【フォード エクスプローラー試乗】見た目は武骨でパワフル。でも乗り味は紳士!
&GP / 2015年10月17日 18時11分
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【フォード エクスプローラー試乗】見た目は武骨でパワフル。でも乗り味は紳士!
フォード「エクスプローラー」。1990年のデビュー以来、アメリカンSUVの人気モデルとして日本でも支持を集めるモデルです。初代は4L V6 OHV、1995年の2代めは当初4L V6 OHVでしたが1997年モデルから4L V6 SOHCエンジンに変更され、2000年の3代めは4L V6 SOHCと4.6L V8 SOHCエンジン搭載車が日本に導入されました。
エクスプローラーに大きな変化が起こったのは2010年(日本導入は2011年)。4代めとなる現行型へのフルモデルチェンジでした。ラダーフレーム構造からモノコックボディになり、4WD以外に2WD(FF)も登場したのです。
4WDに搭載されるエンジンは3.5L V6ですが、FFには“Eco Boost”と呼ばれる2L直列4気筒直噴ターボを搭載。車重2tを超える大型SUVをターボが付いているとはいえ2Lのエンジンで動かそうというのですから。その発想にビックリしたものです。だってかつては4Lや4.6Lのエンジンを積んでいたモデルですよ。半分以下のサイズのエンジンで納得のいく走りができるのか……。
ところがそんな心配は杞憂に終わりました。フォード渾身のEco Boostエンジンは最高出力170kW(243ps)、最大トルク366N・m(37.3kg-m)と3.5L V6に引けを取らないパワーを発生。エクスプローラーの巨体を軽々と動かしました。
ディーラーで試乗した人もEco Boostの威力に衝撃を受けたに違いありません。日本でエクスプローラーを選ぶ人のうち、実に67%がEco Boost搭載モデルを選んだと言うのですから。SUVでも街乗り派の人が増えどのモデルもFFが売れているとはいえ、この数字にはビックリです。
■Eco Boostエンジンがパワーアップ!
そんな4代目エクスプローラーがデビューから5年経ち、マイナーチェンジが施されました。デザインは都会的で洗練された中に、“Rugged(ラギッド)”というキーワードに基づきグリルなどにゴツゴツした印象を加え、エクスプローラー本来の逞しさが強調されました。
より力強いデザインとなったフロントグリル
燃費向上のために空力性能もアップ。フォグランプ部のエアロカーテンや隙間をなくしたフラッシュルーフレール、新形状のリアスポイラーなどで空気の流れを整えています。
ルーフレールは空気抵抗を考慮し、隙間がない一体型
フォグランプ脇には空気を取り込む「エアロカーテン」を儲け、ボディ側面に圧力の高い空気の流れを生成。それによりタイヤ、ホイール周りの空気抵抗を抑える
そしてEco Boostエンジンは2Lから2.3Lに拡大され、最高出力192kW(261ps)、最大トルク420N・m(42.8kg-m)とパワーが大幅に高められました。その上で燃費も以前のEco Boostから約5%改善。スペックを見る限り、言うことなしです。
2.3L直列4気筒直噴ターボエコブーストエンジン。前回の2.0Lから出力約7%、トルク約15%アップし、燃費は約5%向上させた
今回の試乗コースは急なこう配といくつものコーナーが続くMAZDAターンパイク箱根。出発前、&GP編集長と「せっかくのSUVだからオフロードコースを走りたかったね」と話していたのですが、Eco Boostエンジンの本領を発揮させるのにこれほど適したところはなかったかもしれません。
料金所を超えアクセルを踏み込むと、まるで鞭が入ったように力強く坂を登っていきます。2040kgの車体を引っ張るのが2.3Lエンジンだとは、言われなければ分からないほど。ターボの効きも自然なのでコーナリング中に急にパワーがかかり慌てるようなこともありません。重い車体で坂を上ると言っても、エンジン回転は3000~4000rpmの範囲に収まっています。もちろんアクセルをベタ踏みにする機会はありません。
回転数やアクセルの踏み方は道によっても変わるので参考にはならないと思いますが、これだけ余裕があるのは420N・mというビッグトルクを3000rpmという低い回転数で発揮しているからでしょう。3000回転を超えたときには車内にそれなりにエンジン音が入ってくるものの、音自体が太く心地いいので耳障りという印象はありませんでした。ちなみに2000回転以内で巡航しているときは本当に静かです。
排気量が小さいのに有り余るパワーを発揮するEco Boostエンジン。しかしそれ以上に驚いたのはハンドリングの良さでした。前述したようにエクスプローラーはFFのXLT Eco Boostでも2tオーバーの車重。重心が高いSUVでこれだけ重いと、コーナリング中にボディが大きくロールすることを想像するはず。
オンロード重視のクロスオーバーSUVではコーナリング中も姿勢を乱さずタイトコーナーをスパンとクリアするモデルが多いですが、エクスプローラーもステアリングを深く切ったときにボディが大きく振られることはなく、狙い通りのラインを走っていきます。車体が重いと下りのコーナーでは慎重になるもの。そのような場面でもエクスプローラーは前が軽くフロントがスッと切れ込んでいくように走ってくれるので安心感が大きいのです。
ボディに軽量で高剛性の素材を多用し、サスペンションもモデルごとに再チューニングしたという力の入れよう。加えてコンパクトなEco Boostエンジンによるフロントの軽さが効き、軽快なハンドリングを生み出しているのでしょう。もはや昔のアメ車にあったゆったりとした船のような乗り味は面影すらありません。
■ミニバンとの比較、分かる気がします
フォード・ジャパンの担当者によると「エクスプローラーのEco Boostは国産のLクラスミニバンと比較している人も多い」と言います。3列シートが欲しいけれど、Lクラスミニバンだと街に溢れているし……。その点、エクスプローラーなら個性的だし3列シートも備わっている。その上、価格帯もLクラスミニバンの上級グレードと同程度。なるほど。十分比較検討する対象になりえます。
しかも排気量が2.3LのXLT Eco Boostは、毎年の自動車税が国産Lクラスミニバンの2.5Lエンジン搭載グレードと同じ年4万5000円。前期型2Lエンジンだと年3万9500円だったので5500円高くなるとはいえ、これは大きいですよ。先代の4.6Lモデルだったら年8万8000円でしたからね……。
ただサードシートがあるとはいえ、そこはあくまでSUVのそれ。セカンドシートをはね上げて乗り込むのはお世辞にもラクとは言えないし、足もとが狭いので快適とは言いづらいのが現実。サードシートまで使う機会が多い人は迷わず国産Lクラスミニバンを選ぶことをオススメします。
身長190cm近くというのを差し引いても、3列目は子どもや緊急用と考えたい
3列目を倒せば、たっぷりした荷室に
しかし「サードシートは滅多に使わないけれど、いざというときのためにあったら嬉しい。それよりも週末はたくさんの荷物を積んでアウトドアスポーツを楽しみたい」という使い方なら、ミニバン以上に良き相棒となるのは間違いないでしょう。
XLT Eco BoostにはLEDヘッドライト、本革パワーシートなどプレミアムな雰囲気を演出する装備が標準に。上級グレードのLimited(3.5L 4WD)には両手が荷物ふでふさがっていてもリアバンパー中央の下側でキック動作するとリアゲートが自動で開く“ハンズフリーパワーリフトゲート”や180°のフロントビュー&リアビューカメラなども備わります。
昨今は輸入車でも右ハンドルが圧倒的に多い中、左ハンドルのみの設定というのも、ツボに入る人はいるはず。プレミアム感満載で走りもいい輸入SUVがこの価格で手に入るというのはかなりお買い得じゃないでしょうか。
<SPECIFICATIONS>
エクスプローラー XLT Eco Boost
ボディサイズ:L5050×W2000×H1820mm
ホイールベース:2860mm
車重:2040kg
駆動方式:FF
エンジン:2260cc 直列4気筒直噴ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:192kW(261ps)/5500rpm
最大トルク:420N・m(42.8kg-m)/3000rpm
価格:489万円
(取材・文/高橋満<BRIDGE MAN>)
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