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【トヨタ新クラウン試乗】新しい心臓を得て「いつかは」から「僕らの」クラウンに!

&GP / 2015年10月26日 18時0分

【トヨタ新クラウン試乗】新しい心臓を得て「いつかは」から「僕らの」クラウンに!

【トヨタ新クラウン試乗】新しい心臓を得て「いつかは」から「僕らの」クラウンに!

高校3年の時、級友のマルヤマが学校を休みがちになりました。ある日、校門を出て歩いていると、白いセダン(実際はハードトップ)がスーっと私の横に並ぶではないですか。運転席の窓ガラスがスーっと下がると、マルヤマの顔を出してきてニヤリと笑ったのです。授業をサボって教習所に通っていたのです。おめでとう、免許取得!

驚いたのはそのクルマ。7世代目「クラウン」のスーパーサルーン。マルヤマはオヤジのクルマを早速乗り回していたわけです。すかさず助手席に乗せてもらったら、田舎道の凸凹をいなしながら滑るように走るのです。ひたすら感心しました。ウチのオヤジが乗ってた「カローラ」のバンとはまるで違う!

コンビニの駐車場に停めたクラウンを眺めていると、突然、マルヤマの表情が変わりました。すぐにクルマに乗れというのです。ドアを閉めると、駐車場に入ってきたのはクラウンのロイヤルサルーンG。“ロイサル”です。ロイヤルサルーンは前後バンパーがスーパーサルーンより大きく、3リッターエンジンを積む3ナンバー車。3ナンバーというだけでステータスだった時代です。

そんなロイサルから出てきたのは、鬼の体育教師コバヤシ先生。先生の姿を見つけたマルヤマは、デカいシフトノブをガコッとDレンジに入れ急発進したのです。今でも、ロイサルの横に立ち、ジッとこちらを見つめながら仁王立ちしているコバヤシ先生の姿が忘れられません。

 ■予想外のストレスフリーで気持ちいい走り

その頃から、そして今も、私にとってクラウンは特別な存在ですが、実は「いつかは乗りたい」と思ったことはありませんでした。クラウンに乗る自分の姿を想像しても、ピンとこなかったんですね。

そんな思い出にふけりながら、マイナーチェンジした14代目クラウンのステアリングを握り、地下駐車場を発進したのです。ふと我に返ると、最初の角を曲がる時、ステアリングに手のひらを押し付けてクルクル回していました(非推奨)。普段、そんなスタイルの運転は嫌っているのですが、そと時はまるで違和感なし。可変ギヤレシオのステアリング(VGRS)は、低速域で操舵角を少なくする設計ではあるものの、感覚的にはクルクルたくさん回す印象。右へスルスルスル、左へスルスルスルとフリクション極小。

浦島太郎のような気分になったのは、ボディの取り回しやすさに気づいた時。「大きい」という先入観があったクラウンなのに、乗ってみるとボディサイズに無駄がない。見切りもいい。運転しやすい。いきなりストレスなく乗りこなせてしまう、予想外!

地上に出てアクセルを踏むと、あの日以上の感動がやってきました。発進から高速巡行まで、一糸乱れぬ直進安定ぶり。日本のアスファルト、日本の道路の継ぎ目、いきなり現れるマンホールの段差、それらをすべて知り尽くしているかのように完璧にいなすのです。うわぁ、何これ。ホント気持ちいい!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA今回のマイナーチェンジにおける最大の目玉は、新たに追加された直列4気筒の2リッターターボエンジン。ターボは排気ガスの圧力を使ってタービンを回し、タービンの力でシリンダーに空気を圧送します。排気のスマートな扱いが、効率アップ=パワーに直結します。新しいクラウンのターボは、直列4気筒の外側2個のシリンダーをひと組、内側2個のシリンダーをひと組とし、ふたつの排気の流れをつくって無駄なく、そして干渉させることなくタービンに送るようにしています。ちなみに、クラウンのタービンは削り出しによって成形していて、高温高圧に耐え、耐久性も高い。引いてはパワーを稼ぎやすいのです。

このターボエンジンのキャラクターは、実に今風。低回転域からトルクがグーンと立ち上がって、サクッと速度を上げるタイプ。加速中でも車内が平和なので、無駄に気持ちが高ぶることはないものの、いつの間にかハイスピードになっています。実速度と速度感にギャップがあるうちは、まめに速度計を見ておく必要があるほど。要注意です。

アクセル操作へ素直にエンジン回転が反応してくれるため、ターボエンジンであることを意識させられることもありません。回転数が移り変わってもトルク変動が少なく、シフトチェンジも滑らか。同乗者はゆったりとくつろげるはず。大切な人とドライブするのにも、この2リッターターボは“旬”ですね。

自分には縁のない、ピンとこなかったはずのクラウンですが、日常の移動品質をアップグレードするには、手っ取り早い存在だと感じました。アウトバーンを走ることを前提にした欧州のセダンも大好きですが、日本の道路を走ることにトッププライオリティを置いたクラウンは、日本の道を走るなら究極の存在。これ以上の存在はないかも…。

「いつかはクラウン」と思ったことなどなかった私ですが、いつの間にか、クラウンが心地良いと思えるようになっていました。歳をとったせいもあるでしょうが、どことなくオヤジのクルマ、というイメージだったクラウンが、こちらへ近づいてきてくれた印象。まさに最新版は、僕らのクラウンです。

<SPECIFICATIONS>
トヨタ クラウンアスリートS-T(天空<ピュアブルーメタリック>)
トヨタ クラウンアスリートG-T(茜色<オレンジメタリック>)
ボディサイズ:L4370×W1800×H1440mm
車重:1610kg(S-T)/1630kg(G-T)
駆動方式:FR
エンジン:1998cc 直列4気筒DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:235馬力/5200〜5800回転
最大トルク:35.7kg-m/1650〜4400回転
価格:450万円(S-T)/533万円(G-T)

(文・写真/ブンタ)

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