画面付きアナログスマートウォッチってどんな風に表示されるの?
&GP / 2018年2月1日 6時30分
画面付きアナログスマートウォッチってどんな風に表示されるの?
ガーミンジャパンが昨年末に発売した「vivomove HR」は、アナログ文字盤でありつつ、タッチスクリーンを搭載するスマートウォッチ。「sport」「premium」の2ライン・計4モデルを展開しており、直販価格は前者が2万2963円、後者が3万2223円(税別)となっています。
今回はvivomove HR Sport Blackを実際に使用してみたので、画面がどのように表示されるのか、じっくり調べてみました。
■画面付きアナログスマートウォッチの登場は必然
まず背景に触れておくと、スマートウォッチ市場の主流は、「Apple Watch」や「Android Wear」など、PC・スマホメーカーが開発している画面全体がディスプレイになっているモデルが先行しました。そこに、時計メーカーなどが、アナログ文字盤だけどスマホに接続できる「コネクテッドウォッチ」と呼ばれる商品ジャンルを展開して追随する流れに。
▲vivomove HR Sportも「Garmin Connect」アプリを使用し、スマホとペアリングして利用する前提だ。今回はiPhone Xと連携した
こうしたアナログ文字盤を採用するモデルでは、ディスプレイ型に比べると電池持ちが良いというメリットがあります。「毎晩充電しなくても大丈夫」という言葉は、スマートウォッチの充電を億劫と感じる人にとって、魅力的に聴こえることでしょう。
しかし、心拍数などの測定データや通知の情報をリアルタイムに確認するには、やはりディスプレイがないと不便です。結局、毎回スマホを取り出すことになってしまっては、元も子もありません。フィットネスやヘルスケアを目的にする場合、アナログ文字盤では、なにかと不便があったのです。
そこで登場してきたのが、アナログ型のデザインを踏襲しつつ、小さいディスプレイも搭載するモデルというわけです。
■ディスプレイ表示が隠れないように針が避ける
さっそく「vivomove HR Sport Black」の外観をチェック。ケースはラウンド型で、サイズは直径43mm、重量は40.8g。ベースの素材には強化繊維ポリマーが使われており、ベゼル部分にはステンレススティールを用いています。
風防は平面のガラスです。文字盤は黒で派手な装飾はなく、インデックス、針ともにシンプルなバータイプを採用。秒針はありません。なお、0時・6時のインデックスと分針のみ黄色にカラーリングされ、見栄えのアクセントに。
▲「vivomove HR Sport Black」。リューズはついていない。文字盤およびバンドのループに「GARMIN」のロゴが入っている
ストラップ素材にはシリコンを使用。肌に触れる内側は、滑らかで平坦な表面になっています。肌ざわりはいいのですが、長距離のランニングなどで汗をかく場合には、若干蒸れることを覚悟した方がいいかもしれません。
一方、装着時に見える外側には菱形の模様があしらわれており、シリコンバンドにありがちな安っぽさは感じられません。
▲バンドはピンで装着するタイプ。工具無しで付け外し可能だ。バックルはシンプルなピン式。ケース背面には光学式の心拍センサーも
肝心のディスプレイには、縦9.6mm×横19.2mmのOLEDを採用。ただし、解像度は64x128ピクセルで、あくまでも文字やアイコンなどの簡単な情報を表示できるに留まります。
▲ディスプレイは文字盤の4時~7時の間に位置する
ディスプレイが表示される際には、針が10:10を指し示すように「ウィ~ンッ」と動きます。下部の情報が重なって見えなくならないように配慮されています。
▲10時の部分にクリップ状の充電端子を接続
充電には付属のアタッチメントを用います。先端がクリップ式になっており、同機の裏側にある端子を挟むようにして固定。
公式サイトの表記に従うと、稼働時間は「Smartモード」で最大5日間、「時計モード」で2週間となっています。
■操作方法をチェック
ディスプレイを操作する方法について確認します。
