【VW アルテオン試乗】強力なライバルを超えた!?“使える”のに走りもいい新感覚セダン
&GP / 2018年1月22日 21時0分
【VW アルテオン試乗】強力なライバルを超えた!?“使える”のに走りもいい新感覚セダン
え! コレがVW(フォルクスワーゲン)なの?
それが「アルテオン」に初めて触れた時の、正直な第一印象だ。もちろん「え!」は期待以下だったことへのガッカリではなく、予想外だったことへの驚き。デザインのカッコ良さは想像をはるかに超えていた。随分とVWらしくないクルマだ。
“みんなのクルマ”を意味する社名が示すように、VWは質実剛健なクルマづくりを信条とするブランド。洒落たデザインのクルマは同じグループ内のアウディに任せ、万人向けの優れたクルマをつくることこそが、VWらしさだったはずなのに…。
■ハンドリングフィールはまるでスポーツカーのよう
アルテオンは、何より見た目を重視したクルマだ。パッケージングはセダン(厳密にいえば、荷室のリッドがリアウインドウごと開く5ドアハッチバック)だが、プロポーションは流行りのクーペ風スタイル。低くて、ワイドで、平べったい。VWはこれまでにも「CC」などクーペ風スタイルのセダンを手掛けていたが、アルテオンがそれらと大きく異なるのは“とがっている”ことだ。
フロントフェイスは鋭く、グリルの水平バーがそのままヘッドライトまで貫通し、LEDランプと一体化しているのが特徴的。細かい部分では、ボンネットやボディ側面に走るキャラクターラインが驚くほどエッジーかつシャープで、メルセデス・ベンツやBMWといったプレミアムブランドでもここまで極めたプレスは見たことがないと思えるほど。デザインのこだわりとともに、VWのプレス技術の高さを感じさせる仕上がりである。
ボディサイズは、全長4865mm、全幅1875mmという堂々たるもの。日本市場には導入されなかった「フェートン」の販売が終了した今、アルテオンはそれに代わるフラッグシップサルーンとしての位置づけだ。しかし、キャラクターは大きく異なり、フェートンがセダンの基本に忠実なフォーマルさを備えていたのに対し、アルテオンは見るからにパーソナル重視。販売台数が伸び悩んだフェートンの失敗から「お堅い路線で勝負したら、メルセデス・ベンツを始めとするプレミアムブランドに勝ち目はない」と判断したのだろう。最先端をいくデザインのクーペ風サルーンとし、アウディ「A5」やBMW「4シリーズ グランクーペ」といったプレミアムブランドのモデルに勝負を挑もうというわけだ。アルテオンの心ときめくデザインには、手ごわいライバルを相手に戦う資格を備えていることが十分に伝わってくる。
しかし、車内に入ると、単なる軟派なサルーンではないことに驚かされる。例えばリアシート。リアウインドウを寝かせたスタイルだから居住性が悪いと思いきや、身長167cmのボクが座る限り、頭上スペースは問題なし。足下空間は驚くほど広く、ファミリーユースでも期待以上の満足度を得られることは間違いない。
そしてラゲッジスペースは、リアシート使用時で563Lと大容量。さらに後席のシートバックを倒せば、段差のない床面が広がり、オトナが横になって寝られる空間となるのも便利。ハッチバックで開口部が広いから、大きな荷物の積み下ろしだってとても楽だ。軟派な見た目とは裏腹に、パッケージングは実用的。そんなクルマである。
エンジンは、2リッターの4気筒ターボだから大したことはない…と思って峠道を走り始めたら、これまたあっさりと予想を裏切られた。まずアルテオンは、かなり速い。それもそのはず、最高出力は280馬力、最大トルクは35.7kg-mもあって、しかも、1700回転から5600回転という広範囲でその最大トルクをキープする。だから、アクセルを踏んだ瞬間から力強いのだ。
でも、それ以上にドライバーを刺激するのがハンドリングフィールで、とにかく軽快。ハンドルを切ればシュッと気持ち良く向きを変える味付けで、そのナチュラルさはまるでスポーツカーのよう。アルテオンはボディが大柄でそれなりに重量もあり、しかも、FFベースの4WDレイアウトを採用する。しかし、それを感じさせない挙動は、ちょっと信じられないほどだ。まるで、軽量なホットハッチのように反応が鋭く、この軽快さが運転する楽しさにも直結している。
「VWのフラッグシップサルーンだから、きっと良くできているだろう。でも、楽しくはないはずだ」。そんな予想は見事に裏切られた。もはや、スポーティなセダンというよりも、実用性の高いスポーツカーといった方がふさわしいほどである。
ところで、Dセグメントのクーペ風サルーンといえば、同じグループ内の上級ブランド=アウディに、A5スポーツバックが存在する。なので、アルテオンとの関係性が気になる人もいるかもしれない。
まず2台の間には、(4WDモデルどうしで比較すると)100万円近い価格差があり(アルテオンの「Rライン 4モーション アドバンス」は599万円で、A5スポーツバックの「2.0 TFSI クワトロ スポーツ」は686万円)、実はボディサイズは、アルテオンの方が大きい。
一方、プラットフォームは、アルテオンが横置きエンジン用の“MQB”であるのに対し、A5スポーツバックは縦置きエンジン用の“MLB evo”を採用。4WDシステムは、アルテオンが“ハルデックスカップリング”を採用する第5世代の“4モーション”なのに対し、A5スポーツバックはセルフロッキングセンターデフでトルク配分を行う“クワトロ”といった具合に、その中身は大きく異なる。
しかし、ひとたびアルテオンで走り始めてしまえば、2台の違いは全く気にならなくなる。そもそも、同じ2リッターの直噴ターボエンジンを搭載しながらパワーはアルテオンの方が強力で、ハンドリングの軽快さも含め、ドライバーに与えてくれる刺激もアルテオンの方が勝っている。
では、そんなアルテオンはどんな人にマッチするのか?
