1カ月使って分かった完全ワイヤレス「Xperia Ear Duo」の利点と注意点
&GP / 2018年5月11日 7時30分
1カ月使って分かった完全ワイヤレス「Xperia Ear Duo」の利点と注意点
ソニーモバイル発の新型ヘッドセットとして注目を集める「Xperia Ear Duo」。完全ワイヤレスイヤホンのように両耳に装着するスタイルや、耳を塞がない“開放型”を採用するなど、片耳タイプの旧モデル「Xperia Ear」から随分と様変わりしました。そんな「Xperia Ear Duo」を、発表会当日から約1カ月間、あれこれ使ってみた感想をレポートします。
■まずは自分の耳に合うリングサポーターをセット
使用する前には、USBケーブルで電源につないだ付属の専用充電ケースに本体をセットし、しっかりとチャージします。専用充電ケースのバッテリー残量は、インジケーターの点灯色(赤=15%未満、オレンジ=約80%未満、緑=約80%以上)で確認できる仕組み。
本体も同様で、専用充電ケースに収納している際は、ケースの蓋からインジケーターの色が透けて見えます。それぞれのバッテリー状態がひと目で分かるのは便利です。なお、音楽を再生するなら本体のみで連続約4時間、本体のバッテリーをチャージできる専用充電ケースとの併用で最長約16時間使えます。
大きさが異なる3種類のリングサポーターが付属し、自分の耳にフィットするものを選びます。3種類を試した結果、左はMサイズ、右はLサイズが一番しっくりときました。ただし、イヤーピースで耳穴をしっかりと塞ぐ通常の密閉型とは異なり、リングサポーターを耳穴にはめるXperia Ear Duoのフィット感はややアバウト。特に筆者に関してはLサイズでも右耳のフィット感が今ひとつで、頭部を軽く左右に動かしただけでも、耳穴にはめたはずのリングサポーターがポロッと外れてしまいます。
ソニーのイヤホンやヘッドホンは、専門の“耳型職人”が開発に携わるくらいフィット感へのこだわりは強く、本製品に関してもおそらく多くの人は何ら支障のない話かもしれません。同製品にジャストフィットしない筆者の右耳が、ただただ残念でならず…(涙)。
着脱を繰り返してはベストなセッティング位置を探ること数日。リングサポーターを通常の固定位置からちょっとずらしてみると、あらビックリ! 驚くことに耳にしっかりとフィットするようになりました。
見た目からお分かりのように、リングサポーターの端がしっかりセットされていない“亜流”ゆえ、これはもちろんメーカーの推奨外の使い方です。ただし、せっかく購入したのにフィット感が物足りないなら、こうした手段を試してみてもいいかもしれません(リングサポーターが破損するなどの可能性があるので、あくまでも自己責任でお願いします)。
耳たぶを少し引っ張りながら下から挟むように入れるのが、本機をセットするポイント。
リングサポーターを耳の穴にしっかりはめたら装着完了です。下掛けタイプなので、メガネのテンプルに接触しません。周囲の音とともに、音楽やラジオの音声が耳に直接届く感覚はとても新鮮です。
■街中、カフェ、電車内…。さまざまなシーンでXperia Ear Duoの魅力を実感!