まず、画面を起動するには“腕を持ち上げるジェスチャー”、または “画面をダブルタップ”という操作を行います。
スマホでいうロック画面のようなものがあるのですが、ジェスチャーで起動した場合はこの画面はスキップされ、いきなりホーム画面へと遷移します。
一方、画面をダブルタップした場合は、まずロック画面が表示されるので、左右にスワイプしてホーム画面へと切り替える必要がありました。
ちなみに、針が10:10へと避けるのはここでいうホーム画面が起動したときで、ロック画面のような状態では動きません。
▲基本的な操作については、初期設定時にチュートリアルが開始されるので安心だ
その後は、「タップ」「ダブルタップ」「長押し」「スワイプ(左右のみ)」の4通りの操作で扱います。スマホ慣れしている人なら、違和感なく扱えるでしょう。タッチ操作に対する感度も良好。最初は、ダブルタップとスワイプに苦戦するかもしれませんが、慣れてしまえば問題なく扱えます。
▲実際にタッチするガラス面とOLEDの間には、若干空き間が存在するように感じられた
一方、筆者が少し気になったのは、腕を上げるジェスチャー操作で画面が起動し、その際に毎回針が10:10へと動いてしまうこと。確かにディスプレイは見えやすくなりますが、挙げる瞬間に注視していないと、肝心の時針が指している数字を見逃します。
とは言え、ディスプレイには時刻をデジタル表示できますのでご安心を。しかし、「そもそも何のためにアナログデザインを選ぶのか」という疑問も残りますね。針で時刻を確認したい人は、本体が反応しないように腕をそっと動かすと良いかもしれません。
■機能が複雑すぎて使いこなすには時間がかかるかも
vivomove HRの機能を見ていきます。同機には、タッチスクリーンが小さい割に、豊富な機能が搭載されています。大きく(1)ホーム画面(2)メニュー画面に分かれるので、順に紹介します。
(1)ホーム画面
まずはロックを解除して、最初に表示される画面の一覧を確認してみます。体系的に理解しやすくするため、文字盤の写真を撮り、それを並べてみました。
▲基本となる画面の一覧。左右に続いて並べた画面はスワイプで切り替え可能。縦に黒線でつなげた画面はタップで切り替える部分。二重線はダブルタップ
この層には、消費カロリーや歩数など、スマートウォッチとして基本的な測定項目が並びます。商品名にHRと付くだけあり、心拍数ももちろん測定可能。その他、スマホの音楽をリモートで操作できる画面や、通知を確認できる画面、「ストレス」を測定する画面も用意されていました。
「ストレスレベル」は休息/低/中/高の4段階で測定されます(数値は0~100で、25刻みに分類)。ちなみに、これがどういった数値なのかはマニュアルにも書かれていないので、分かりません。
なお、一覧の右下にある「リラックスタイマー」なる機能は、Apple Watchでいう「呼吸」アプリのように、深呼吸を促す機能。継続時間を設定して、ダブルタップでスタートすると、測定が開始されました。
▲カレンダーに書き込んだ「移動」のスケジュールが表示されている。ディスプレイを搭載したメリットのひとつだ
既に複雑ですが、一番重要なのは、ディスプレイに情報を表示できているということ。スマホを持ちださずとも、単体で歩数などを確認できるわけです。
(2)メニュー画面
続いて、ホーム画面を長押しすると「メニュー画面」へと切り替わります。
▲ホーム画面で長押しすると、メニュー画面へと切り替わる。ここでは左端の「アクティビティ」から展開する画面をまとめた
この画面では、運動の計測や、スマホの呼び出し、設定項目の変更などが可能です。左端の「アクティビティ」について見てみると、「ウォーク」「ラン」「カーディオ(有酸素運動)」「筋力トレーニング」「その他」といった形で運動が分類されていることが分かります。
例えば「ウォーク」の場合、「アラート」で30分経過、距離5キロ経過、100kcal消費、心拍数のゾーンなどを設定すると、それに基づいたアラートが鳴らせます。具体的には、各項目のウィジェットのスイッチをオンにすればOK。
