【スズキ クロスビー試乗】コレは売れそう!注目の“デカハスラー”には“使える”工夫がてんこ盛り
&GP / 2018年1月20日 20時0分
【スズキ クロスビー試乗】コレは売れそう!注目の“デカハスラー”には“使える”工夫がてんこ盛り
2匹目のドジョウは大きかった! スズキ「クロスビー」の実車を前にして、そんな“しょーもないフレーズ”が頭に浮かんできました。「コレは売れそう!」。
クロスビーは、昨2017年の東京モーターショーに出展され、クルマ好きの間では“デカハスラー”なんて愛称が早くも付けられていたスズキのコンパクトカー。
“ガチの実用車”として評価が高い「ソリオ」の最低地上高を140mmから180mmに上げ、SUV風のボディを載せた…という説明もできますが、正確には、ソリオや「イグニス」で使われる新世代のプラットフォーム“HEARTECT(ハーテクト)”を用いてクロスオーバーワゴンを成立させた、クルマなのです。
■地味だけどうれしい荷室床下の樹脂製ボックス
クロスビーのボディサイズは、全長3760mm、全幅1670mm、全高1705mm。高さを除いて、ソリオよりもちょっぴり大きい。意外なことに、2435mmのホイールベースは、ソリオのそれ(2480mm)ではなく、少し小さいイグニスと同寸なんですね。ソリオよりホイールベースを短くし、クロスオーバーカーらしく、アプローチ&デパーチャーアングルを大きく取る一方、全高や、それに伴う室内長をイグニスより高くして、室内空間を稼いでいます。
パワーユニットは、1リッターの3気筒ターボに6ATを組み合わせ、さらに、マイルドハイブリッド化した1種類のみ。割り切っています。カタログ燃費は、22.0km/L(FFモデルの場合。4WD車は20.6km/L)と記載されます。
気になる価格は、ベーシックな「ハイブリッドMX」が176万5800円〜(4WD車は190万8360円〜)。LEDヘッドランプ、メッキドアハンドル、本革巻きステアリングホイールほか装備をおごり、シートやラゲッジフロアに撥水・防水加工を施した上級グレードの「ハイブリッドMZ」が200万3400円〜(4WD車が214万5960円〜)です。
1.2リッターの4気筒を積むソリオの「ハイブリッドMX」が169万5600円〜なので、クロスビーは、少ーしだけお高い値付けとなります。でも、クロスビーを見ていると「あれも、これも、ぜんぶ楽しんじゃおう。」(←カタログより)という、ワクワクした気持ちになります。“人生を明るくする投資”と考えれば、むしろリーズナブルかも。実際に迷う人はいないと思いますが(!?)、例えばMINIの「MINIクロスオーバー」なんて、335万円〜ですからね!
「ワゴンとSUVを融合させた新ジャンル=クロスオーバーワゴン」と謳われるクロスビー。乗車定員、積載性を考えて「もう少し大きなハスラーが欲しい!」と思っていた人たちは元より、ゴツくて男らしいSUVもいいけれど「街中では少し持て余し気味」と感じていたユーザーからも、アツい視線を浴びています。
写真で見た際には、ハスラーが持つ“凝縮感”が失われ「なんだか間延びした?」と心配したスタイルですが、実物は、ちょっとトッポイ雰囲気もあり、頼りがいがあります。丸目で穏やかな表情や、ラウンドしたボディパネルが印象的なクロスビーですが、表面的な造形とは裏腹に、そのフォルムは、キャビンとラゲッジスペース部の空間をガッツリ確保した、ボクシーといっていい2ボックススタイル。真横から見ると、室内高を削らないために、ルーフラインが後方へ向かって真っ直ぐ延びているのが分かります。
ボディカラーは、黒と白、2種類のモノトーンに加え、ボディとルーフを塗り分けたツートーンタイプが6種類も用意されます。さらに、スズキ版“サッコプレート”(マニアックなネタで恐縮です…)というべきドア下部のスプラッシュガードに別ペイントを施し、スリートーンまで実現しているのはご愛敬。