(やや強引ではあるものの…)自分の耳にアジャストできたところで、本格的に街中でも試してみました。
例えば、電話が掛かってきた際は、本体側面に備わるタッチパッドを軽く1回タップ、もしくはヘッドジェスチャー機能を利用して頭部を上下に動かせば、瞬時に通話可能です。
また側面のタッチパッドを指で上下になぞると、通話相手の声の音量を調整でき、通話を切った後には中断した音楽やラジオが再開されます。
このように電話着信に関わるさまざまな操作が、スマホを取り出さずに行えるのは実に快適。なお、音楽を再生中に次のトラックへスキップする際は、ヘッドジェスチャー機能を利用して頭部を左右に振る、またはタッチパッドをタップするだけ。Xperia Ear Duoによってスマホに触れる頻度は確実に減るので「これは歩きスマホの防止にもつながるのでは…」とも考えてしまいました。
ちなみに音量調整は左右どちらのタッチパッドでも行えますが、右側で操作するのがお勧め。左側は「一時停止」「次のトラックへのスキップ」といった各種操作が割り当てられていて、タッチパッドの触れ方次第では曲を止めてしまうこともあるためです。
耳を塞がない構造のXperia Ear Duoは、音楽やラジオを聴きながら街中を散策する使い方には特に向いています。仮に、会社の同僚と出くわしても相手の声を聞き取れて、しっかり応対できるからです。このほかにも、電車内での「スミマセン、電車降ります~」といった乗客の声や、コンビニでは店員からの「◯◯カードはありますか?」といった声を、耳に掛けっぱなしでも聞き逃しません。「おい、聞いているのかよ!」と相手を怒らせることはなく、生活シーンの不要なトラブルやミスを防げる点は、耳を密閉する従来のヘッドセットやイヤホンにはない大きなメリットでしょう。
耳を塞がない構造は、飲食している際にも効果的。従来の密閉型イヤホンとは異なり、モグモグしたり飲み込んだりした際の音が一切気になりません。そのため、飲食する際に本機を耳から外したり音楽やラジオをストップしたりしなくてもいい、というわけ。例えば、カフェで食事しながら「DAZN」でサッカー中継をチェックする…なんて使い方にもうってつけです。オフィスでの残業中に夜食をほうばりながら「radiko.jp」で野球のナイターを聴くのにも重宝しました。
周囲の音が聴こえるにも関わらず、Xperia Ear Duoは音漏れの心配がほぼありません。ソニー独自の音導管設計が生かされていて、本機から耳穴に伸びる音導管が音を鼓膜に直接届けるようになっています。さすがにスマホの音量をMAXまで上げれば漏れてしまうものの、半分くらいのボリュームなら、すぐ隣にいても聞こえないほど静か。周囲の迷惑を気にせず、必要十分な音量で好きなコンテンツ鑑賞を楽しめるのです。
周囲の音を十分聞き取れる一方、騒がしい環境下で快適に使えるのも、Xperia Ear Duoのスゴいところ! ノイズ分離のためのマイクと音声を拾うためのマイクが左右に1基ずつ備わっていて、周囲の音が大きくなると音声認識や通話品質を向上。アダプティブボリュームコントロール機能により、周囲の音に合わせて音量も制御します。
例えば、走行している地下鉄電車内(特に都営大江戸線…)は騒音がひどく、隣の人の声でも聞き取りにくい経験をする人もいるでしょう。そんな「音楽を聴く」上で劣悪な車内ではアダプティブボリュームコントロール機能がしっかりと働き、リスニング中の音楽が騒音にかき消されることはありませんでした。具体的には、停車中の電車が動き出して騒音が増すと音量が上がり、停車駅に近づくにつれて騒音が小さくなると音量が下がる…という具合です。実に賢い!
気になる音質も申し分なし。ハイレゾ対応ではないので、日頃から高音質な音源を聴き慣れている人には物足りなさを感じるかもしれませんが、好きな音楽を街中で気軽に楽しむには上々なレベル。低音がやや力不足に感じるものの音自体はすごくクリアで、音がこもる感じは一切ありません。ボーカルの声がしっかりと聞き取れ、各音域のバランスがよくて聴きやすいです。
ちなみに、専用アプリでは「音質モード」を用意。「音質優先」に設定すれば、AAC形式の楽曲データに限り、より高音質で楽しめるようになっています。
Xperia Ear Duoは、iPhoneとAndroidの両OSに対応し、Androidだけの機能も少なくありません。例えば、右側のタッチパッドを長押しするとAIアシスタント「Clova」を起動させる設定も可能で、起動させればLINEのメッセージを音声で送れます。このほか、ユーザーの使用状況を認識して天気予報や最新ニュースなどの便利な音声情報が聞こえてくる「デイリーアシスト機能」や、最大5人でトランシーバーのようにグループチャットできる「Anytime Talk」など、小さな本体に魅力的な機能がテンコ盛りなのです。
* * *
気になる値段は、実勢価格で3万円前後。完全ワイヤレスイヤホンの中でも特に評価が高いソニー「WF1000X」が実勢価格で2万円前後のことを考えると、どうしても二の足を踏んでしまうのが正直なところ。ただし、日常生活で快適に使えて、周囲の声と好きなコンテンツのどちらも聞き逃さず、さらには音質も十分満足できる点はとても魅力的で、実に悩ましい存在です。レビューを終えてXperia Ear Duoを返却した後、筆者も購入しようかどうか大いに悩みたいと思います(笑)
>> ソニーモバイル「Xperia Ear Duo XEA20」
(取材・文/ナゴヤリュータ)
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