今年も超過酷だった「ニュルブルクリンク24時間耐久レース2018」、日本車はいかに戦った?
&GP / 2018年5月21日 19時0分
今年も超過酷だった「ニュルブルクリンク24時間耐久レース2018」、日本車はいかに戦った?
“スポーツカーの聖地”と呼ばれる一方“緑の地獄”との異名も持つドイツのサーキット・ニュルブルクリンクは、自動車メーカーのタイムアタック合戦や、新車開発でもお馴染みのコース。ここには、全長5kmほどのグランプリコースもあるが、最大の特徴は、北コース=“ノルドシュライフェ”と呼ばれる全長20km超の区間。
第二次世界大戦前の世界恐慌時に、経済活性化のための公共事業として作られた同コースは、山岳地帯を切り拓いて設けられたコースのため、高低差あり、急カーブありの危険なレイアウト。その激しさゆえに、クルマのウィークポイントが浮き彫りになるため、新車開発のメッカとなっているわけだが、森の中にあり、激しいクラッシュも起きやすい過酷な場所であるため、緑の地獄とも呼ばれているわけだ。
そんなニュルブルクリンクで毎年開催されているのが「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」。当初は、アマチュアを対象としていたため“世界一の草レース”とも呼ばれるこのレースは、グランプリコースと北コースを合わせたコースを使って開催される(一般的なタイムアタックが行われるコースよりも総距離が長い)。
コース全長は25km、コーナー総数172、高低差300m、ピットは4チームから5チームで共用、そして、決勝出走台数は147台。そんな常識外ばかりの超過酷なレースには、もちろん日本車も多数参戦。そこで今回は、2018年のニュル24耐での日本車の戦いぶりと、その他コースで発見した、興味深いマシンについてご紹介したい。
■スバル、レクサス、トヨタの各モデルが健闘!
●スバル「WRX STI」
スバル/STIチームからSP3Tクラスに参戦。5度目のクラス優勝を勝ち取り、終盤でリタイアした2017年の雪辱を果たした。マシンの駆動方式は、市販モデルと同様のAWDで、雨が降ったセクションでは抜群の車両安定性を生かし、同クラスのライバルに対し、1周当たり1分近いラップ差をつけて周回。上位クラスでハイパワーを誇る、ポルシェやBMWのGT3マシンの一部よりも速いラップタイムをたたき出すなど、悪天候に対する強さも印象的だ。今回のレースでのベストラップは9分10秒316。
●レクサス「LC」
レクサスの大型ラグジュアリークーペ「LC」は、トヨタ社内チームから排気量3000㏄以上での特別公認となるSP-PROクラスに参戦。総合96位、クラス優勝を果たした。予選タイムは8分34秒591で総合32位。決勝もベストラップは8分45秒355と速さはあっただけに、数々のトラブルに襲われたことが悔やまれた。
エンジンは"2UR-GSE改"という表記からも明らかなように、市販車とは異なる先行技術が投入されていて、将来に向けての実験も兼ねた参戦と噂されている。
●レクサス「RC-F」
レクサスの2ドアクーペ「RC」に、V8エンジンを詰め込んだホットバージョンをベースとしたマシン。日本人プライベーターを中心としたチームとして参戦。総合42位でベストラップは9分18秒585。
●レクサス「IS F CCSR」
V8エンジンを搭載した先代「IS」の高性能モデル「IS F」。そこにカーボン素材を多用するなど徹底的なダイエットを施し、300kgの軽量化を実現したレース専用マシンが「IS F CCSR」だ。こちらも日本人プライベーターを中心とするチームで参戦。総合43位。ベストラップは9分26秒149。
●トヨタ「GT86」
2018年のニュル24時間耐久レースで一番参加台数の多かった日本車が「86」だ。欧州では「GT86」というネーミングで販売されていて、今回は地元のプライベーターから5台が参戦。最も好成績を収めたチームは総合70位で、ベストラップは10分12秒027。
●トヨタ「カローラ」