カラーパネルを大胆に使ったインパネ回りは、ポップで楽しげ。ここかしこに収納部があるのが、スズキ車らしい。運転席のみならず、助手席にもシートヒーターが装備され、フルオートエアコンが全車標準です。
高い室内高を活かして、シートの着座位置は高め。フロントガラスをとおして、クロスオーバーらしい視界が広がります。座面位置が高めに置かれるのはリアシートも同じ。おかげで、乗員は背筋を伸ばして座れ、大きく足を前に出さないで済むので、足下のスペースをより広く感じられます。
リアシートは左右分割式で、背もたれを前に倒せるのはもちろん、個々に165mmスライド可能。しかも、リクライニングとスライドのレバーが背もたれの左右端にも設けられるので、ラゲッジスペース側からも操作でき、荷物を積む際にいちいち後席側に回らないで済むのは、想像以上に便利です。
地味だけれど注目の装備が“大容量ラゲッジアンダーボックス”。荷室の後半床下に埋め込まれた樹脂製のボックスで、左右の取っ手を持って取り外せます。幅85cm、奥行き34cm、深さ33cm(実寸値/4WD車では深さ約12cmと浅くなります)と、望外に大きなサイズなので、例えば、汚れたユニフォームや各種ギア、海で遊んだ際には濡れたウエットスーツなどを気兼ねなく放り込め、帰宅したら洗濯場までボックスごと運べます。これは便利! 撥水加工されたシートや防水タイプのラゲッジフロアを組み合わせると、より威力を発揮するはずなので、アクティブな休日を過ごす人は、上級グレードのハイブリッドMZがオススメです。
スズキ自慢の1リッター直3ターボは、99馬力の最高出力と、15.3kg-mの最大トルクを発生。減速時のエネルギーを回収し、モーターとしても機能する“ISG(モーター機能付き発電機)”と組み合わせ、マイルドハイブリッドとしています。シンプルかつ実利的なシステムで、クロスビーに必要十分な動力性能を提供します。
トランスミッションは、FF(前輪駆動)、4WDとも、トルコン式の6速AT。全車、マニュアルモード付きで、パドルシフトが備わります。さらに、ビスカスカップリングを採用した4駆モデルには、エンジンのトルク特性をアグレッシブにする「スポーツ」モードと、控えめでスムーズな発進をサポートする「スノー」モードが用意されています。
安全装備も充実。単眼カメラとレーダーで前方を監視。他車や歩行者、白線などを認識し、運転者に警告したり、自動でブレーキをかけてくれたりもします。また、リアバンパーには4つの超音波センサーを備え、後方の障害物などを検知。後退時のブレーキサポートや、誤発進抑制機能などが搭載されました(ハイブリッドMZに標準装備。ハイブリッドMXには“スズキ セーフティパッケージ”<10万6920円>として提供されます)。
新しいクロスビーは「もっとクルマで自分を表現したい!」という野望を胸に秘め(ちょっと大袈裟)、「冒険心も遊び心も満たしてくれ」、かつ「惜しげなく使えるクルマ」を探していた人たちにとって、「待ってました!」なクルマではないでしょうか。イメージだけではありません。実車に接してみて、さまざまな気遣い&工夫に感心させられました。さすがは庶民派、スズキのクロスオーバーワゴン。ハスラーに負けず、デカハスラーもヒットを飛ばしそうです!
<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッドMZ
ボディサイズ:L3760×W1670×H1705mm
車重:1000kg
駆動方式:4WD
エンジン:996cc 直列3気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速AT
エンジン最高出力:99馬力/5500回転
エンジン最大トルク:15.3kg-m/1700〜4000回転
モーター最高出力:3.1馬力/1000回転
モーター最大トルク:5.1kg-m/100回転
価格:214万5960円
(文&写真/ダン・アオキ)
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