC機能などを搭載し、音楽マニアも納得する完成度を誇る。ワイヤレスNCヘッドホンも、ハイレゾ対応に加え、独自の高音質コーデックやアプリでのカスタマイズ機能を採用し、音質と操作性を高い水準で両立させている。
「どの製品も完成度の高さが目を引きます。初の完全ワイヤレスイヤホンも非常にバランスがいい。誰もが納得できるクオリティに仕上げていますね」
一方で、携帯性やNC機能の使い勝手なども追求。“屋外でもいい音を気軽に楽しめる”というソニーのポータブルオーディオが培ってきたDNAは、今も脈々と息づいているのだ。
●折原一也さん
PC 系の出版社勤務を経て独立。現在はオーディオ・ビジュアル関連を中心に、PCなどデジタル機器全般についてさまざまな媒体で執筆やレビューを行っている。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める
本記事の内容はGoodsPress2・3月合併号28-29ページに掲載されています
(取材・文/高橋 智 写真/湯浅立志<Y2>)
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