なんと、ニュルにはあのカローラも参戦! ただし、日本で売っているモデルではなく“日本以外の国”で販売されるひと回り車体の大きな、通称“グローバル・カローラ”をベースとしたレーシングカーだ。Toyota Gazoo Racing Team Thailandから2台がエントリー。残念ながらどちらもリタイアとなったが、ベストラップは10分26秒682と、同クラスのGT86に迫る実力を示した。
* * *
ここからは、日本車以外で気になった珍しい参戦マシンをご紹介したい。参加台数が多いのは、ポルシェ「911」&「ケイマン」、BMW「6シリーズ」&「2シリーズ」、アウディ「R8」、メルセデス・AMGなど、走りを磨いたドイツ車だが、中には驚くべき車両も出走。
本来なら、2011年に定められたレギュレーション=「10年以上前に生産されたクルマの参加は認められない」によって出場できないのだが、以前から毎年参戦しているということで、特例による参戦が許されているのだ。
●オペル「マンタ」
1970年から'88年まで生産されていたオペル「マンタ」がエントリー。実はニュル24耐では有名な1台で、ファンも多いマシン。見た目は古いが、ベストラップは10分2秒679と意外な速さをみせる。
●BMW「318 is」(E36型)
BMWのエントリー台数は多いが、ここまで古いモデルは珍しい。しかもM3ではなく、ベーシックな「318 is」である。ベストラップは11分28秒134。総合98位でチェッカーフラッグを受けた。
●オペル「カリブラ」
1989年から'97年まで販売されていたオペル「カブリラ」。ベストラップは11分16秒049。こういった古いモデルが、ポルシェの911やアウディの「RSシリーズ」、メルセデス・AMG「GT」などの最新GT3マシンに交じって戦うのが、ニュル24耐の懐の広さであり、人を惹きつける理由のひとつだ。
(文&写真/&GP編集部)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
2024全日本ラリーRd.7「ラリー北海道」は希少なグラベル戦!トラブル続出の大波乱ステージはどのチームが制した?
くるまのニュース / 2024年9月20日 18時40分
-
トヨタ新型「エボ2」初公開! 大排気量「直6」搭載の「2ドア“クーペ”」! ド迫力ウイングもイケてる3000万円超えモデル「GRスープラ GT4」どんな人が買う?
くるまのニュース / 2024年9月20日 13時10分
-
トヨタ『GRスープラ』をレクサスのV8に換装…2026年豪スーパー耐久選手権参戦へ
レスポンス / 2024年9月19日 15時0分
-
【WEC 第7戦 富士6時間】母国レース10勝目を目指すトヨタ、決勝は2番手と4番手グリッドからスタート
レスポンス / 2024年9月15日 7時30分
-
【YouTube公開】25周年目のFALKEN 挑戦と情熱の軌跡! ~ニュルブルクリンク24時間レース~
共同通信PRワイヤー / 2024年9月10日 11時7分
ランキング
-
1どんな時にスマホを買い替える? 3位スペック不足を感じた時、2位故障した時…1位は?
まいどなニュース / 2024年9月23日 16時0分
-
2「高くても低くてもダメ」血糖値の正しい整え方 人格破綻まで招きかねない「低血糖」の恐怖
東洋経済オンライン / 2024年9月23日 17時0分
-
3痛くて腕が上がらない…【医師監修】五十肩という思い込みには要注意!痛みの原因と病状セルフチェック
ハルメク365 / 2024年9月23日 11時50分
-
4226kmを走破「世界一超人の91歳」その驚く肉体 20年間食べ続けてきた「食事メニュー」を公開
東洋経済オンライン / 2024年9月23日 10時0分
-
5コーヒーよりもはるかに効果的…88歳医師が「長生きしたいならこれを飲むべき」と強く勧める"飲み物"
プレジデントオンライン / 2024年9月23日 15時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください