【ヒットの予感(2/3)】「ルンバ誕生までの12年」アイロボット社CEOコリン・アングル
&GP / 2015年10月14日 18時0分
![【ヒットの予感(2/3)】「ルンバ誕生までの12年」アイロボット社CEOコリン・アングル](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_15982_0-small.jpg)
【ヒットの予感(2/3)】「ルンバ誕生までの12年」アイロボット社CEOコリン・アングル
写真上:ルンバ初期型
コリン・アングル氏、ロドニー・ブルックス氏、そして当時優秀なクラスメイトだったヘレン・グレイナー氏の3人で、1990年アイロボット社を起業する。とはいえ、最初から経営が順調だったわけではなかった。2002年に初代ルンバが登場するまでは、毎月の給料の支払いがギリギリというぐらい、ベンチャー企業としては低空飛行の状態だったというのは有名な話。
その苦境をどのように乗り切ったのだろうか?
■インタビューTOPページ(1/3)
ーー1990年に起業した頃、どのようなロボットを作ろうとしていたのでしょうか?
コリン:会社を起業した時に、私たちが考えていたのは、「しっかりと知能をもっているけれども、買いやすい価格のロボットを作ろう」ということでした。ただ、その時はどんなマーケットで、どんなロボットを作ろうかは、まだ答えは見えていなかったんです。
ーー起業後に、政府やNASAの仕事を受注していますね。その経緯を教えてください。
コリン:最初のビジネスアイデアとして、“クールなものを作りたい”と、月を探査するロボットを作ろうとしていました。そのために冒険の映画を作ってプロモーション動画のようにし、資金を集めようとしました。
ーーまずはロボットではなく映画撮影だったのですか?
コリン:このアイデア自体は実現しませんでしたが、後にNASAが火星に送った探査ロボットの原型になりました。ロケットに世界で初めて搭載されたロボットですね。
ーー最初から政府の仕事を積極的にしようと考えていたのでしょうか?
コリン:まったくそういうつもりではありませんでした。会社を作ったことがある人なら分かると思いますが、まずはどんな会社でも、とにかく生き残る、つまり潰れないことが大事であり、当時の自分たちも、それが第一の関心事項でした。
なぜ、政府の仕事をしたかというと、単純に、当時アメリカ政府がいろいろなテーマを選定して、それに対してアイデアを募り、いいアイデアなら資金を出すというプログラムを行っていたのです。
ーーなるほど。
コリン:会社を経営し続ける資金を得るには、非常に有効なやり方だったんです。しかも、その内容は自分たちのロボット技術を、前進させるために役立つものでした。ルンバを作る2002年までに試行錯誤を繰り返し、14ジャンルくらいに当てはまるロボットを作りました。
ーーそんな中、どうして掃除ロボットを作ろうと思ったのでしょうか?
コリン:当時からいろいろな人とディスカッションする時、自己紹介をするたびに、多くの人から「うちの家の掃除をするロボットを作れない?」と聞かれることが多かったのです。自分でもそのニーズには起業した初日から気付いていたのですが、どうすれば実現できるのか、その方法が見えていない状態が続きました。
当時、私たちは、そのとき既に持っていた技術を掃除ロボットに応用しようという戦略的な考えは持っていませんでしたし、そもそも、その技術を使おうものなら、数千万ドル単位の非常に大きなコストが掛かるという状況でした。
ーーロボット技術があっても、それは家庭用に使えるようなものではなかったんですね。
コリン:当時はそう思っていました。だから、ロボットを作るという事業をしながら、会社として生き残っていくためには、別の道を辿らなくてはいけなかったのです。ルンバが最終的に開発できた経緯というのは、私たちがそういった別の道を辿りながら、複数の分野で手掛けた仕事があったからなんです。
創業当初は業務用のロボット掃除機も手掛けていた
ーー例えばどんなものがあったのでしょうか?
コリン:「ジョンソンワックス社」の非常に大規模な商業用クリーニングロボットを作るという案件がありました。そこでまずは掃除をする、キレイにするというノウハウを学びました。さらに、後のルンバの人工知能「iAdapt」に関わる、床全体を完全にカバーするというノウハウを得たのは、ある政府プロジェクトによるものでした。
地雷を検知し、除去するロボットを作ってほしいというのが、政府の要請でした。それは後に「フェッチ」という地雷除去ロボットとして活躍しています。また、低コストでロボットを作るノウハウも学びました。これは「ハズブロー社」という玩具の会社とのプロジェクトによるものでした。このようにノウハウを蓄積し、第1号のルンバを開発(2002年)するまで12年も掛かったのです。
ルンバのプロトタイプ
ーーどうして最終的に円形のロボットに辿り着いたのでしょうか? 円形だと確信したのはいつ頃だったのでしょうか?
コリン:たしか1999年です。社員の中に、アイロボット社を起業する以前、1989年くらいから関わっていた社員がいました。彼らとやっていた仕事が、先ほども話したハズブロー社との仕事で、その時はちょうど契約が終わりに近づいていました。そんな時に、当時玩具のプログラムをやっていたエンジニアの何人かが、私のところに来て、「次のアイデアがある」と言うのです。
それが、今まで得たいろいろなテクノロジーを合わせることで、低コストのロボット掃除機が作れるというものでした。そこから、具体的にルンバに対する取り組みを始めましたのです。当時から、袋小路に入った場合でも、円形ならば回転するだけでそのまま抜けられるとか、障害物も円形の方がスムーズに回れるといった、今と変わらないロボット掃除機=円形のメリットを貫いているというわけです。
(取材・文/滝田勝紀、ポートレート撮影/下城英悟)
【第3部に続く】
■インタビューTOPページ(1/3)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
濡れたペットを箱内で自動乾燥! オゾン+金属触媒の脱臭器ほか 最新ペット家電5選
CREA WEB / 2024年7月2日 11時0分
-
【漫画】残業の妻のため、夕飯を作った夫 感謝されると思いきや…まさかの展開に「膝がガクガク」【作者インタビュー】
マグミクス / 2024年6月25日 21時5分
-
何光年も離れた「恒星への旅」は実現可能なのか NASAの専門家が本気で考えた星間旅行の課題
東洋経済オンライン / 2024年6月14日 14時0分
-
たくさん働いてくれたロボット掃除機に感謝とお別れを――アイロボットジャパンが神田明神で「ルンバ感謝祭」を開催
ITmedia PC USER / 2024年6月10日 12時30分
-
神田明神コラボ企画第二弾、全国からルンバオーナーが集結お世話になったルンバを「ありがとう」の気持ちとともにお納め「2024ルンバ感謝祭@神田明神」を開催
PR TIMES / 2024年6月9日 15時45分
ランキング
-
110位寝言、6位歯ぎしり、3位常夜灯をつけた…40~60代1012人調査で判明「早死にした人の睡眠特徴ワースト10」
プレジデントオンライン / 2024年7月3日 17時15分
-
2定年後に、見落とすと厄介な出費「3選」とは?
オールアバウト / 2024年7月3日 21時40分
-
3アレルギー表示漏れ→体調不良者発生…… ビアードパパが限定シュークリームの販売を中止「深くお詫び」
ねとらぼ / 2024年7月3日 14時1分
-
4Q. 納豆をより健康的に食べるには、どのような食べ合わせがおすすめですか? 【管理栄養士が解説】
オールアバウト / 2024年7月2日 20時45分
-
5痩せたい人は注目!実は有能なきゅうりの痩せ効果&食べ方
つやプラ / 2024年7月3日 12時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)