Googleスプレッドシートが「マクロ」対応!初心者でもできる効率化の基礎テク
&GP / 2018年5月28日 11時0分
Googleスプレッドシートが「マクロ」対応!初心者でもできる効率化の基礎テク
「Googleスプレッドシート」でついに「マクロ」機能が使えるようになりました。筆者としては「やっときたかー!」とテンション上がるビッグイベント。これを活用すれば、クラウド上で行なっていた共同作業を、さらに効率化できます。今回は「そもそもマクロって何?」という人に向けて、同機能の基本を紹介します。
■複数の作業をまとめて行う機能を作る
「マクロ」とは、ざっくりいうと「登録した作業を自動で行ってくれる」機能のこと。
利用するのに、小難しいプログラミングの知識は必要ありません。まるで画面を録画するような感覚で、作業手順の記録をスタートし、実際に作業して手順を登録します。登録を終了することで、一連の作業が、ひとつの機能として保存されます。そしてこの機能を、必要なときに呼び出せます。
わかりやすい例で説明しましょう。例えば、「文字のフォントを大きくする」「セルの色を変更」「文字の色を赤にする」という3つの作業を考えます。これを手作業で行うと、3工程を別々に行う必要がありますね。
▲個別に操作すると、3工程かかる手順だ
これをマクロで行ってみましょう。まずは、3つの作業をまとめて実行するマクロを作成します。スプレッドシートの上部にあるメニューから「ツール」を選択し、「マクロ」→「マクロの記録」をクリック。すると画面下部に「新しいマクロを記録しています」と表示されます。
▲マクロを登録する手順①:「ツール」→「マクロ」→「マクロを登録」をクリック
▲マクロを登録する手順②:コレが表示されたら手順の記録が開始されている。保存したい手順を実際に行う。終わったら「保存」をクリック
この状態で、「文字のフォントを大きくする」「セルの色を変更」「文字の色を赤にする」という3つの作業を実際に行います。そして、作業が終了したら、「保存」をクリックしてください。以上で、「文字のフォントを大きくし、セルの色を変更し、文字の色を赤にする」という1工程の機能が作られました。
▲マクロを登録する手順③:マクロの名前と、ショートカットキーに使う数字を入力し、「OK」をクリック
それでは、先程作成した機能を適用してみます。「ツール」→「マクロ」→「マクロの管理」をクリックし、保存済みの機能を選択します。すると、選択したセルに対して、3つの作業が自動で実行されました。
つまり、3行程だった作業が、1工程で終わりました。単純な例だったので、便利さがピンとこないかもしれませんが、例えばこれが20行程を1行程で済ませるマクロだったら、どれほど便利でしょうか。
■必ず覚えておきたい「絶対参照」と「相対参照」の違い
さてさて、ここまでくると「こんなことができるのかな?」と、下記のような操作を期待しますよね。
▲イメージするのは、こういう操作。選択した範囲に、機能を実行できたら便利だ
しかし、さきほど作成したマクロ「太字&セル黄色&赤字」を適用すると、次のようになってしまいます。これでは不便です。
▲しかし、先ほど作ったマクロだとこうなる
この原因は、「絶対参照」と「相対参照」の違いにあります。先ほど作成したマクロでは「絶対参照」を選択して作成していました。
「絶対参照」とは、「セル」の位置で指定するということ。つまり、先ほど作ったマクロは、どこを選択した状態であろうと、「B2」のセルにしか適用されないという設定にしていたわけです。
一方、「相対参照」は、選択した範囲に応じて、指定する位置が変動するという意味。つまり、複数のセルを選択して、一気に操作を適用したいようなマクロでは「相対参照」を選択する必要があります。
▲「絶対参照」で作成したマクロは、セルを変えて適用できない
▲「相対参照」で作成したマクロは、選択したセルに適用できる
両者は必要に応じて使い分ける必要があります。作成したい機能は、どちらのタイプなのか、作る前に見定めるようにしましょう。
■少し実用的な例で試してみよう
もう少しだけ実用的なマクロを作成してみましょう。例えば、ここでは、表組みデータから一定の項目を抽出して並び替えてみます。
男性と女性が混在したデータから、男性のみに絞り込み、番号順に並べてグラフを作成しましょう。
▲ここからデータを抽出してみる。マクロの登録を開始
▲列を選択して
▲フィルタをクリック
▲「性別」列の上部にあるフィルタのアイコンをクリックし、抽出する条件を指定。ここでは、「完全に一致するテキスト」で「男」を指定し、「OK」をクリック
▲続いて「ナンバー」列の数値を指定し、「範囲を並べ替え」を選択
▲「A~Z」を選び「並べ替え」をクリック
▲「数値」の列を選択して、「挿入」→「グラフ」をクリック
▲抽出したデータでグラフが作成された
こうしたマクロを用意しておけば、1行程で、必要なデータを抽出し、グラフ化できるようになります。登録できる操作とできない操作があるので、何の工程を自動化するかを見定めることが重要になりそうです。なお、今回紹介した手順は、あくまで基本を説明するためなので、細部が粗い点はご了承ください。
ちなみに、マクロで編集したデータを元に戻すには、「戻る」操作では限界がありますし、手間もかかります。こうしたデータ抽出のマクロを作成する際には、元のデータを残しておくのがコツ。マクロ作成前に、シートのコピーを作成しておくとよいでしょう。中~上級者は「元に戻す操作」のマクロを作成しておくという手もありますが、結構難しいので初心者にはオススメしません。
また、上級者は、コードを自分で入力して調整できますので、余裕があれば、こちらもチャレンジしてみてください。
▲「ツール」→「マクロ」→「マクロの管理」をクリック。マクロの右端にあるメニューボタンから、「スクリプトの編集」をクリック
▲登録したマクロのスクリプトが確認できる。理解できる人は、ここから微調整を行える
ちなみに言語はJavaScriptをベースにした「Google Apps Script」を使用します。
■「人の手で作業するな」という教え
筆者がパソコンの基本を学びだした頃、師に教わった基本があります。それは「コンピューターにできることは、人の手で作業するな」ということ。分かりやすいところで言えば、「コピー&ペースト作業に右クリックは使ってはならず、必ずショートカットキーを使うべきである」など。コンピューターと仲良くなるためには、避けては通れない道です。
特に、効率化が求められるビジネスシーンの作業では、こうした工夫の積み重ねが重要。細かい作法というか、習慣付けが時短術に直結してきます。大量のデータを扱う表計算ソフトは、その最たる例でしょう。
クラウド上で共同編集を行えるGoogleスプレッドシート。「マクロ」機能の活用が、チームの生産性を向上させるきっかけになることを祈ります。
(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。
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