【クルマ初モノ図鑑⑧】今では“当たり前”の電装装備を初搭載したのは?
&GP / 2018年1月25日 21時0分
【クルマ初モノ図鑑⑧】今では“当たり前”の電装装備を初搭載したのは?
移動中の車内を快適にする装備から、走行中の安全性を確保するのはもちろんデザインにも影響を与える装備まで、クルマにはさまざまな電装品が装備されています。今では当たり前のように使っている電装装備がいつ登場したのか。今回は1960年代に初搭載された装備を見ていきましょう。
■プリンススカイライン(1960年) -日本初の4灯式ヘッドライトを採用
2014年にデビューした現行型スカイラインには世界初搭載となるダイレクトアダプティブステアリングをはじめ、数々の先進装備が搭載されています。スカイラインはいつの時代も最新技術が惜しみなく投入されてきたモデルです。これは、日産と合併する前のプリンス自動車が送り出した初代スカイラインからの変わらぬ伝統でもあります(初代プリンススカイラインが登場した1957年当時の社名は富士精密工業)。
プリンススカイラインにはスタンダードとデラックスの2系統がありましたが、’60年のマイナーチェンジでデラックスが日本初となる4灯式ヘッドライトを採用。これは来るべきハイウェイ時代を見越してのものだったそうです。’62年にはスカイラインスポーツ(写真)を追加。4灯式ヘッドライトをつり目状にデザインすることで、デラックスとは違う精悍なスタイルになりました。
初代プリンススカイラインは、現在私たちが当たり前のように使っている速度を変えられるワイパーを初搭載したモデルでもあります。
■日産セドリック(1962年) -国産初のパワーシートを搭載
前後調整やリクライニング量の調整などをレバーやダイヤルで行うシートに対し、電動で調整できるパワーシートは人気装備のひとつです。上級車では、運転席だけでなく助手席や後部座席も電動で調整できるものもあります。
そんなパワーシートを国産車で初搭載したのは1960年にデビューした初代セドリック。’62年2月のマイナーチェンジで高級車らしい装備として採用されました。このマイナーチェンジでは、前進3段式完全自動変速機(トルクコンバーターAT)も初採用されていました。
■プリンスグロリア(1964年) -国産初のパワーウインドウを採用
日産フーガの前身モデルとなるセドリック/グロリアは兄弟車という位置付けでしたが、グロリアはもともとプリンス自動車が製造していたモデルで、スカイラインの派生モデルとして1959年に歴史がスタートしました。
2代目となるS40型がデビューしたのは’62年で、「日本の高級車の理想形」を追求したものだったと言います。
’64年に上級グレードとなるグランドグロリアを追加。このグレードに日本で初めてパワーウインドウが装備されました。グランドグロリアは’63年に追加されたグロリアスーパー6がベース。スーパー6に搭載されたエンジンは2Lクラスで日本初となる直列6気筒SOHCでした。
■トヨペットクラウン(1965年) -車内を快適にするカーエアコンを搭載
狭く密室である車内は夏場になると灼熱地獄。JAFのテストによると車内平均温度は50℃を超え、とくにダッシュボード付近は80℃近くにもなるそうです。また、真冬は外気温と変わらない温度にまでなります。そのためエアコンは必需品。現在ではどのクルマにも標準装備となっていますよね。
カーエアコンは1990年頃には標準装備のクルマが増えていましたが、それまではオプション扱いのものが多かったですよね。その理由は’89年の消費税導入まであった物品税が影響していたようです。新車購入時にカーエアコンを付けるとエアコン代にも物品税がかかるので、購入時はエアコンレスにして後で社外品をつけるのが当時の一般的な方法だったとか。
そんなカーエアコンですが、国産車で初めて装備されたのは2代目トヨペットクラウン。’65年のマイナーチェンジで用意されました。ちなみにカークーラーを初搭載したのは初代トヨペットクラウン(’57年)でした。
■日産プレジデント(1965年) -リモコン式フェンダーミラーをはじめ数々の電装品を初採用
現在のクルマは軽自動車や小型車でもドアミラーの調整は電動で行いますが、1990年代終わり頃までは手動で調整するものも珍しくありませんでした。運転席側は外に手を出しミラーを押し、助手席側は室内にあるレバーで調整していた人も多いはず。
ドアミラーが認められる前は乗用車にもタクシーについているフェンダーミラーがついていました。フェンダーミラーは運転席から手が届かないので角度調整が面倒だったんですよね。そのためドアミラーと同じように一部の上級モデルには電動で動かせるミラーがついていました。
そんなリモコン式フェンダーミラーを初採用したのが’65年に登場した初代プレジデント。公用車などの使用を想定したプレジデントは、デビュー時は乗用車として最大級の大きさでした。そしてリモコンドアミラーのほか、パワーステアリング、熱線入りリアウインドウ、防眩インサイドミラー、無段変速ワイパーなどを国産乗用車として初採用。初採用された装備の数はなんと30種類を超えていたそうです。
>> 【クルマ初モノ図鑑】
(文/高橋 満<ブリッジマン>)
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