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さよなら「Hey Siri」よろしく「通知」! watchOS 5で激変するApple Watch 6つの習慣

&GP / 2018年6月10日 9時0分

さよなら「Hey Siri」よろしく「通知」! watchOS 5で激変するApple Watch 6つの習慣

さよなら「Hey Siri」よろしく「通知」! watchOS 5で激変するApple Watch 6つの習慣

WWDC2018で発表されたなかで何が一番印象的だったかーー。僕はこれを選ぼう。「watchOS 5」がとにかくすごい。

Apple Watchに親しむひとりのユーザーとして「Apple Watchをどう活用したらさらに便利になるだろうか」なんて思い巡らすこともある。でも今回のアップデートはそんな想像を軽く超えてきた。

本記事では、Apple Watchの基本とともに、秋に控えるこのアップデートの概要について、6つのポイントをおさらいしよう。そして、同時にそれぞれの項目について何が魅力的に感じたのか、筆者のインプレッションを伝えたいと思う。

1)アクティビティの成果を1週間単位で競い合える

Apple Watchで健康的な運動習慣を実現しようとする際には、ふたつのアプリがキーとなる。「アクティビティ」と「ワークアウト」だ。まず、アクティビティについて紹介しよう。

アクティビティでは、3つのリングが表示される。外側から赤、緑、青の3色あり、それぞれ、「消費カロリー(ムーブ)」「運動時間(エクササイズ)」「立ち上がる頻度(スタンド)」を表している。そして、この中で自由に目標値を調整できるのが、赤の消費カロリーを表すリングなのだ。

このムーブという指標は、その日の運動量を把握するとともに、モチベーションを維持するためにも利用される。その上で、人と競い合う、という発想が出てくるのは自然な流れだ。従来も「共有」というタブで、登録した友人の運動量を把握できた。ただ、その比較は1日単位であり、「今日は友人がどのくらい運動しているのか」「誰が目標までの達成度が高いか」などという情報を可視化できるに留まっていた。

watchOS 5で登場する「競争」という機能は、この「共有」機能の一部を強化したものだ。具体的には、友人と1週間単位で運動量を競い合うものになる。

ちなみに、ここで競い合うのは、ムーブの目標達成率を基にしたポイントだ。つまり、純粋に運動時間や強度を比較するわけではなく、「自身の定めた目標をどれだけ忠実にこなせたか」が評価基準になる。運動習慣に差がある友人や家族同士でも、無理なく、ハンデなく、楽しみながらモチベーションを維持できるわけだ。

例えば、運動好きなAさんが、普段運動しないBさんに「競争」を挑む。すると、Bさんは「いや、お前とやっても勝てないからいいよ」と断るだろう。そんなとき、Aさんはこう言えばいい。「大丈夫、君はゴールを下げてやればいい」と。対等な勝負ができるというルールを教えてあげればいいのだ。これは健康を目的とした機能であり、「根性論」的な機能ではない。

とはいえ、競争的な要素もしっかりある。順位が変わった時点で通知が来る。その時点で「あ、抜かれた」と分かる。1週間が終了した時点で、勝者にはアプリ内に記録される「トロフィー」が贈られる。

 

2)本格的なマラソンのトレーニングもできるように

続いて、「ワークアウト」について。このアプリは、前述のアクティビティとは使い方が少し異なる。アクティビティは、日常の全ての動作からカロリーを測定する機能だった。もちろん、歩く、走る、階段を登るといった動作もこれに含まれる。

一方、ワークアウトは「いざ、運動しよう!」と能動的に運動をする際に使用する機能だ。例えば、朝3kmのジョギングをしようとする際には、「ワークアウト」アプリで「ランニング」を計測することになる。

ワークアウトアプリを起動し、「ランニング」や「ウォーキング」などの種目を選ぶ。すると測定が始まるので、その状態で走ったり、歩いたりしていく。これで走った距離や時間、消費カロリーなどが記録される。もちろん、ここで消費したカロリーの量や運動時間などは、アクティビティアプリにも共有されることになる。

watchOS 5では、このワークアウトに関して3つのアップデートが施される。ひとつ目は、新たな測定種目として「ヨガ」と「ハイキング」が追加されること。ふたつ目は、走り出しと終了時の記録忘れを予防する「自動ワークアウト検出」機能が使えるようになること。3つ目は、測定項目がより細かくなることだ。

なお、3つ目のアップデートをまとめると下記のようになる。

  • 1分間あたりのステップ数が表示できるようになる
  • 屋外ランニング時に、目標ペースにより遅いか速いかがアラームで通知される
  • 現在のペース、平均ペースに加えて、直前の走行ペースが表示される

これらは、マラソンの練習などを行ううえで非常に役立つはずだ。記録を狙っていく層についても、しっかりとカバーできるようになるだろう。

 

3)ジョギングしながら英会話の練習とかできるかも

外出時にApple Watch単体で音楽を聴くためには、「AirPods」のようなワイヤレスイヤホンを使う必要がある。ウォッチ本体に音源を同期する方法もあるが、Cellular+ GPSモデルでは、LTEネットワークを使用してApple Musicのストリーミング再生が行える。ここまでが既存の情報だ。

watchOS 5では、さらに「Podcast」アプリのストリーミング再生もサポートする。ポッドキャストのエピソードは自動的に同期され、ほかのデバイスで聴き終えた場合なども、最新のエピソードにリフレッシュされるという。

例えば、朝のジョギングをしながらPodcastで英会話のリスニングを行う。こんな使い方がイメージできる。

 