今回は検証していませんが、筋力トレーニングでは「Rep数」も測定できるようです。
▲アクティビティでの測定結果は、「Garmin Connect」の「マイデイ」タブなどで確認しよう
また、実際の運動中には、経過時間や距離、心拍数、ステップ数を確認可能。ホーム画面にもあった、スマホの音楽をリモートコントロールする画面が、ここにも表示されます。
▲メニュー画面(その2)
月のアイコンからは、バイブレーションをオフにできる「サイレントモード」に切り替えられます。時計のアイコンからはストップウォッチやタイマー機能を利用可能。なお、アラームはスマホアプリ側での設定が必要と出ましたが、筆者は「Garmin Connect」アプリのどこから設定すればよいのか見つけられませんでした。
「VO2」からはVO2Maxが測定できます(※)。ハートマークからは、心拍センサーの使用についてオン・オフなどを切り替え可能。ちなみに、ハートマークから電波が飛んでいるような「心拍転送モード」は、ほかのガーミンデバイスとの連携時に利用できる機能です。
※マラソンなどの持久系種目で利用される指標の一つ。本記事では詳細は割愛
▲メニュー画面(その3)
電話+?のアイコンをタップすると、ペアリングしているスマホから音がなります。部屋の中でどこにスマホがあるか分からないときなどに活用しましょう。
ファイルのアイコンからはアクティビティの履歴が確認できます。その横は同期を行うメニューです。
▲スマホ側のアプリ「Garmin Connect」で「カレンダー」のタブを見た方が、過去のデータは管理しやすい
しかし、iPhone側でチェックした方が、アクティビティの履歴は把握しやすいので、実際にvivomove HRで確認する場面はほぼないでしょうね。
▲メニュー画面(その5)>設定(その1)
最後に残った「設定」には、また多くのメニューがあります。まずは、接続設定、起動調整、時刻設定をチェック。
接続設定では、通知をオフにするカスタマイズができます。輝度調整では、画面の耀さや点灯時間を変更可能です。特にランニングなど屋外で使用する場合には、輝度を高めにしておかないと視認性が悪かったので、ここのカスタマイズは必須です。
また、もし何かの拍子に針がずれてしまった場合(画面表示の際に10:10へ移らないなど)には、時刻設定で「針の調整」を選択すると、正しい位置に調整できます。筆者も何か触ってしまったのか、一度10:15へ針が動くようになってしまい、ここで調整することになりました。
▲メニュー画面(その6)>設定(その2)
続いて、人の横に↑矢印のようなマークが並ぶアイコンは、ライフログの設定項目。最後に残るシステム設定では、バイブレーションの強度や、言語、単位のカスタマイズ、そして端末のリセット操作などが行えます。
* * *
はい、以上をまとめると下記のようになりました。ディスプレイが小さいので、もっとシンプルなのかと思いきや、かなり複雑で、階層も深くなります。使いこなす方も根気がいりそうです。
▲vivomove HRのディスプレイに表示される画面をまとめた。上から下へと階層が深くなる。赤線は「長押し」で切り替わることを示している。もはや何も見えない
スクリーンサイズはやはり小さいので、走りながらタイムを確認するなど、ちょっと物足りないと感じるところも…。スポーツ用途で本格的に使用したい場合には、もっと表示サイズの大きな製品を選ぶ方がいいかもしれません。まぁ、趣味でウォーキング、ファンランくらいなら十分です。
▲おっ、ちょうどLINEが…
とは言え、2万円台前半でこれだけの機能を搭載していると、お得感はすごいですね。全てを使いこなせなくても「おっ、ちょっとLINEが来ているな」くらいが分かる腕時計として使えば十分元は取れるはず。デザインにこだわりたい場合には、Premiumモデルも含めて、検討してみてはいかがでしょうか?
>> GARMIN
(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。
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