[Gear Maniax #064] 開発段階から考え抜かれた誘導灯にもなる懐中電灯
&GP / 2018年2月10日 21時0分
[Gear Maniax #064] 開発段階から考え抜かれた誘導灯にもなる懐中電灯
アカリセンターのHATTAです。今回ご紹介するライトはTAJIMA(タジマ)の新商品、Kシリーズです。ライト単体のK252とシグナルコーンが付属するK252Cがありますが、どちらもライト本体の性能は同じなので一緒にご紹介します。
このライト、先端にシグナルコーンやトラコン(トラフィックコーン)と呼ばれる赤い樹脂のパーツを付ける事で交通整理等で使用される「誘導灯」になるのですが、その開発経緯や設計はこれまでの誘導灯とは大きく異なる1本になっていて、なかなか面白いんです。
ライト本体のボディは樹脂製。樹脂製と聞くと「安っぽい」「壊れそう」というイメージを持つ方がいるかと思います。「安っぽい」というのは否定しませんが、決して壊れ易いものではありません。2mの耐衝撃性能を有します。アルミ製ボディのライトで同サイズの物のほとんどが、良くて耐衝撃性能は1m。樹脂ボディのライトは、自重が軽いことと素材そのものが衝撃に強いのです。しかも防水性はIPX7あり、雨天はもちろん荒天や水気のある場所でも使用可能。場所、環境に左右されないのも樹脂製ライトの良いところです。
スイッチはテールスイッチタイプ。プッシュ式で押す毎に4モードの切り替えが可能。消灯時のメモリー機能はなく、必ずHiモードから点灯します。明るさはHi/Lowの二段階切替。点滅モードは2パターン。スイッチボタンは大きく厚手のグローブをしていても操作性に問題はありません。
若干伸縮性のあるランヤードは手首に巻き易く、長さの調整も可能です。
使用電池は単三電池3本。アルカリ乾電池でもニッケル水素充電池でも使用は可能です。カートリッジはなく本体に直接電池を装填します。バッテリースペースの内側に装填方向がイラストで描かれているので誰でも簡単に装填できます。
単三電池3本をドラム状に配置するのでそれなりにボディは太くなりますが、把持部の直径は約40mm マグライトのDセル(単一)よりもちょっと太い程度。がっちり握れるのでさほど気になりません。テールキャップはボディに対してツライチではなく、少し凸るのでそれが滑り止めにもなり握りのよさはなかなかです。
▲搭載LEDはCREE社のXP-G2 CW
風防レンズの口径は約39.5mm リフレクターは二段階になった特徴的なもの。リフの深さはそれなりにあり集光性が期待できます。Hiモード250ルーメンのビームディスタンスはANSI FL1 STANDARD基準で250m。メーカ公称の中心光角は8°、周辺光が95° 鋭い中心光とワイドな周辺光となります。リフレクターの広さと深さ、そしてLEDの程よい小ささが照射距離に貢献しております。
近距離ではLowモードでも中心光がバッチリ明るく確認できます。中心光との明るさの差異が激しいので手元の書類などを確認する時は中心光を外して見たほうが良いと思います。近くではバウンス光でも眩しくて仕方ありません。
このライト最大の特徴がこのシグナルコーンの繋ぎ目です。通常、この手のアクセサリーパーツは「圧入」が基本です。樹脂のテンションやゴムの抵抗などでヘッドに差し込むだけのものです。もちろん、それで事足りるのであれば問題はありません。しかし、激しく振ったりする場合は外れる恐れもあります。道路の交通整理などではそれを防ぐために取り外しのできないものが使われます。
しかし、職場によっては「懐中電灯も使う」し「誘導灯も使う」ところもあります。それに応じた灯具をそろえるのが一般的ですが、何とかそれを「ひとつで済ませたい」という要望を受けてTAJIMAは考えました。そして「圧入」ではなく「機械的なロック」にしたのです。
上の写真のようにライト本体とシグナルコーンが噛み合って固定されます。ベゼルではなくライト本体にロックが付いているのでベゼルが緩む心配はありません。つまり、後付けで要望から作られたアクセサリーではなく、開発の段階から誘導灯として使われることが想定されていたのです。具体的な採用場所については書けませんが、空港で着陸後に目にする機会があるかも知れません。一本のライトで機体確認も、誘導灯としても使えるライトです。
運用をスムーズにするために専用の樹脂製スピードホルスターが付属します。ベルト幅50mm 厚さ4mmのデューティーベルトに対応。ライトを腰に保持する場合、先端にシグナルコーンが付いていると一般的なナイロンホルスターには入りません。また、シグナルコーンを外して使用する場合、コーンの所在に困ることがあります。それらの問題を解決するためにこのホルスターが付属します。ライト本体もシグナルコーンもどちらも挟んで使えるものです。やわらかな樹脂製でそのテンションで固定します。外す時は外側に押し出すようにして使います。これにより1本のライトでさまざまな業務に使用できます。
シグナルコーンの全長は285mmとさほど長くはありません。ただし、全体が過不足なく光るので非常に目立ちます。LEDを光源とするこのような誘導灯の場合、見る角度によっては明るさや眩しさが異なるものがあります。確かに目立ちはしますが、向けられる側、つまりドライバーによっては眩しいと感じることさえあります。
「目立たなければならないが、相手に不愉快な思いをさせてはいけない」そんなジレンマを要求される灯具です。それをTAJIMAはちょうど良く仕上げました。光源であるLEDが直接ドライバーの視界に入ることはありません。全方向から見て過不足なく目立ち、少しも眩しくは無いシグナルコーンです。
3AAのライトとしてはかなり飛ぶ感じの配光です。無駄にルーメンが高くないのでボディが熱くなることもありません。250ルーメンで10時間、Lowモード50ルーメンなら25時間とかなり優秀です。樹脂製のライトでもハイルーメンのモデルは多く250ルーメン自体に新鮮さはありませんが、逆にLEDの明るさとランタイムのバランスについてご存知の方であればこれがいかに絶妙な設定であるかが分かるはずです。そしてそれを知らない人でもこのライトを業務で使っているうちにその性能の良さに気が付くことでしょう。
見た目こそドラえもんの道具のような姿をしておりますが、そのスペックと実用を考えた構成は驚くものがあります。(アカリセンター価格:シグナルコーン付き 3280円)
>> 連載[Gear Maniax]
(文・写真/アカリセンター・HATTA)
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