VWらしい質実剛健さでいえば、期待とはちょっと違うかもしれない。「人と同じクルマが安心できる人」にも向かないだろう。しかし、美しくて存在感のあるサルーンを求めていて「ほかの人とは違う選択を喜べる人」なら、極めて魅力的な選択肢となるだろう。
ライバルは、プレミアムブランドのDセグメントサルーン。アルテオンはライバルと同様の存在感を示しながら、明確にコストパフォーマンスに優れていることも忘れてはいけない。まだまだ知名度は低いが、見た目でいえば、アウディのA5スポーツバック、BMWの「3シリーズ」、そして、メルセデス・ベンツ「Cクラス」などよりも、高価なクルマに見られることもあるだろう。まさにアルテオンは「人とは違う優れたクルマ」を求める人にピッタリの、ツウ好みのサルーンである。
<SPECIFICATIONS>
☆Rライン 4モーション アドバンス
ボディサイズ:L4865×W1875×H1435mm
車重:1700kg
駆動方式:4WD
エンジン:1984cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7AT(DSG/デュアルクラッチ式)
最高出力:280馬力/5600〜6500回転
最大トルク:35.7kg-m/1700〜5600回転
価格:599万円
(文&写真/工藤貴宏)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
セダンもアリ! 新型「マツダ2」公開に反響多数!?「小さな車体にゴツいエンジン好き」141馬力の“小さな巨人”墨で登場
くるまのニュース / 2024年9月11日 19時10分
-
新型「大きな高級車」発売! めちゃ豪華内装に「爆速エンジン」を搭載! “限定40台”の四駆セダン 新型「GTL」が凄かった!
くるまのニュース / 2024年9月8日 21時10分
-
ラゲッジは最大675ℓ!ベンツが作るスーパースポーツ2代目 AMG GTクーペが便利すぎる(小沢コージ)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月31日 9時26分
-
日本未発売、ホンダ「シティ・ハッチバック」の実力 1980年代に一斉風靡したホットハッチ再来か?
東洋経済オンライン / 2024年8月30日 9時0分
-
400馬力超え! 新型「美麗“クーペ”SUV」公開! オシャグレー×豪華内装が超カッコイイ「エディション S line」発売
くるまのニュース / 2024年8月26日 21時25分
ランキング
-
1円安で苦しんだ100円ショップ、円高で勝つのは? 上場している企業3社【セリア】【キャンドゥ】【ワッツ】の有望株を探る
MONEYPLUS / 2024年9月19日 7時30分
-
2「結局、水筒にスポーツドリンクを入れるのはNGなの?」「炭酸飲料は?」 水筒に入れていいもの/いけないものを企業が解説
Fav-Log by ITmedia / 2024年9月18日 18時48分
-
3スーパーの駐車場でボヤ騒ぎ。高齢者ドライバーが起こした“危険すぎる行動”
日刊SPA! / 2024年9月18日 8時52分
-
4コスパが良いと思うエアコンのメーカーランキング! 2位「ダイキン」、1位は?【家電のプロが解説】
オールアバウト / 2024年9月18日 20時35分
-
5会社のウオーターサーバーの「水」大量持ち帰り、SNS怒り「限度を知らんのか」 実は厳しい“罰則”があった!
オトナンサー / 2024年9月19日 7時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください