【トヨタ ハリアー ターボ試乗】SUVの定番が、フォーマルな魅力にワイルドな走りをプラス!
&GP / 2018年1月29日 21時0分
【トヨタ ハリアー ターボ試乗】SUVの定番が、フォーマルな魅力にワイルドな走りをプラス!
トヨタのクロスオーバーSUV「ハリアー」に、先頃、ターボモデルが追加設定されました。
3世代目となる現行型がデビューしたのは、2013年末のこと。3年半を経てのマイナーチェンジに合わせてのバリエーション拡大です。
ハリアーといえば、数ある国産クロスオーバーSUVの中でも都会派、かつフォーマルなイメージが強いモデル。231馬力という最高出力を得た2リッターのターボモデルは、どのようなクルマなのでしょうか?
■“爽快”な走りを味わえるハリアーターボ
覚えていらっしゃる方も多いかと思いますが、1997年にデビューした初代ハリアーのキャッチコピーは“WILD BUT FORMAL”でした。当時の日本には“クロスオーバーSUV”なんてカテゴリーはなく、「ランドクルーザー」や「パジェロ」といったSUVは“RV”や“オフロード車”、そして“4駆”などと呼ばれていいたのです。
確かに、トヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」など、モノコックボディを採用したSUVは販売されていましたが、どちらかといえば若者向けのモデルでしたから、高級車指向でオトナ路線のハリアーがデビューした時は、そのコンセプトやスタイルに驚かされたものです。
あれから20年。国産クロスオーバーSUVの定番モデルとなったハリアーに、ターボエンジンを搭載したモデルが追加設定されました。と、いわれても、そもそも現在のラインナップってどうなってるの? という方もいらっしゃると思いますので、簡単にご説明いたしましょう。
●ガソリン車
1986cc 直列4気筒 DOHC
最高出力:151馬力/最大トルク:19.7kg-m
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF/4WD
●ハイブリッド車
2493cc 直列4気筒 DOHC+電気モーター
最大出力:197馬力(システム全体)
トランスミッション:電気式無段変速
駆動方式:4WD(E-Four)
●ターボ車
1998cc 直列4気筒 DOHC+ターボ
最高出力:231馬力/最大トルク35.7kg-m
トランスミッション:6速AT
駆動方式:FF/4WD
メカニズムとしては上記のような設定で、そこに「プログレス」、「プレミアム」、「エレガンス」といったグレードが組み合わされます。そうそう、直近の話題としては、トヨタのスポーツカーブランドであるGRからも、エレガンスをベースとする「GR SPORT」が設定されました。
テストドライブへと出掛けたのは、ターボ車の最上位グレードであるプログレスの4WD車に、プレミアムナッパ本革シート表皮やアルミヘアライン加飾のシフトパネルなどを追加した“Metal and Leather Package(メタル&レザー パッケージ)”。ボディカラーがシルバーメタリックということもあり、ハリアーらしいクールさが際立ちます。
エクステリアを細かくチェックすると、ハニカム状の専用フロントグリル(ロア)や、ダイヤ状の模様が刻まれたフロントグリル(アッパー)など、スポーティさを強調するターボ車専用のディテールが採用されています。また、アルミホイールも切削光輝+ダークグレーメタリック塗装が施された専用の18インチが装着されています。とはいえ、ハイブリッド車やガソリン車との外観上の差異は控えめで、この辺りの仕立てからも、オトナ向けの高級SUVを標榜していることが分かります。
インテリアも外観から受ける印象を裏切らないもので、標準モデルのスエード+合成皮革に代わり、プレミアムナッパ本革シートが備わるプログレス“Metal and Leather Package”では、ピアノブラック仕上げのドアスイッチベースやアルミヘアライン加飾のフロントコンソールなど、クールで落ち着きのある空間となっています。
キャビン内はエントリーグレードでも高級感を意識したもので、シート表皮もファブリック+合成皮革のコンビであったり、シフトパネルやドアスイッチベースなども黒木目×幾何学柄にしたりと、なかなか凝ったコーディネートを採用しているようです。
さて、ターボ仕様に搭載されるエンジンですが、ノーマルのガソリン車(3ZR-FAE型)とは異なり、8AR-FTS型を搭載します。この8AR-FTS型は、ターボ専用の直噴“D-4ST”に加えて、水冷エキゾーストマニホールド一体型のシリンダーヘッド、そしてツインスクロールターボを採用。すでに「クラウン」のほか、レクサス「NX」や「IS」といった、いわゆる高級車に採用されているものです。“適材適所”といいますか、キャラクターやグレードに合ったエンジンを用意できるのも、幅広いエンジンラインナップを展開するトヨタならではといえるでしょう。
気になる走りですが、ひと言で語るなら“爽快”というイメージでしょうか。現代のトヨタ車ですから、EV(電気自動車)やハイブリッドのような無音ではないものの、アイドリングでは高い静粛性を実現しています。しかし、街中へと走り出し、ちょっとした上り坂でアクセルペダルを深く踏み込むと、モーターや自然吸気エンジンとは異なる、伸びやかでパワフルな加速を感じます。
もちろん、古典的な“ドッカンターボ”とは異なりますし、低回転域のトルクが細いといこともありませんが、2500回転前後からグッとパワフルさを増すエンジン、そして、切れ味鋭い6速ATの組み合わせが良好で、ちょっとしたワインディングでも軽く流す程度のスピードであれば、テンポよくクリアできます。ターボ仕様には、フロントとリアに“パフォーマンスダンパー”が搭載されており、ロール剛性や操縦安定性の向上を図っていることも、こうした気持ち良さの理由なのかもしれません。
とはいえ、車重は1700kg超ですし、サスペンションもクロスオーバーSUVらしく、ストロークが確保されていますから、スポーツカー的な俊敏さとは異なりますが、この手のクルマにありがちな「あと少し加速してくれれば…」、「もうちょっとコーナリングを楽しめれば」といったストレスを感じることはありませんでした。
そして、今回のマイナーチェンジにおける注目点として忘れてならないのが、安全性の強化です。具体的には、衝突回避支援パッケージである“Toyota Safet Sense P(トヨタ セーフティ センスP)”が全モデルに標準装備となりました。
ミリ波レーダー+単眼カメラにより前方を監視。危険を検知するとブレーキ操作を行う自動ブレーキシステムですが、もはやこのクラスには欠かせない装備となっています。また、障害物の接近を知らせる“インテリジェントクリアランスソナー”の機能強化など、安全装備全体の強化も図られています。海外メーカーを中心に、さらに進んだシステムを搭載するクルマも登場していますから、安全装備面の充実もハリアーにとっては急務であったのは間違いないでしょう。
オトナにふさわしいプレミアムSUVとしてのたたずまいと装備に加え、走行性能の向上も図られたハリアーのターボモデル。現行ハリアーの初期モデルは、ベーシックなガソリン車と、環境指向の強いハイブリッドの2本立てでしたが、SUVには“FORMAL”にも応える落ち着きだけでなく、ちょっと“WILD”な部分や遊び心も必要、という人もいることでしょう。先のバリエーション拡充により、ハリアーの商品性が向上したのは間違いありません。オーナー予備軍にとっては、ちょっとうれしい悩みの種が増えたかもしれませんね。
<SPECIFICATIONS>
☆プログレス“Metal and Leather Package"
ボディサイズ:L4725×W1835×H1690mm
車重:1740kg
駆動方式:4WD
エンジン:1998cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:231馬力/5200~5600回転
最大トルク:35.7kg-m/1650~4000回転
価格:457万4880円
(文&写真/村田尚之)
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