4)より手軽なコミュニケーション手段が登場

従来、Apple Watchで能動的にコミュニケーションを取る手段には、「電話」と「SMS」があった。通話はウォッチを手首につけた状態で利用でき、本体のスピーカーから通話相手の声が出る仕組み。SMSは定型文を選択したり、音声入力でテキストを送信することが可能だ。

そのほか「LINE」や「Facebook Messanger」などのサードパーティ製アプリでは、未読のメッセージを確認したり、スタンプで受動的なリアクションを取ったりできる。これだけでも、さほど不自由はない。

しかし、watchOS 5では、新たに「トランシーバー」というアプリが登場する。その名の通り、画面に表示されるボタンを押してからしゃべった言葉を、ボイスメッセージとして送信可能。「トランシーバー」という名前こそついているものの、音声データはモバイルネットワーク上でやり取りされるので、ノイズは発生しない。

一方、受信側としては、急に腕時計から声が聞こえだしたら困るわけだが、ここを解消する設定ももちろんある。同アプリの画面を上から下にスワイプすると、受信可能かどうかを選択するスイッチが現れる。ここをオフを選択しておくことで、相手からの急な連絡を防げる。

アジア圏では、スマホのコミュニケーションアプリでもボイスメッセージが頻繁に使われている印象がある(文字の変換が面倒なのかもしれない)。トランシーバー機能は、こういった文化圏で非常にウケるのではないだろうか。もちろん、日本でもアウトドアシーンや、日常のちょっとした場面で、トランシーバー機能が大活躍しそうだ。

例えば、2階で洗濯ものを干しながら、「お昼のドラマ録画しておいて」なんて、1階にいるパートナーへ連絡する。しばらくすると「了解」と返事が来るなんてシーンが容易に想像できる。わざわざ電話をかける場面じゃない。けれど、トランシーバーなら気軽に使えそうだ。

 

5)さよなら「Hey Siri」

Siriに関するアップデートにも期待が高まる。これはApple Watchだけに限ったことだが、watchOS 5では、Siriを使う際に以前のように「Hey Siri」と声をかけなくてよくなる。なぜなら、腕を持ち上げて口元に寄せた時点でSiriが起動するから。

従来もデジタルクラウンを長押しすることで、Siriを起動させられたが、それ以上に便利だ。筆者個人は、おそらくSiriを使う頻度が倍増すると思う。

また、Siriの文字盤に関してもアップデートが予定されている。そもそもSiriの文字盤にはさまざまなカードが並び、デジタルクラウンを回すことで、それをめくって確認できるデザインになっている。カレンダーに記入された情報をベースに、当日の気温や、日の入りなどの時間、「呼吸」「アクティビティ」のレコメンドなどが時系列に表示される。

watchOS 5では、こうしたデザインはそのままに、表示されるショートカットが増える。例えば、応援しているスポーツチームの試合結果を表示させたり、位置情報に基づいて通勤時間を表示させたりすることも可能だ。iPhoneで作ったSiriのショートカットも表示される。また、サードパーティ製のアプリを操作するコンテンツも使えるようになる。何が表示されるかは、ユーザーの行動傾向を蓄積して、動的に変化していく。

きっと、毎朝「Nike+ Run Club」アプリを使ってジョギングしていると、朝にランニングを開始できるようなカードが表示されるようになるのだろう。どういったアプリが対象になるのか、リリース後にじっくりと検証してみたい。

 

6)通知

そして、おそらく将来的に最も重要になるのが「インタラクティブな通知」だ

おそらく半分以上の読者が「ぽかーん」となっていることだろう。ここでいう「インタラクティブ」は、“対話のようなスタイルで操作できる”という意味だと思っておけばいい。簡単に言えば、通知に「はい/いいえ」と書いてあって、どちらかすぐに操作できるというイメージ。従来は通知をタップ→Apple Watchでアプリが起動→アプリ画面を操作、という手順だった。しかし、これからは通知で直接操作できるようになり、アプリが起動する待ち時間や手間がなくなっていくに違いない。

例えば、「オンラインチェックインできるけど、ウォレットアプリに搭乗券追加する?」という内容が表示されて「はい/いいえ」を選ぶ(正確な表示は少し違うけど)。ほかにも「Yelpアプリで予約した時間と席、変更する?」って出てきて変更できる。キーノートではこのように解説された。

こうした通知を出すためには、Apple Watch側に専用のアプリ(例えばYelpのwatchOS版)のインストールが必要なのかなと思った。しかし、どうやらそうではないらしい。iPhoneアプリの通知がApple Watchに転送された場合にも、こうした通知が表示できるという。

もしこれが多くのアプリで対応するなら、アプリ側の戦略も変わるだろう。今後は”より良い通知”で素早く操作できる工夫が、重要になってくると思われる。

「Apple Watchのアプリを開発するのは大変だけど、通知だけ整えるならやろうじゃないか」。そんなことを考えるサービスが増えたとしても、ユーザーメリットは大きい。

ちなみに、SMSでURLが送られてきたときには、それをタップして直接ウェブサイトを開けるようにもなる。こちらも、ユーザーエクスペリエンスを向上させるだろう。

*  *  *

「トランシーバー」のキャッチーさに目が行きがちだが、watchOS 5の真髄は「Siri」と「通知」にあると思う。OSが新たにデザインされることで、一気に便利になる瞬間は、いつ見ても本当にワクワクするものだ。どちらも早く正式版を使い込んでみたい。

なお、watchOS 5が対応するのは、Apple Watch Series 1/2/3となる。それより前の機種では利用できないので留意しよう。

>> Apple「Apple Watch」

>> Apple「watchOS 5」

 

(取材・文/井上 晃

いのうえあきら/ライター

いのうえあきら/ライター

スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。

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